カマキリってどんな虫?
どんな種類がいるの?
こんな疑問に答えます。
代表的な昆虫界のハンター「カマキリ」。
カマキリは、秋に観察したい虫の1つです。
なぜなら、カマキリは春〜初夏の頃に産まれ、数ヶ月かけてようやく成虫になる時期が秋の季節。
1年という単位で見ると、カマキリは晩成型の虫なのです。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、カマキリの種類と魅力を紹介します。
カマキリの特徴と魅力
カマキリは、カマキリ目カマキリ科に含まれる虫たち。
僕が思う、カマキリの魅力は大きく2つ。
2. 故事成語「蟷螂の斧(とうろうのおの)」の由来になった
1. スズメバチをも狩る「昆虫界のハンター」
カマキリはとても人気のある昆虫です。
なぜなら、カマキリは「大きい」「強い」「カッコいい」の3大要素を兼ね備えているため。
そんなカマキリは、代表的な昆虫界のハンター。
昆虫ハンターのカマキリ
「狩り」というと、トンボのように他の昆虫を追って捉えるイメージが強いですが、カマキリはそれらとは違った戦術で狩りをします。
それは「奇襲作戦」。
カマキリは奇襲をするために、体を他のものに似せる「擬態(ぎたい)」を使います。
カマキリは草むらで生活する種が多いですが、カマキリの姿は細長い草に似た姿。
ふつう擬態というと、敵から攻撃されないために使われることが多いです。
しかし、カマキリの場合は、擬態を攻撃のために使います。
敵の攻撃を避けるために擬態しているのではなく、獲物に気付かれずに襲うために擬態しているんですね。
このタイプの擬態を「ペッカム型擬態」と言います。
擬態について詳しくは、以下の記事で紹介しています。
こんなカマキリのターゲットにはなんと、スズメバチも含まれます。
しかしながら、カマキリは大きな鎌による攻撃力は非常に高い代わりに、防御は紙のように薄い。
奇襲作戦が失敗すると、逆にやられてしまうこともあります。
カマキリは、超攻撃特化型の昆虫なのです。
2. 故事成語「蟷螂の斧(とうろうのおの)」の由来になった
カマキリが由来になった故事成語に「蟷螂の斧」という言葉があります。
蟷螂の斧とは、力のない者が、自分の実力もかえりみずに強い者に立ち向かうことのたとえ。
「蟷螂」とはカマキリのことで、相手がどんなに強くてもカマキリが斧に似た前足をあげて立ち向かう様から。
引用: 蟷螂の斧 - 故事ことわざ辞典
昔の中国でも、カマキリは身近な虫だったようですね。
「蟷螂の斧」についての話は、こちらの記事でも紹介しています。
実際、カマキリは気が強いものが多いです。
カマキリを観察していると、威嚇したり、掴んだ時に積極的に鎌で攻撃したり噛んだりしてきます。
カマキリからしたら、とても大きな人間に立ち向かうのはとても勇気のいること。
僕は「勇敢な虫だなー」と思うのですが、この故事成語を作った人はその様子を「虚しい行為」として捉えていたようですね。
カマキリの種類
オオカマキリ
国内最大のカマキリで、大きいもので10cmほど(手の平サイズくらい)あります。
国内最強のカマキリとも言えるでしょう。
林の近くの、背の高い草むらでよく見られます。
このオオカマキリとの見分けが難しい種に、「チョウセンカマキリ」がいます。
チョウセンカマキリとの見分け方
この2種の見分け方は、以下です。
- 後翅(うしろばね)の色
- 前脚の間の胸部分の色
1.は、オオカマキリには黒い斑があるのですが、はねを広げないと見えないので、2.の方が見分けやすいです。
2.の比較は以下の通り。
オオカマキリは黄色、チョウセンカマキリはオレンジ色をしています。
上がオオカマキリ、下がチョウセンカマキリ。
チョウセンカマキリの方が鮮やかなオレンジ色ですよね。
ちなみに、チョウセンカマキリは湿地や川原など、林っぽくない場所に多いので、生息場所が違うという点も参考になります。
他のカマキリもそうですが、緑色型と褐色型のカラーバリエーションがあります。
オオカマキリ 褐色型
生息地の環境に応じてパターン分けしているのでしょう。
生まれた色に応じて隠れる場所を分ける、という戦術を取っているのかもしれません。
コカマキリ
今回紹介するカマキリの中では最も小型のカマキリで、5cm前後です。
オオカマキリよりもスマートな体型をしています。
腕部分に黒い斑があるのが特徴。
オオカマキリと似た環境にいますが、もう少し低い草むらにいます。
クズがたくさん生えているような草地でよく見つかるイメージです。
ちなみに、コカマキリは緑色型が少なく、ほとんど褐色型です。
ハラビロカマキリ
腹部分が広がっている(=腹広)のが名前の由来。
そのためか、他のカマキリよりもずんぐりした印象。
また、腕部分のイボ状の突起が見分けポイントです。
ポーズもちょっと特徴的で、腹を反り上がらせるようなポーズをよくとります。
さらに他のカマキリとちょっと違うのが、草むらではなく、樹上に多いこと。
よく木登りしているところを見つけます。
このカマキリは結構寒い時期まで活動していて、12月を過ぎても見られます。
虫の数が少なくなってしまう時期に見られる、ちょっと嬉しい虫です。
カマキリから教わる人生の真理
カマキリは人気の虫という話をしましたが、カマキリにまつわる話を1つ紹介します。
俳優であり、歌舞伎役者でもある香川照之さん。
香川さんもカマキリが大好きということで、テレビ番組「昆虫すごいぜ!」でカマキリの着ぐるみ姿で昆虫解説をするほどです。
番組内で熱い解説をしたり、目的地の途中の草むらで大幅な道草を食ってしまう姿を見て、「自分も同じことやるなー」と思いながらいつも見ています。
香川さんは、ナショジオのインタビューでこんなことを語っています。
精神的にハングリーであり続けることがどれだけ大切か、僕はそれをカマキリから学びました。
カマキリの飼育中の観察で、人の生き方にも共通する真理を得られたとのこと。
虫の行動って、人の行動に置き換えられることもたくさんあり、根本的な部分は共通していることも多いなと感じます。
先ほど紹介した「ペッカム型擬態」だって、人間生活に置き換えて考えることはできると思いますしね。
ちなみに、虫から受け取ったメッセージといえば、僕もショウリョウバッタが踏まれて死ぬ姿を見て、命の儚さと生き様について考えさせられたことがあります。
人間からしたらとっても小さな体で、寿命もとっても短い虫たち。
その命も軽んじて見られる傾向があります。
ですが、彼らを観察していると、僕たちに重要なメッセージを送ってくれることがあります。
まさに「一寸の虫にも五分の魂」です。
「ちっぽけな虫」と思うだけではなく、虫だってよく観察することで学べることや自分に活かせることはきっとたくさんあるのではないでしょうか。
おわりに:大きくてかっこいいカマキリをもっと楽しもう!
カマキリは大きくてインパクトのある虫なだけに、出会った時の喜びも大きいもの。
そのような「虫たちを発見した時の喜びを表現したい!」と開発したアプリが、以下の「虫コレクション」。
■ 虫集め特化の放置系ゲーム「虫コレクション」
虫コレクションについて詳しくは、以下の記事でも紹介しているので、ぜひご覧ください↓
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