ニホンミツバチとセイヨウミツバチって何が違うの?
作られる蜂蜜には違いがあるの?
こんな疑問に答えます。
日本には2種類のミツバチが生息しています。
- ニホンミツバチ
- セイヨウミツバチ
見た目は似ている2種ですが、行動や習性には見た目以上に大きな違いがあります。
また、彼らが作るハチミツにも違いがあり、僕たちの生活にも関係しているんですね。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、ニホンミツバチとセイヨウミツバチの特徴と魅力を紹介します。
- 日本に生息する2種のミツバチの特徴
- ニホンミツバチとセイヨウミツバチの違いと見分け方
- ミツバチによる蜂蜜(ハチミツ)の違いと種類
- ニホンミツバチとセイヨウミツバチと同じ分類に属する虫たち
- おわりに:ニホンミツバチとセイヨウミツバチを観察して比べてみよう!
日本に生息する2種のミツバチの特徴
ニホンミツバチとセイヨウミツバチは、ハチ目ミツバチ科というグループに属する昆虫。
この2種のミツバチは、どちらも僕らの食卓に並ぶ蜂蜜(ハチミツ)を作るハチです。
なのでどちらも人間生活にとっても身近なハチなんですね。
冒頭でお話しした通り、彼らは姿がとっても似ています。
しかし、その性格や習性には意外にたくさんの違いがあるのです。
ニホンミツバチ
実は「ニホンミツバチ」は種名ではなく、「トウヨウミツバチ」という種の1亜種。
このように同じ種でも、生息する地域により大きな外見変化があるものを「亜種」と呼びます。
つまり、ニホンミツバチとは、日本に長年住むことによって、日本ならではの特徴を持つようになったトウヨウミツバチなのです。
ちなみに、以下の記事で紹介した漫画「サバイビー」の主人公バズーはニホンミツバチ。
この記事でニホンミツバチの特徴を知ってから読むと、また面白い発見があると思います。
セイヨウミツバチ
セイヨウミツバチは、実は元々日本にいなかったミツバチです。
つまり、外来種なのです。
海外から来た事は、名前の漢字にも表れています。
- セイヨウミツバチ = 西洋蜜蜂
- ニホンミツバチ(トウヨウミツバチ) = 日本蜜蜂(東洋蜜蜂)
セイヨウミツバチは養蜂用に、ヨーロッパのミツバチが輸入されたもの。
ただ、現在は色々な亜種の血が混じり、混血のミツバチ、いわゆる雑種になっているようです。
ニホンミツバチとセイヨウミツバチの違いと見分け方
2種の見分け方で、最も分かりやすいのは、「体の色」。
- ニホンミツバチの方が体が黒っぽい
- セイヨウミツバチの方がオレンジ色が強い
上の写真を見ると、セイヨウミツバチは腰周りの色がオレンジです。
※ 正確に見分けるには、翅脈(はねの脈状のすじ)を見る必要があります
野生と飼育
ニホンミツバチは野生の虫であり、セイヨウミツバチは飼育されて生きられます。
セイヨウミツバチは、元々日本の生き物ではない為、日本という環境に適応できていません。
ニホンミツバチがかからないような病気になったり、日本の気候に弱いです。
養蜂家さんの手によって、生活場所を管理してもらう必要があるのです。
それに対してニホンミツバチは日本の気候や環境に慣れています。
危機回避も自分たちで行っていて、温度変化など巣の環境が悪くなると巣の引っ越しをします。
その分セイヨウミツバチは巣の引越しをせず、巣内の環境は養蜂家に委ねられます。
- ニホンミツバチ = 丈夫だけど自由奔放
- セイヨウミツバチ = 世話が大変な引きこもり
こんなイメージでしょうか。
ちなみに、後述しますが、セイヨウミツバチの方が蜂蜜を集める能力は高く、採蜜量も多いといった特徴もあります。
オオスズメバチへの対抗手段
オオスズメバチはミツバチをエサにするために巣を襲うことがあります。
オオスズメバチ
しかし、長年オオスズメバチに苦しめられていたニホンミツバチは、独自のスズメバチへの対抗手段を身につけました。
