ムクドリって、鳴き声やフンで嫌われてるみたい…。
かわいい姿をしているけど、本当に悪い害鳥なのかな?
こんな疑問に答えます。
ムクドリは街中でも見られる、とても身近な鳥です。
よちよちするような歩き方など、とても愛らしい姿や仕草を持つ鳥です。
一方で、街中の街路樹で群れを作ることなどから、メディアなどで「迷惑な鳥」として扱われることがあります。
しかし、本当にムクドリは一方的に人間に迷惑をかける、害鳥でしかないのでしょうか?
今回は、ムクドリという鳥の魅力のほかにも、人間の生活との関わりについてもお伝えしたいと思います。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。
そんな鳥好きの僕が、ムクドリの特徴と魅力を紹介します。
※動画版はこちら▼
ムクドリの特徴と魅力
ずんぐり体型のかわいい鳥【よちよち歩き】
ムクドリは、スズメよりも2回りくらい大きい鳥です。
スズメとはシルエットも少し違い、少しずんぐりむっくりした体型をしています。
また、スズメはちょんちょんと跳ねる「ホッピング」という歩き方をしますが、ムクドリは脚を交互に動かして歩くタイプの鳥。
その歩く姿は「よちよち歩き」のような感じで、とても可愛らしいです。
よちよち歩きのムクドリ
ムクドリを見かけたら、このよちよち歩きにも注目です!
オスとメスの姿の違い
ムクドリはオスとメスで少し体の色味が違います。
その差はと言うと、「オスの方が色が濃く、黒っぽい」です。
最初はなかなか違いが分かりづらいですが、ムクドリを見慣れると段々と区別がつくようになっていきます。
あとは単体ではなく、"ペアの色を比較する"ことも見分けのコツです。
ムクドリのペア(メスが左、オスが右)
僕が観察する中での印象では、ムクドリのペアはとっても仲が良いです。
例えば、移動する時は、いつも一緒にくっついて行動しているイメージ。
電線などに群れが止まっている時も、雌雄2羽ずつでくっついていることもあります。
もし見かけたら、オスとメスの見分けをするのと合わせて、その仲の良さも観察してみてください!
都市生活に適応した身近な野鳥
ムクドリは開けた場所が好きな鳥。
そのため、郊外では農耕地に多くいます。
すると郊外で多く見られる鳥かと思いますが、実は"都市生活にも適応している鳥"です。
電線に止まっていたり、公園の芝生などで地面をついばみながら歩き回るなど、街中でも良く見られる、最も身近な野鳥の1種なのです。
ちなみに、日本ではとても身近に見られる鳥のムクドリですが、ワールドワイドで見ると、実は分布範囲は広くない鳥。
ムクドリは"アジア付近でしか見られない鳥"であり、欧米のバードウォッチャーに人気の鳥なのです。
自分の生活の中では普通だと思っていることも、視点を変えてみると当たり前でないことも多くあるのも、面白いですよね。
ムクドリはうるさい鳴き声の害鳥なのか?
ムクドリが害鳥扱いされている理由
街中で暮らすムクドリは、「迷惑な鳥」として害鳥扱いされることがあります。
なぜなら、ムクドリは街中では駅前の街路樹などを多数の個体がねぐらにすることから、ねぐら付近での「鳴き声による騒音」や「糞害」などがあるからです。
ムクドリの鳴き声は「キュルキュル」という感じで鳴きますが、単体では決して大きな声ではありません。
ただ数が多くなると、その音量は大きくなってしまうのです。
また、それ以外に「果樹を食べること」も害鳥扱いされている1つの原因のようです。
街中など「人が多くいる場所」では、ムクドリとの共生には多くの課題がありそうです。
もともとは益鳥だったムクドリ
実はムクドリは、日本では元々「益鳥」でした。
なぜなら、日本人はもともと農耕民族。
育てている農作物につく害虫には、多くの農家の方が手を焼いていました。
ムクドリはそんな農作物につく虫たちをどんどん食べてくれます。
農家にとっては農作物を守ってくれる、ありがたい存在だったのです。
ちなみに、ムクドリは漢字で書くと「椋鳥」。
椋とは「ムクノキ」のことで、ムクノキの実を好んで食べることが由来です。
ムクドリは虫だけでなく、木の実も食べる「雑食性」の鳥なのです。
センダンの実を食べるムクドリ
雑食性ということは、ムクドリは農家の育てた果樹なども食べてしまっていたはず。
育てている果樹の割合にもよるかと思いますが、それでも益鳥とされていたのは、かつては農薬などもなく、果樹の被害以上にムクドリの虫を食べるメリットの方が勝ることの方が多かったのではないかと思います。
人間の生活変化によるムクドリへの影響
かつてムクドリが益鳥とされていた時代から、人間の生活は大きく変化しました。
この「人間の生活変化」は、ムクドリにも大きな影響を与えました。
ムクドリはもともと人里近くに住む鳥で、「農耕地付近の屋敷林」などをねぐらとして利用してきました。
しかし、宅地開発などにより、そのような環境は減少。
特に都市部では、屋敷林のような環境は特に少ないです。
また、猛禽類も都会進出をしたため、それらの天敵からも身を守ることを考える必要がありました。
より安全で過ごしやすい場所を探した結果、人が多く天敵に狙われにくい場所である「街路樹」にたどり着いたのです
ムクドリは街に彩りを与えてくれる鳥
今ムクドリに感謝をしている人は、かつて益鳥とされていた時代ほどはいないでしょう。
しかし、今でもムクドリは気づかないところで"人の生活に彩り"を与えてくれています。
今でも人の生活に彩りを与えてくれているムクドリ
道ばたで、木の子どもが生えているのを見たことはありませんか?
その木の種類はケヤキやムクノキ、エノキなど。
それらが生えている場所を観察してみると、多くは「電線の下」や「街路樹の下」だったりします。
これらの木の種を運んでいるのは、実は"ムクドリをはじめとする、街中の野鳥たちのしわざ"だったりします。
街中の鳥たちは木の実を食べ、電線に止まって、植物の種の入ったフンをします。
フンに入った種がたまたま根を張れる場所に落ちるか、雨で流れて道路脇に辿り着きます。
その中の一部の種が、発芽して木に成長していくのです。
このようにムクドリは、人知れず街の緑を増やし「僕たちの暮らす都会に彩りを与えてくれています。
昔と今で人との関係は変化しましたが、今も僕らの暮らしを豊かにしてくれている鳥なのです。
ムクドリと同じ分類に属する鳥たち
ムクドリはスズメ目ムクドリ科に属する鳥。同じ分類の鳥たちを以下で紹介しています。
[スズメ目]
▼
[ムクドリ科]
ムクドリ科の鳥の種類と魅力|歩き方がかわいいずんぐり姿の鳥たち
おわりに:ムクドリを観察してみよう!
ムクドリは「迷惑な鳥」として扱われることの多い鳥ですが、記事で紹介した通りとても可愛らしい鳥であり、僕はとっても好きな野鳥です。
しかし、彼らは勝手に改変されてしまった環境に適応して、身近な場所で暮らし続けてくれています。
そんな背景を知ることで、「新たな対応方法や彼らとの共生の仕方」に繋がることもあるのではないでしょうか。
技術が発展して、人間の便利な生活になるのは素晴らしいことだと思います。
しかし一方で、僕らは「自然から得られる恩恵があった上で、豊かな生活を送ることができている」ということも忘れないようにしたいものです。
ムクドリを観察する時は、その姿や生態のほか、ぜひ僕らの生活との繋がりも考えてみてください!
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