公園の手すりで虹色の小さな虫を見つけたよ!
この虫初めて見たけど、とってもきれい!
これってどんな虫??
こんな疑問にお答えします。
テントウムシに似た姿の、虹色でキラキラした美しい虫の名前は「ニジゴミムシダマシ」 と言います。
あんなに美しい姿をしているのに、なんだか意外な名前…。
というのも、ニジゴミムシダマシは「ゴミムシダマシ科」というグループに含まれている虫。
つまり、「虹色のゴミムシダマシ」という意味なのです。
ゴミムシダマシ科は「ゴミ」「ダマシ」と、随分とひどい名前がつけられています。
しかし名前のイメージと違って、この科には多種多様な虫たちが含まれていて、大変面白いグループなのです。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、ゴミムシダマシの種類と魅力を紹介します。
ゴミムシダマシ科の昆虫の特徴と魅力
ゴミムシダマシ科は、コウチュウ目というグループに含まれる科。
マイナーだけど多様な虫がいる大きなグループ
ゴミムシダマシ科は「ゴミ」だし「ダマシ」だし、なんだかとってもかわいそうな名前が付けられていますが、実は日本でも数百種類もいる大きなグループ。
一般的には聞きなれないマイナーなグループですが、その中にはかなり面白い虫たちがいるんですよ!
その証拠に、冒頭で紹介した「ニジゴミムシダマシ」のような美しい種も含まれているのです。
美しい姿のニジゴミムシダマシ
ゴミムシダマシの名前の由来は「ゴミムシ」
「ダマシ」という名前から予想済みの方も多いと思いますが、ゴミムシダマシの名前の由来は、ゴミムシに似ている姿から。
そもそもゴミムシってどんな虫なの?
というわけで、ゴミムシとは以下のような虫です↓
ゴミムシの仲間
ニジゴミムシダマシとは、全然違う姿です。
先述した通り、ゴミムシダマシ科は数百種類もいる大きなグループ。
ゴミムシに似ているものから似ていないものまで、多種多様なのです。
また姿だけではなく、ゴミムシとゴミムシダマシではその生態もかなり違います。
ゴミムシは「オサムシ科」というグループに含まれる虫たちで、彼らは肉食性。
幼虫時代から他の虫を積極的に狩って食べます。
それに対してゴミムシダマシは、その多くが朽木やきのこなどの菌類を食べます。
このように、名前や姿は似ているもののその生態や習性にはかなりの違いがあるのですね。
ちなみに以下は、朽木付近でよく見かけるキマワリ。
ニジゴミムシダマシは全然ゴミムシに似ていませんでしたが、こちらの虫は確かに雰囲気が似ていますね。
朽木付近でよく見つかるキマワリ
このように、ゴミムシダマシの仲間は多様で面白いグループなのです!
ゴミムシダマシ科の昆虫の種類
ニジゴミムシダマシ
虹色に光る美しいボディが特徴的です。
この虹色に光る体は、構造色という仕組みが使われています。
構造色により、シャボン玉のように光を反射することで虹色に見える仕組みになっていて、体自体が虹色の色素を持っているわけではないのです。
構造色については、以下の記事で詳しく紹介しています↓
ちなみにこの虹色を写真に残すのは、少し苦労します。
ポイントは、撮影する時の角度。
虹色が見えるのは太陽光の反射によるので、写真を撮る時は角度を変えながら試し、うまい角度を探すと良いでしょう。
キマワリ
キマワリは、漢字で「木廻」と書きます。
その名の通り朽木や枯れ木の周りを徘徊しているので、その辺りを探すとよく出会えます。
20mm前後とサイズが大きく、雑木林的環境では見かける機会も多いので、結構存在感のある虫です。
存在感があるだけに、パッと出てくるとクワガタなどと見間違えがちな虫でもあります。
でも次の瞬間、「なんだ、キマワリか…」
と言われがちな、ちょっとかわいそうな虫です(笑)
でもこの虫は雑木林の顔的な存在で、彼らがいると森に来た感があって嬉しくなる虫でもあります。
ハムシダマシ
ゴミムシダマシ科には、ゴミムシ以外の「ダマシ」の名がつくものがいます。
この種の名前はハムシダマシ。
ハムシダマシは、ハムシの中でもクビボソハムシという仲間に似た姿をしています。
トホシクビボソハムシ
見慣れるとハムシと言われると違和感があるようになるのですが、よく知らないとハムシと間違えてもおかしくないかもしれませんね。
アオハムシダマシ
ゴミムシダマシたちには、虹色以外にも派手な姿を持つものがいます。
その1種がこのアオハムシダマシ。
鮮やかな緑色がとっても美しい種です。
最初「どんな美しい名前なんだろう?」と思いながら名前を調べて、名前を知った時、その美しい姿とのギャップに驚いたものです。
ミツノゴミムシダマシ
頭に3つのツノのような突起があるゴミムシダマシです。
ゴミムシダマシの仲間は、ツノや牙のような目立つ装飾品を持つものはあまりいないので、特徴的な種ですね。
エグリゴミムシダマシ
数mmの大きさの、小さなゴミムシダマシ。
朽木などで見られ、前胸部が大きく凹んでいる(=エグリ)のが特徴です。
かわいらしい虫で、見つかるとじっと固まってしまいます。
ナガニジゴミムシダマシ
ニジゴミムシダマシが大型になった姿のもの。
体型も長くなって、ニジゴミムシダマシのようにテントウムシとは全然似ていない姿になりました。
ニジゴミムシダマシ同様、やはり虹色に美しく輝くボディを持ちます。
こちらも朽木近くでたまに見つけることができます。
ゴミムシダマシと同じ分類に属する虫たち
ゴミムシダマシはコウチュウ目に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[コウチュウ目]
甲虫目(コウチュウ目)の昆虫まとめ|頑丈なはねを持つ昆虫最大のグループ
おわりに:多様なゴミムシダマシ科の昆虫たちを観察してみよう!
ゴミムシダマシ科のグループは地味ながらも、多くの種類に分化した面白いグループです。
雑木林では様々な種類のゴミムシダマシが生息していますので、ぜひ探してみてください!
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■ 寄生バチ
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