僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、オススメする虫漫画を紹介します。
それは、ミツバチが主人公の漫画「サバイビー」。
週刊少年ジャンプに掲載されていた作品で、作者は「つの丸」先生。
つの丸先生と言えば、有名な作品に「みどりのマキバオー」があります。
僕はマキバオーも読みましたが、こちらの「サバイビー」の方によりハマりました。
というのも、サバイビーは「絵のタッチはコミカルながら、作中登場する虫の知識は本格的」な作品なのです。
虫好きにはたまらない虫の話がポンポンと出てきます。
僕は先日、久しぶりにこの作品を読み始めたら、一瞬で全巻読破してしまいました。
やっぱり大人になっても夢中になってしまうほど面白い作品でした。
いや、むしろ大人になって虫の知識を知った事でより楽しめたように感じます。
というわけで、この作品の魅力と楽しむポイントを、あまりネタバレしないようにしつつ、
- 魅力的な虫キャラたち
- 物語に次々と出てくる虫知識たち
- 昆虫たちの壮絶なストーリー
という観点で伝えていきます!
主人公バズーと魅力的な虫キャラたち
まずはこの作品に登場する魅力的なキャラたちを紹介します。
主人公はミツバチのバズー
主人公は、みなしごのミツバチ「バズー」。
バズー(ニホンミツバチ)
ちなみに日本には、あとセイヨウミツバチという種類のミツバチがいます。
以下の記事で、ニホンミツバチの特徴やハチミツの話をしています。
ミツバチの知識を知っておくことでサバイビーがより楽しく読めますので、ぜひご覧ください。
バズーは、真面目で正義感が強くて無鉄砲。
勇敢ですが、すぐにトラブルに首を突っ込んでいきます。
そんな無茶をするバズーを、周りの仲間たちがうまくサポートしてくれています。
バズーの家族同然の仲間たち
バズーには、みなしごである彼と同じような境遇の、家族のような仲間達と寄り添って生活しています。
ギロ(ハサミムシ)
冷静沈着な、みなしご家族のリーダーです。
イップ(おそらくミイデラゴミムシ)
バズーの親友的存在。お調子者な性格です。
ボミー(小さなゾウムシ)
かわいい弟のような、マスコットのような存在。言葉はしゃべりません。
文太(カナブン)
食いしん坊で、食事中に下品な話もします。
エンゾーさん(コオロギ)
仲間たちを一歩引いた位置で見守る、大人な存在。
音楽家で、リクエストすると演奏してくれます。
旅で出会う仲間たち
作品が進むと、バズーはわけあって旅に出るのですが、その旅の道中でもまた、面白い仲間たちに出会います。
ライバー(ケラ)
ぶっきらぼうだけど、いつも冷静にバズーのピンチを助けてくれる、頭が切れて頼りになるヤツです。
デブリン(ゲンゴロウ)
※デブリンのモチーフは多分ナミゲンゴロウですが、写真がなかったので別種のゲンゴロウを貼っています
ゲンゴロウなのに、飛べない・泳げない役立たず。だけど、イイヤツ。
こんな感じに、いろんな虫たちがキャラクターになって登場します。
それぞれ、その虫ならではの特技や個性を持っていますよ!(特技の内容は、作品を読んでのお楽しみ)
敵キャラ
この作品の最強にして最凶の敵が「スズメバチ」です。
スズメバチ
現実世界でも、スズメバチはミツバチの巣を襲うことがあり、ミツバチにとっては怖い天敵です。
スズメバチはその毒針で人間を攻撃することもあるので、人間も恐れる昆虫ですね。
このスズメバチだけは他の虫と違い、キャラクター化されずに虫そのままの姿で出てきます。
他の虫たちは喋りますが、スズメバチだけは喋りません。
そのあたりの演出もあって、作中では非常に不気味・怖い存在となっています。
物語で紹介される虫の知識たち
物語では、様々な虫の知識が紹介されます。
この作品では、これらを発見したり、現実世界の虫たちとリンクさせることで、より楽閉めます。
この虫の知識たちは、
