ネイチャーエンジニア いきものブログ

虫・鳥などの動植物の魅力や知識など、自然観察をもっと楽しむための情報を発信します。

寄生バチはきれいな虫?ユニークで美しい姿と驚くべき生存戦略

サトセナガアナバチ エメラルドゴキブリバチ

ネイチャーエンジニアの亀田です。

 

僕は年間100回以上虫探しをし、1,500種類以上の虫と出会いました。

 

そして前回の記事では「花に集まるかわいいハチ」について紹介しました。

 

今回は、前回とはまた違ったハチたちについてお話しします。

 

そのハチは、「寄生バチ」。

 

え?寄生って、なんだか怖い言葉だなぁ…。

 

確かに、言葉を聞くとおぞましいイメージですよね。

 

でも、この「寄生」という生態を持つハチってとても個性的なものが多いんです。

 

あまりメジャーでないので、一般にはあまり知られていないハチが多いです。

 

だからこそ、寄生バチを知ると新しい発見がたくさんあるはずですよ!

 

この記事でユニークな寄生バチのことを知って、虫観察をより楽しいものにしましょう!

 

 

 

 

寄生バチとは? 

寄生バチとは、

 

寄生の対象(=宿主)に卵を産み付け、孵化した幼虫が宿主の体を食べて成長する

※宿主は動物だけでなく、植物の場合もある

 

ような生態を持つハチのこと。

  

チョウ類の幼虫は、よく宿主にされます。

 

例えば、アゲハヒメバチという寄生バチ。

 

アゲハヒメバチは、アゲハチョウの幼虫に卵を産み付けます

 

アゲハチョウの体内で孵化したヒメバチの幼虫は、アゲハチョウを殺さない程度に体を食べて成長していきます。

 

そしてアゲハチョウがさなぎになると、ヒメバチたちは羽化。

 

さなぎの体を突き破って外に出て行きます。

 

虫探しをしていると、以下のようなものを見たら、寄生バチのしわざですね。

  • 繭(まゆ)がたくさん付いたチョウの幼虫
  • 穴が空いたさなぎ

 

チョウの幼虫が寄生される確率はかなり高いと思われます。

 

お、恐ろしいハチだ…。

 

と思うかもしれません。

 

でも、これは動物が生き残っていくために必死で考えた「生存戦略」なんです。

 

寄生することって、寄生する側が自由自在に操る絶対的支配者のようなイメージがありますが、結構リスキーな行動なんですよ。

 

例を2つあげます。

 

(例1)

 

1つ目は、宿主自体が他の捕食者に食べられてしまうかもしれないこと。

 

宿主のアゲハチョウの幼虫自体が鳥に食べられたら、寄生したハチたちは全滅です。

 

寄生バチの話ではないですが、ハリガネムシという虫はカマキリに寄生します。

 

ハリガネムシは他の捕食者に食べられないように、宿主のカマキリを操って安全な場所に移動させてから体外に脱出します。

 

(例2)

 

2つめは、幼虫から必要な栄養が供給されないかもしれないこと。

 

幼虫がえさを探せないかもしれないですし、別のハチがさらに卵を産み付けて栄養の取り合いになるかもしれません。

 

実際に、後から産み付けられた卵を食べてしまうものもいます。

 

また、先に孵化した幼虫が同タイミングで産み付けられた卵(つまり兄弟)を食べてしまう種もいるのです。

 

「あれ?なんだかもっとおぞましい話に…」

 

と思ったかもしれません。

 

でも言いたいことは、「寄生したからラクチン♪」ではなく、寄生者もそれだけ必死にならないと生き残れないということなのです。

 

なぜなら、宿主に依存することによって、宿主のリスクがそのまま寄生者にも降りかかるのです。

 

凄まじい生活を送る寄生バチたちですが、そんな生態に似合わず、とても美しかったり、姿も大変ユニークなものが多いです。

 

これから、実際に紹介していきます。

 

寄生バチの仲間紹介

実は前回の記事「青いハチ?モフモフ?花に集まるかわいいハチたち【虫の魅力紹介】」でも、1種寄生バチを紹介していました。

 

キンケハラナガバチ

キンケハラナガバチ

ツチバチというグループの仲間。

 

宿主はコガネムシです。

 

なので、地面の低い位置を飛んでいることが多いです。

 

それでは、他の寄生バチを紹介していきます!

