※2018/09/01 項目追記しました
虫の名前を調べたいけど、どう調べたら良いのか分からないよ…
似た虫が多くて、特定することまでたどり着けない!
こんな悩みにお答えします。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
虫は種類がとても多い生き物です。
日本では、名前が分かっている昆虫は3万種もいると言われています。
こんな多様な虫の名前を調べるのは大変苦労しますよね。
虫を調べると、そんな壁にぶち当たったことがあるはず。
僕は全国各地を旅して様々な虫に出会いました。
その数、1500種類以上。
出会った虫は自分の勉強も兼ねて自力で調べてきましたが、とても苦労しました。
そうやって僕が試行錯誤して身につけた、虫の名前に辿り着く3つの方法を伝授します!
1. 図鑑を使って虫を調べる
生き物の名前を調べるツールと言えば、図鑑。
昔からずっと使われているツールです。
長く王道的なツールとなっているのには理由があります。
- 手元にあり、すぐに使える
→検索したいときにすぐに調べられる - 何度もページをめくるうちに親しみが湧く
→記憶として定着しやすい
ただ調べるのに便利なだけでなく、「学習」向きのツールなんです。
図鑑のデメリットもあります。
それは、図鑑を選ぶのが難しいことです。
なぜなら、虫は他の生き物と比べてあまりに種類が多い!
そのため、1冊で全種類の虫を網羅する図鑑はありえません。
(そもそも名前の付いていない虫とかいます)
よって、図鑑の内容は著者の知識による偏りが発生します。
※学術的な図鑑など、網羅的に記載があるものもあります。でも高価です。
例えば、以下のような。
- 特定のグループ(バッタ、チョウ、甲虫など)の掲載数が多い
- 成虫だけでなく幼虫やさなぎの情報もある
- イラスト or 生体写真 or 標本写真
ですが、これこそが図鑑の個性になるのです。
そのため僕の場合は、面白そうな図鑑であれば、すでに同じジャンルの図鑑を持っていても結構買ってしまいます。
その結果、僕が読んだ図鑑は数十冊となりました。
ということで、僕はいろんな図鑑の特徴が分かります。
おすすめの図鑑
■ ポケット図鑑 日本の昆虫 全2巻
この図鑑は、
- 虫は生体写真を使用
- 白い背景の「白バック」という方法を使用
- 各虫の方向は統一
という特徴を持っていて、虫の比較がとてもしやすいです。
全2巻を揃えると1,500種類と虫の種類も豊富。
「綺麗な写真でいろんな虫が載っている写真を見たい」という方におすすめ。
情報量も多く汎用性が高いので、使いやすい図鑑です。
価格は1冊1,000円ちょっと。
そのほかのおすすめの図鑑は、以下の記事をどうぞ。
王道な図鑑とマニアックな図鑑を紹介しています。
おすすめの図鑑(王道)
おすすめの図鑑(マニアック)
2. Webサイトで虫を調べる
Webサイトの強みは、2点です。
- 無料であること
- 掲載種数が多いこと(ただし、信頼性はサイトによる)
「掲載種数が多い」という点がとても便利。
僕も図鑑に載っていないマニアックな種を調べたい時にいつも利用します。
本だと種数が少なくなるのは、不正確な情報は出せないからなのでしょう。
例えば、ハチやハエ、アブなどはまだ研究があまり進んでいなかったりして、名前がついていなかったり、そもそも未知の種の可能性もあります。
そのような図鑑として出しづらい情報が載っているのがWebサイトなのです。
なので、「◯◯ムシのなかま」と言った感じに、名前が特定できない虫もよくいます。
そうでなくても、現実的には写真だけでは識別が難しく、特定が不可能な虫も多くいます。
そんな虫でも、とりあえずどのグループの虫か知っておくことは大変勉強になります。
おすすめのWebサイト
■ 昆虫エクスプローラ
定番のWeb昆虫図鑑。
様々な探し方に対応しているのが魅力です。
- 名前での検索
- 分類から検索
- 見た目(色など)から検索
といった検索方法が使えます。
さらに、ユーザーインターフェースがシンプルで使いやすい。
王道な図鑑的Webサイトです。
そのほかのおすすめのWebサイトは、以下の記事をどうぞ。
おすすめのWebサイト
3. Googleで虫画像を検索する
ツールではなく、検索テクニックのお話になります。
図鑑やWebサイトでも見つからない場合、自力で検索することになります。
将来AIがもっと賢くなればそれをすることもなくなるのかもしれませんが、現時点では難しいです。(判定アプリなどもありますが、種レベルで判定する精度はなさそうです)
そんな時、僕が使っているのが画像検索。
手順は、3ステップ。
- 検索キーワードを作る
- 検索結果から絞り込む
- 経験を積んでから 1. を再度やる
1. 検索キーワードを作る
1つ目のポイントは、検索キーワードです。
キーワードを作るための手順は2つ。
- 図鑑やWebサイトで外見が近い虫の「科」または「種」を特定する
- 虫の外見的な特徴(色や模様など)を組み合わせてキーワードにする
出来上がるキーワードは、
「シジミチョウ オレンジ」
「メイガ 白 黒い線」
などです。
これを入力して検索することで、探している虫が出てくる確率がグッと高まります。
2. 検索結果から絞り込む
検索結果をザッと眺めていると、目的の虫と似た虫が出てきます。
似た虫の画像をクリックして詳細を見てください。
だいたい、サイト名か概要に虫の名前が出ています。
そしてその虫の名前で再度検索する、を繰り返していきます。
するとそのうち目的の虫が出てくるんですね。
似た虫比較とか、虫関連の記事で虫がたくさん紹介されていたりするんです。
3. 経験を積んでから1.を再度やる
もしここまでやって見つからなかったら、しばらく寝かせておきましょう。
そしてしばらくしてからもう一回検索キーワードを作ることからやってみます。
すると、次は見つかることがあります。
実は、この検索経験を積んでいくと、精度が段々とあがっていくのです。
なぜなら「当てる経験」が増えていくと、ツールを使わなくても虫のグループの特徴が分かってくるからです。
テクニックの効率を高める方法は、後述していますので詳しくはそちらでどうぞ。
虫の識別の効率を上げる方法2つ
上記で紹介したのは、主に虫の名前を調べるためのテクニックにあたる部分です。
テクニック単体でも有効ではありますが、その効果をさらに高める方法があります。
- 分類の基礎知識を得ること
- 識別の経験値を増やすこと
1. 分類の基礎知識を得る
テクニックは基礎知識と合わさることで、2倍も3倍も、もしくは10倍以上の効果を出すことが可能です。
例えば、識別したい虫がいた時。
虫のあたりが全くつけられない場合、図鑑を1ページ目からめくっていくしかないですよね?
