あ、ハート型の模様のある虫がいる！
あの虫ってどんな虫？
こんな疑問に答えます。
写真の虫は、エサキモンキツノカメムシ。
なんと背中に「ハートマーク」を持つという、とってもユニークな姿のカメムシです。
また、このカメムシのハートマークは見かけ倒しではありません。
外見だけでなく、"その行動もハートフルなカメムシ"なのです！
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、エサキモンキツノカメムシの特徴と魅力を紹介します。
※動画版はこちら▼
エサキモンキツノカメムシの特徴と魅力
ハートマークを背負ったカメムシ
エサキモンキツノカメムシの最大の特徴は、なんといっても"背中にあるハートマーク"！
背中のハートマークが目立つエサキモンキツノカメムシ
僕は初めてその姿を見た時、あまりの綺麗な形のハートに、「このハート型のデザインは、本当に自然なものなのか？」と不思議な気持ちになりました。
他にも自然界でハートのように見える柄のものもありますが、エサキモンキツノカメムシの紋があるのは「背中のど真ん中」。
エサキモンキツノカメムシほど、ハートを強調している虫は稀でしょう。
肩のツノがカッコいい
エサキモンキツノカメムシの外見でもう1つ注目したい特徴が、「肩の出っ張り」。
肩に出っ張りのあるエサキモンキツノカメムシ
背中の可愛らしいハートマークとはまた印象が変わって、かっこいい姿をしているのです。
エサキモンキツノカメムシは、「カメムシ目ツノカメムシ科力」というグループに属する昆虫。
ツノカメムシの仲間は、エサキモンキツノカメムシのように肩に出っ張りがあります。
この出っ張りを「ツノ」に見立てたのですね。
ツノというと、甲虫のグループに多いですが、カメムシたちにもこのツノのようなかっこいい外見をしているものがいるのです。
体型にも注目してみると、ツノカメムシの仲間は他の丸っこいカメムシよりも、シュッと細長くスマートな姿をしています。
このように、エサキモンキツノカメムシはかわいさとカッコ良さを併せ持つカメムシなのです。
エサキモンキツノカメムシの名前の由来【江崎紋黄角亀虫】
エサキモンキツノカメムシを漢字で書くと、「江崎紋黄角亀虫」。
複雑な名前ですが、これは以下のような3つの言葉から構成されています。
・「紋黄」：黄色い紋=背中のハートマーク
・「角亀虫」：ツノカメムシ
これらの言葉が組み合わさった名前なのですね。
生き物の名前には、その生き物の特徴が含まれていたり、命名した時の時代背景が表れていることも多い。
時には"面白い発見や気付き"を得られることもあるので、名前の由来を紐解いていくのも面白いのです。
姿だけでなく行動もハートフル
エサキモンキツノカメムシは姿だけでなく、その行動もハートフルです。
その理由は、産卵した後のカメムシのメスの行動にあります。
多くの昆虫は、安全な場所やえさのある場所に卵を産みつけ、そのあと親はその場を離れます。
ところがエサキモンキツノカメムシのメスは、卵を産卵すると子どもが卵から孵化するまで、卵に覆いかぶさって守る行動をとります。
敵が来ても親は卵の前でじっとし、雨が降った時は自らが傘となるのです。
行動もハートフルなエサキモンキツノカメムシ
僕も探索していると、たまに産卵中または産卵した後のエサキモンキツノカメムシに出会うことがあります。
多くの小さな昆虫は、カメラを近づけると逃げてしまいます。
それもそのはず、虫からすると巨人がでかい機械を自分に近づけてくるわけで、さぞ怖いはずです。
しかし、彼女らはカメラを至近距離に近づけて撮影していても、全然動かないのです。
その行動が健気で、「ストレスを与えないようにしよう」思わされるのです。
例えば、撮影する時には葉に触れて衝撃を与えないようにしつつカメラをゆっくりと近づけて、できるだけ驚かさないようにしています。
ちなみに彼らはほぼ動かないため、焦って撮影する必要はなく、落ち着いて撮影できます。
一方で、本当に大きな天敵が襲ってきた時、「動かないのは逆に攻撃されやすいのではないか？」という気もして、逆にこちらの方が少し心配になってしまったりします。
卵を守る彼らを見つけたら、優しく見守りつつ、じっくりと観察してみてください！
エサキモンキツノカメムシと同じ分類に属する虫たち
エサキモンキツノカメムシはカメムシ目ツノカメムシ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[カメムシ目]
半翅目（カメムシ目）の昆虫まとめ｜ストローのような口吻を持つ虫たち
▼
[ツノカメムシ科]
かっこいいツノとハサミを持つカメムシ！ツノカメムシの種類と魅力
おわりに：エサキモンキツノカメムシのハートマークを観察してみよう！
エサキモンキツノカメムシはハートマークが面白いカメムシという紹介をしました。
しかし、彼らはその模様をハートだと認識しているわけではないと思います。（当然ですが）
ところが、このように人間が見ると、よく知っている別のものに見えてしまうことがあるんですね。
一方で、彼らはあえて何かに姿を似せた擬態という戦法を取るものもいます。
これを使って自分の身を守ったり、獲物に気付かれないようにするのに利用するんですね。
以下では、擬態した面白い虫というのも紹介しています↓
このように、虫たちを観察していると見方によって色々な発見があって、とても面白いんですよ！
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