あ、黄色い花をつけた大きな植物がいるよ!
あの植物はどんな植物?
こんな疑問に答えます。
写真の植物は、セイタカアワダチソウ。
スラッとして綺麗な姿ですが、実は都市生活に適応した外来植物なのです。
また、この植物は自らの持つ能力で自滅してしまうという、ちょっと変わった植物でもあります。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な動植物に出会ってきました。
そんな生き物好きの僕が、セイタカアワダチソウの特徴と魅力を紹介します。
セイタカアワダチソウの特徴
セイタカアワダチソウは、キク目キク科に属する植物。
円錐型の花を作る背の高い植物
セイタカアワダチソウは、「セイタカ」の名がつくように、スラッと背が高い姿が印象的な植物です。
僕は175cmあるのですが、僕の背丈より高い、2m以上の高さになるものもあります。
花は小さな黄色い花が集まって、円錐型を作ります。
セイタカアワダチソウの花
よく群生(たくさんまとまって生える)していますが、たくさん集まると黄色い部分が映えてキレイです。
「アワダチソウ」の名前の由来は綿毛
名前に「アワダチソウ」という名前がついています。
これは漢字で書くと「泡立草」なのですが、一体何が泡立っているのでしょうか?
実はこれは綿毛(わたげ)が泡立つようになる様子からきています。
泡立つようになるセイタカアワダチソウの綿毛
確かにアワアワした姿をしています!
この姿は花が終えた後の時期に見られます。
先ほど紹介したきれいな花は、9〜11月頃に見られるので、晩秋(11月頃)以降に見られる姿なんですよ!
自滅しちゃう特技を持つ
この記事の冒頭でお伝えしましたが、セイタカアワダチソウは「ある技」を持っています。
その技は、根から毒成分を出し、周りの植物を弱らせてその場を独占するというもの。
なんとも凶悪・残虐な技!
この技を使って、セイタカアワダチソウは自分達だけの陣地をどんどんと広げていくわけです。
ところが、この凶悪な技にはお茶目な一面もあります。
実はこの自分で放出した毒で自分自身が苦しむという自体に陥ることがあるんです。
自分が毒を食らうことは想定していなかったようです笑
他のものを虐げたりして意地悪してると、いつか自分にも跳ね返ってくるという教訓になりますね笑
セイタカアワダチソウは外来生物
冒頭でお伝えした通り、セイタカアワダチソウは外来生物。
つまり人によって日本に持ち運ばれた植物で、もともと日本にはいなかった植物のです。
原産地はアメリカ
セイタカアワダチソウの原産地は、アメリカです。
外来生物問題は、よくテレビなどのメディアで取り上げられますね。
「危険な外来生物が…」とか、「外来生物だから駆除」とか。
- 農作物にダメージを与えてしまう
- 日本の在来種を脅かしてしまう
- ヒアリのように人間にとって毒をもの
などで悪者にされがちです。
しかし、「外来生物自体が悪意を持って生きている訳ではない」です。
外来生物は、人間が持ち込んだことで慣れない場所で生き抜いていかなくてはならなくなった、むしろ被害者であるということを忘れてはならないと思います。
外来生物については、詳しくは以下の記事でも書いています↓
身近な場所でもよく見られる
草原や公園の草むら、線路などで見られます。
森のような菌の多い土がある場所では見られません。
都市の荒れ地は、原産地と近い環境なんでしょうね。
在来種はそういった荒れ地が苦手なものが多いので、生き残りやすかったのではないかと思います。
セイタカアワダチソウに集まる様々な生き物たち
セイタカアワダチソウの花が咲く季節は、秋の終盤。
冬に近付く季節であり、その頃に目立つ花は少なくなってきています。
そのせいか、セイタカアワダチソウの花にはチョウやハチたちが多く集まります。
ツマグロヒョウモン
秋に活動するハチたち。特に「ツチバチ類」がよく集まります。
ツチバチ
その他、
- キタテハというチョウ
- 小さなカメムシたち
- セイタカアワダチソウグンバイという小さな虫
などが集まります。
また、虫だけではなく鳥も。
冬鳥のベニマシコという赤い羽根のきれいな鳥は、綿毛をよく食べます。
ベニマシコ
外来生物ではあるのですが、セイタカアワダチソウはこれだけ多くの生き物たちを支える存在でもあるのですね。
自然界では、他の生物が入ってきたらそれに応じてバランスを調整します。
今セイタカアワダチソウがなくしてしまったら、それはそれでバランスが崩れてしまうでしょう。
なので、人間が手を加えて自然界の生き物を調整しようとする行為は、大変難しいことだと思います。
おわりに:セイタカアワダチソウを観察しよう!
セイタカアワダチソウは外来生物ではありますが、とっても面白い植物。
セイタカアワダチソウはもちろん、この植物の周りにいるほかの生き物にも注目して見てくださいね。
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■ ケマン(華鬘)
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