または識別表を見て、まずはグループの分類を検索するステップが必要になります。
でも、分類の基礎知識があれば、この虫は「カメムシ」の仲間だろう、と大まかなあたりをつけられます。
日本の昆虫は3万種ほど。
日本のカメムシは1,000種ほどと言われています。
なので、「カメムシ」にしぼりこむことができると、
30,000 / 1,000 = 30倍もの効率化
になるのです。
昆虫の分類については、以下の記事で書いています。
どんな分類があるかだけでも、ぜひご覧ください。
2. 識別の経験値を増やす
1.で分類の知識を知ったとします。
でも、パッと見つけた虫がどのグループに属しているかを判断するのは初心者には簡単ではありません。
それには、「経験値」を積むことが重要です。
要はいろんな虫を見て、識別をたくさんしましょう、ということです。
図鑑やWebサイトを使って識別するうちに、図鑑の活用度もどんどん上がっていきます。
「カメムシだったら、あの図鑑のあの辺りのページだな」と素早く虫の検索ができるようになります。
ちなみに、図鑑・Webサイト・Googleでの画像検索どのテクニックを使っても有効です。
虫の識別経験が蓄積されるのは一緒ですからね。
AIの学習も理論はこれと同じで、いろんなパターンを入力して、正解・不正解を重ねて経験を積んでいます。
さらに、人間ならではの「感情」も利用するといいと思います。
楽しい情報は、読むだけでも自然に知識が頭に入ります。
勉強と思ってやると知識として定着しづらいですが、楽しく読んでると吸収しやすいですからね。
このブログ内でも、いろんな虫の魅力を紹介しています。
虫の識別によって得られる最も大事なことは「名前」ではない
虫の名前を調べる方法をお伝えしてきました。
虫の名前が分かれば、その虫のことをもっと深掘りしやすくなります。
その虫の意外な一面にたどり着けるかもしれませんね。
一方で、これらの方法を駆使しても、虫の名前は分からないこともあります。
そもそもまだ名前がついていない種もいますしね。
でも、そんなに気にする必要はありません。
虫の名前を知るよりも、その虫の名前を知りたいと思った気持ちが大切だからです。
名前を知りたいと思ったということは、その虫に何かしら気になることがあって「興味が湧いた」ということですよね?
その好奇心からスタートして名前を調べる道のりの中で色々な発見があったはずです。
この虫のグループにはこんな特徴があるのかー
こんな虫がいるんだ!この虫も見てみたい!
などなど。
虫の名前を知ることはゴールではありません。
その虫の名前を知ろうとすることで、さらに奥深くの情報を引き出しやすくなったり、新たな虫との出会いを生み出してくれるのです。
僕は虫の識別をしていて、「ベニヒラタムシ」という甲虫がいることを知りました。
いつか会いたいなー、と思っていたのですが、先日新潟の山に行った時に偶然出会えました。
事前に知っていなければ、何気ない出会いだったかもしれませんが、知っていたことで嬉しい出会いと感動が1つ増えたわけですね。
虫は種類が多いから、1つの虫をきっかけにいろんな出会いを連れてきてくれる機会も多いのです!
おわりに
膨大な種類の虫の名前を調べるのは大変です。
今回、虫の名前を調べる方法として、
- 王道の安定な虫識別ツール「図鑑」
- 整っていないかもしれないけど情報量が豊富な「Webサイト」
- 自力で工夫しながら調べる「Googleで画像検索」
- 「分類の基礎知識」「識別経験値」が増えるとテクニックの効率が高まる
- 虫の名前を調べる経験を通じて、さらなる虫に出会おう!
をご紹介しました。
ただ、虫の名前を調べて終わり!ではなく、ぜひこれをきっかけにさらにその虫を調べたり、調べる過程でいろんな虫に出会ってください。
僕も、図鑑や調べる過程で出会った虫たちの中から、気になった虫たちを「いつか出会いたい虫リスト」にまとめています。
これからも一緒に虫たちとの出会いを楽しみましょう!
合わせて以下の記事もどうぞ↓
虫の名前を知りたい!
虫を楽しむための情報・グッズを知りたい!
虫に関する他の記事を見る
では、また。