虫の名前を調べたいけど、どう調べたら良いのか分からないよ…
似た虫が多くて、特定することまでたどり着けない!
こんな悩みにお答えします。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
虫は種類がとても多い生き物です。
日本にいる昆虫だけでも、なんと3万種もいると言われています。
こんなたくさんいる虫の中から名前を調べるのは、とっても苦労しますよね。
「なんていうキーワードで調べたら良いか分からない!」
「似た虫が多くて識別できない!」
のような体験をした方もいるのではないでしょうか?
僕も出会った虫は自力で調べてきて、今も識別には苦労していますが、そのおかげで識別のコツや識別に必要なこともつかめました。
ということで今回は、虫の名前を調べる3つの方法をお伝えします!
虫の名前を調べる3つの方法
虫の名前を自力で調べる方法は、主に以下の3つがあります。
2. Webサイトで調べる
3. Googleで虫画像を検索する
1. 図鑑を使って調べる
生き物の名前を調べるのに、定番のツールと言えば図鑑です。
長く王道的なツールとなっていますが、中でも図鑑の優れている点が「学習」向きであること。
- 手元にあり、すぐに使える
→検索したいときにすぐに調べられる - 何度もページをめくるうちに親しみが湧く
→記憶として定着しやすい
このように、図鑑は勉強するのにうってつけなんですね。
一方、図鑑のデメリットもあります。
それは、図鑑を選ぶのが難しいこと。
なぜなら、虫は他の生き物と比べてあまりに種類が多い!
そのため、1冊で全種類の虫を網羅する図鑑はありえません。
(そもそも名前の付いていない虫もいます)
よって、図鑑の内容は著者の知識によって切り口が結構変わりします。
※学術的な図鑑など、網羅的に記載があるものもあります。でも高価です。
例えば、以下のような点です。
- 特定のグループ(バッタ、チョウ、甲虫など)の掲載数が多い
- 成虫だけでなく幼虫やさなぎの情報もある
- イラスト or 生体写真 or 標本写真
ですが、これこそが図鑑の個性になるのです。
そのため僕は面白そうな図鑑があれば、すでに同じジャンルの図鑑を持っていても買ってしまうこともよくあります。
このように図鑑を数十冊読んだ僕が、虫の識別にオススメする図鑑は、以下の「ポケット図鑑 日本の昆虫」。
■ ポケット図鑑 日本の昆虫 全2巻
この図鑑は、虫の比較がとてもしやすいのが魅力です。
- 虫は生体写真を使用
- 白い背景の「白バック」という方法を使用
- 各虫の方向は統一
また、2巻に分かれているのですが、両方揃えると1,500種類もの虫を見ることができます。
識別の難しい虫については検索表もあり、メジャーな種はこちらの図鑑でかなりカバーできるでしょう。
ポケット図鑑なので持ち運びやすく、僕も旅先などで調べたい状況が出て来そうな時には持っていきます。
この図鑑を持っていると、身近な昆虫の識別にとっても役立ちますよ!
そのほかの図鑑は、以下の記事で紹介しています。
おすすめの図鑑(王道)
おすすめの図鑑(マニアック)
2. Webサイトで調べる
Webサイトの強みは、2点です。
- 無料であること
- 掲載種数が多いこと(ただし、信頼性はサイトによる)
特に識別においては、「掲載種数が多い」という点がとても便利。
僕も図鑑に載っていないマニアックな種を調べたい時に利用します。
本だと種数が少なくなるのは、不正確な情報は出せないからなのでしょう。
例えば、ハチやハエ、アブなどはまだ研究があまり進んでいなかったりして、名前がついていなかったり、そもそも未知の種の可能性もあります。
そのような図鑑として出しづらい情報が載っているのが、Webサイトなのです。
なので「◯◯ムシのなかま」のように、名前が特定できない虫もよくいます。
名前まで完全に特定できなくても、どのグループに属する虫かを知っておくことは、勉強になり、次の識別に生かすことができます。
僕がオススメするWebサイトは、以下の「昆虫エクスプローラ」。
■ 昆虫エクスプローラ
様々な探し方に対応しているのが魅力の、Web昆虫図鑑です。
以下のような検索方法に対応しています。
- 名前での検索
- 分類から検索
- 見た目(色など)から検索
さらに、ユーザーインターフェースがシンプルで使いやすいのも、おすすめです!