 

サトセナガアナバチ

サトセナガアナバチ エメラルドゴキブリバチ

エメラルド色に輝く、とっても美しいハチです!

 

その姿からこう呼ばれます。

 

エメラルドゴキブリバチ

 

え?ゴキブリ?

 

なんだか今回は驚かすことばかり言っている気がしますが、この寄生バチの宿主はなんとゴキブリなのです。

 

このハチは毒を持っており、その毒を使ってゴキブリをコントロールします。

 

ゴキブリは毒に脳をおかされ、このハチの巣に誘導されて幼虫に食べられます。

 

すごく残酷なハチだな」と思うかもしれませんが、ゴキブリの方が体ははるかに大きいですからね。

 

どれだけの勇気を持って毒を注入しているのでしょう。

 

僕には、とても勇敢なハチであると感じます。

 

オナガバチの一種

オナガバチの一種

このハチは、「ヒメバチ」というグループの仲間。

 

長ーい尻尾は「産卵管」と呼ばれていて、この管を通して卵を産み付けます。

 

ちなみに、このハチが何に寄生するかは不明。

 

なぜなら、「オナガバチの一種」までしかわからなかったため。

 

ヒメバチって研究が進んでいなくて識別が難しいんです

 

なので一般的な昆虫図鑑には、ヒメバチはほとんど登場しません。

 

というわけで、ヒメバチの仲間はなかなか名前の特定ができないのですが、どのハチも美しいんですよね。

 

産卵管が長くて細身で、スタイルがいいんですよ!

 

今後もっと研究が進んで、ヒメバチのことをもっと知れることに期待です!

 

アメバチモドキの一種

アメバチモドキの一種

こちらもヒメバチの仲間。

 

アメバチの名前の由来は、体がアメ色であることから。

 

こちらも識別は難しいのですが、この種類のヒメバチはガ類の幼虫に寄生することが多いようですね。

 

他のヒメバチと比べて産卵管が短いです。

 

色が目立つので、いたら野外でも見つけやすいですよ!

 

ウマノオバチ

ウマノオバチ

こちらは「コマユバチ」というグループに属します。

 

このハチの宿主は、なんと「シロスジカミキリ」や「クワガタムシ」。

 

クワガタとかも寄生されちゃうんですねー。

 

でも、数はとても少ないハチです。

 

このハチの面白いのは、その産卵管の長さ

 

こちらをどうぞ!

f:id:kkamedev:20180823130305j:plain

体の3倍以上ある長さです。

 

この馬の尻尾のような産卵管が由来で、「ウマノオ」バチとなりました。

 

生態・姿ともにユニークな寄生バチです!

 

ハラアカマルセイボウ

ハラアカマルセイボウ

セイボウというグループに属します。

 

このグループの仲間は、輝く体を持っていて、とても美しいものが多いです。

 

このハラアカマルセイボウの宿主は、ツチスガリという別のグループのハチ。

 

ツチスガリは地面に穴を掘って巣を作ります。

 

ツチスガリが巣穴から出ていったところを狙って、このセイボウが巣穴に侵入し、卵を産み付けるのです。

 

上の写真も巣穴への侵入を狙っているところ。

 

体の大きさは7mmくらいと極小!

 

なので、よく注意しないと見つからないハチです。

 

ちなみに、割とメジャーな近似種に「オオセイボウ」という青く輝くハチがいます。

 

こちらも載せたかったのですが、残念ながら僕はまだ出会っていないので、出会うことができたら記事にします!

 

おわりに

今回は、寄生バチについてご紹介しました。

 

寄生バチは怖いだけじゃなく、とっても面白い虫たちだってこと、わかってもらえたでしょうか?

 

ハチの話が出るたびに紹介していますが、さらに色々なハチを知りたければ、以下の図鑑をどうぞ。

 

今回紹介した、ヒメバチやセイボウの仲間も載っていて、おすすめですよ!

 

合わせて以下の記事もどうぞ↓

おすすめの虫図鑑を知りたい!

おすすめの虫図鑑。1500種以上の虫を識別した僕が紹介!

いろんな虫の魅力を知りたい!

「かわいい・きれい・かっこいい」虫を知ろう!魅力的な昆虫まとめ

 

では、また。