- キャラクターの性格
- キャラクターの技
- キャラクターの行動パターン
といったところに反映されています。
でもこの虫の知識、作品ではストーリー上重要なポイント以外ではあまり解説していないんですね。
知識を持っている人が見ると、その隠し要素的なものに気付いて
「この虫のこの習性をこう表現しているのかー」
「ここは虫のこの特徴を示しているんだな」
と感心・納得させられます。
そして、次はどんな話が出てくるんだろう、とワクワクするのです。
そのことに気付かなくても十分面白いんですが、知っていると色んな仕掛けに気付けてさらに楽しめるんですね。
ちなみに僕の小学生時代は、そのあたりは雰囲気や演出だと思って気付かずに読んでいたので、このことに気づいたのは先日読み直した時です。
あまり言うとネタバレするので、ぼかしつつ少しだけ具体例を出します。
ミツバチの毒針
作中で、ミツバチが「毒針」を使うシーンが1箇所だけあるんです。
このシーンを見る時、ハチの毒針の知識を持っていると、キャラクターの言葉にしていない気持ちがはっきり分かるんです。
ミツバチもスズメバチも毒針を持ちますが、両者の毒針はちょっと仕組みが違います。
- スズメバチ → 何度でも毒針を刺せる
- ミツバチ → 一度毒針を使うと内臓がちぎれて死んでしまう
上の通り、ミツバチにとって毒針を使うということは、「命を賭けた最終手段」なのです。
リアルでもミツバチが毒針を使うのは、巣が襲われた場合など、「命を賭けて守らなければならないものがある時」なのです。
作品中で、この毒針が登場するシーンでは、この仕組みの違いの説明はありません。
でも、あるキャラクターがこれを表現したセリフをしゃべるんです。
ぜひ、読むときはその注目のセリフを探してみてください。
また、サバイビーでは虫だけでなく鳥も登場します。
昆虫を食べる「モズ」
登場するのは、「モズ」。
モズは以下の記事で紹介しています↓
もちろんこのモズも、この作品でその野生動物としての習性が紹介されています。
ちなみに、僕が小学生の頃は野鳥については全然知りませんでした。
しかし、この作品を読んだおかげで「モズ」の名前と習性だけは大人になってもずっと覚えていました。
このように夢中で読んでいたら、無意識に勉強にもなっていたようです。
昆虫たちの壮絶なストーリー
冒頭でも言いましたが、絵はコミカルですがストーリーはかなり壮絶。
もちろんこのストーリーはフィクションなのですが、現実の虫たちの生活もこのストーリー同様に厳しい世界で暮らしています。
むしろ、現実の虫たちの厳しい世界をこの漫画という形で見せているのがこの作品です。
作品内では、彼らは危険だらけな世界でもたくましく生きています。
現実の虫たちも全く同じ。
ちなみに、この漫画内では人間は登場しませんが、人間が捨てたであろうゴミは登場します。
登場する虫たちはゴミと認識しておらず、アイテムとして使っていますが。
この漫画は、
- 読む事で虫たちの暮らす姿を知ることができたり
- 人間が与える環境への影響などを考えるきっかけになったり
あまり他の漫画にはない、ユニークな作品です。
おわりに:虫のことが好きになる「サバイビー」を読んでみよう!
実はこの「サバイビー」は、前から紹介したかった作品でした。
先日実家から漫画を持って帰って読んだことで、ようやく書けました。
子供の頃からずっと好きな漫画で、今の僕の活動にも影響を与えているかもしれません。
表現方法としても、漫画という形で敷居低く虫のことを伝える方法は、とても参考になります。
サバイビーは全3巻。
あっという間に読み終わってしまうボリュームなのですが、その3巻の中には濃密な内容が詰まっています。
虫のことがさらに好きになれる作品!
ぜひ読んでみてくださいね。
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