そのほかのWebサイトは、以下の記事で紹介しています。
おすすめのWebサイト
3. Googleで虫画像を検索する
ツールではなく、検索テクニックのお話になります。
図鑑やWebサイトでも見つからない場合、自力で検索することになります。
将来AIがもっと賢くなればそれをすることもなくなるのかもしれませんが、現時点では難しいです。(判定アプリなどもありますが、種レベルで判定する精度はなさそうです)
そんな時、僕が使っているのが画像検索。
手順は、3ステップ。
- 検索キーワードを作る
- 検索結果から絞り込む
- 経験を積んでから 1. を再度やる
1. 検索キーワードを作る
1つ目のポイントは、検索キーワードです。
キーワードを作るための手順は2つ。
- 図鑑やWebサイトで外見が近い虫の「科」または「種」を特定する
- 虫の外見的な特徴(色や模様など)を組み合わせてキーワードにする
出来上がるキーワードは、
「シジミチョウ オレンジ」
「メイガ 白 黒い線」
などです。
これを入力して検索することで、探している虫が出てくる確率がグッと高まります。
2. 検索結果から絞り込む
検索結果をザッと眺めていると、目的の虫と似た虫が出てきます。
似た虫の画像をクリックして詳細を見てください。
だいたい、サイト名か概要に虫の名前が出ています。
そしてその虫の名前で再度検索する、を繰り返していきます。
するとそのうち目的の虫が出てくるんですね。
似た虫比較とか、虫関連の記事で虫がたくさん紹介されていたりするんです。
3. 経験を積んでから1.を再度やるる
もしここまでやって見つからなかったら、しばらく寝かせておきましょう。
そしてしばらくしてからもう一回検索キーワードを作ることからやってみます。
すると、次は見つかることがあります。
実は、この検索経験を積んでいくと、精度が段々とあがっていくのです。
なぜなら「当てる経験」が増えていくと、ツールを使わなくても虫のグループの特徴が分かってくるからです。
テクニックの効率を高める方法は、後述していますので詳しくはそちらでどうぞ。
虫の識別の効率を上げる方法2つ
上記で紹介したのは、主に虫の名前を調べるためのテクニックにあたる部分です。
テクニック単体でも有効ではありますが、その効果をさらに高める方法があります。
- 分類の基礎知識を得ること
- 識別の経験値を増やすこと
1. 分類の基礎知識を得る
テクニックは基礎知識と合わさることで、2倍も3倍も、もしくは10倍以上の効果を出すことが可能です。
例えば、識別したい虫がいた時。
虫のあたりが全くつけられない場合、図鑑を1ページ目からめくっていくしかないですよね?
または識別表を見て、まずはグループの分類を検索するステップが必要になります。
でも、分類の基礎知識があれば、この虫は「カメムシ」の仲間だろう、と大まかなあたりをつけられます。
日本の昆虫は3万種ほど。
日本のカメムシは1,000種ほどと言われています。
なので、「カメムシ」にしぼりこむことができると、
30,000 / 1,000 = 30倍もの効率化
になるのです。
昆虫の分類については、以下の記事で書いています。
どんな分類があるかだけでも、ぜひご覧ください。
2. 識別の経験値を増やす
1.で分類の知識を知ったとします。
でも、パッと見つけた虫がどのグループに属しているかを判断するのは初心者には簡単ではありません。
それには、「経験値」を積むことが重要です。
要はいろんな虫を見て、識別をたくさんしましょう、ということです。
図鑑やWebサイトを使って識別するうちに、図鑑の活用度もどんどん上がっていきます。
「カメムシだったら、あの図鑑のあの辺りのページだな」と素早く虫の検索ができるようになります。
ちなみに、図鑑・Webサイト・Googleでの画像検索どのテクニックを使っても有効です。
虫の識別経験が蓄積されるのは一緒ですからね。
AIの学習も理論はこれと同じで、いろんなパターンを入力して、正解・不正解を重ねて経験を積んでいます。
さらに、人間ならではの「感情」も利用するといいと思います。
楽しい情報は、読むだけでも自然に知識が頭に入ります。
勉強と思ってやると知識として定着しづらいですが、楽しく読んでると吸収しやすいですからね。
このブログ内でも、いろんな虫の魅力を紹介しています。
虫の識別によって得られる最も大事なことは「名前」ではない
虫の名前を調べる方法をお伝えしてきました。
虫の名前が分かれば、その虫のことをもっと深掘りしやすくなります。
その虫の意外な一面にたどり着けるかもしれませんね。
一方で、これらの方法を駆使しても、虫の名前は分からないこともあります。
そもそもまだ名前がついていない種もいますしね。
でも、そんなに気にする必要はありません。
虫の名前を知るよりも、その虫の名前を知りたいと思った気持ちが大切だからです。
名前を知りたいと思ったということは、その虫に何かしら気になることがあって「興味が湧いた」ということですよね?
その好奇心からスタートして名前を調べる道のりの中で色々な発見があったはずです。
この虫のグループにはこんな特徴があるのかー
こんな虫がいるんだ!この虫も見てみたい!
などなど。
虫の名前を知ることはゴールではありません。
その虫の名前を知ろうとすることで、さらに奥深くの情報を引き出しやすくなったり、新たな虫との出会いを生み出してくれるのです。
僕は虫の識別をしていて、「ベニヒラタムシ」という甲虫がいることを知りました。
いつか会いたいなー、と思っていたのですが、先日新潟の山に行った時に偶然出会えました。
事前に知っていなければ、何気ない出会いだったかもしれませんが、知っていたことで嬉しい出会いと感動が1つ増えたわけですね。
ちなみに僕は昆虫図鑑アプリを配信していますが、このアプリは識別のためではなく上記のような虫との楽しい出会いを知ってもらうのが目的です。
■ 見つけた!昆虫図鑑
虫は種類が多いから、1つの虫をきっかけにいろんな出会いを連れてきてくれる機会も多いのです!
おわりに:虫の名前を調べて、虫の魅力を知ろう!
今回は虫の名前を調べる方法について紹介しました。
ただ、虫の名前を調べるだけでなく、調べる過程からその虫にもっと興味を持っていただけたら嬉しいです。
僕も、図鑑や調べる過程で出会った虫たちの中から、気になった虫たちを「いつか出会いたい虫リスト」にまとめています。
これからも一緒に虫たちとの出会いを楽しみましょう!
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