その名も「熱殺蜂球(ねっさつほうきゅう)」。
オオスズメバチよりもミツバチの方が耐熱性が高いことを利用した攻撃です。(オオスズメバチは致死温度が約45度、ニホンミツバチは約49度)
オオスズメバチに数百匹のミツバチが球状に集まって体を動かします。
すると蜂球内の温度が上がり、ミツバチよりも若干暑さに弱いスズメバチは、ミツバチよりも先に死んでしまう。
これこそが、ニホンミツバチが長年の天敵である、スズメバチに対抗するためのニホンミツバチの必殺技なのです。
それに対し、もともとセイヨウミツバチが住むヨーロッパには、オオスズメバチはいませんでした。
なので、オオスズメバチへの対抗手段は持たず、襲われると無謀にも単体で突撃する手段を取るのです。
なので、セイヨウミツバチの巣がオオスズメバチに狙われると、対抗できずに全滅させられてしまうことが多いのです。
ミツバチによる蜂蜜(ハチミツ)の違いと種類
ニホンミツバチ、セイヨウミツバチはそれぞれ蜂蜜を作りますが、その量も味も異なります。
量は先述しましたが、セイヨウミツバチの方が採蜜量が多いです。
ハチミツの味については、実は同じ種のミツバチであっても味が異なります。
その理由は、集める花の蜜の種類が違うからです。
- ニホンミツバチ = 複数の花から集める
- セイヨウミツバチ = 特定の花から集める
ニホンミツバチは生息地近くの花から集めているきて、セイヨウミツバチは養蜂家さんがコントロールします。
なので特にニホンミツバチはどこで育てたのかによって、蜂蜜の味は大きく変わるのです。
ニホンミツバチの場合、ドロっとして色が濃いものが多く、味もしっかりしています。
セイヨウミツバチの場合は、レンゲやアカシアなどの蜂蜜が人気で、スッキリ・サラッとした蜂蜜になります。
また、セイヨウミツバチの場合は、「プロポリス」「ローヤルゼリー」といったものも収穫できます。
プロポリスは、ミツバチが巣内の殺菌、保護をするために作ったもので、抗菌・消毒作用のある「自然健康食品」として利用されています。
ローヤルゼリーとは、女王バチ候補だけが食べられる、ミツバチにとって特別なエサで、人間にとっても栄養価の高い食品です。
価格は、その希少さによって変わります。
採れる量の少ないニホンミツバチのハチミツや、ローヤルゼリーなどは高価です。
また、ニュージーランドにはマヌカという植物があり、その花の蜂蜜は「マヌカハニー」と言って、高級品になっています。
こちらの蜜を集めるのはセイヨウミツバチですね。
僕がニュージーランドに行った時もお土産にも買って帰ってきましたが、一般的な蜂蜜のイメージとは違い、液体状でなくクリーム状の蜂蜜です。
植物の受粉を助ける大事な虫
先述した通り、ミツバチは様々な花から蜜を集めますが、この行動は植物の受粉を助けています。
蜜を集めるために花の奥に入っていくと体に花粉が付着しますが、その花粉を付けた状態で次から次へと花を移動することで、動けない植物の代わりに花粉を運んでいるのです。
このように植物には、昆虫をはじめとする動物と協力し合って受粉をするものも多いのです。
植物の様々な受粉の方法について詳しくは以下の記事で紹介しています。
ニホンミツバチとセイヨウミツバチと同じ分類に属する虫たち
ニホンミツバチとセイヨウミツバチはハチ目ミツバチ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[ハチ目]
膜翅目(ハチ目)の昆虫まとめ|ハチやアリなど社会性を持つ昆虫がいる
▼
[ミツバチ科]
おわりに:ニホンミツバチとセイヨウミツバチを観察して比べてみよう!
日本でスズメバチにも負けずにたくましく生きる「ニホンミツバチ」。
慣れない日本でも、人の手でサポートされながらも懸命に生きる「セイヨウミツバチ」。
ミツバチを見かけたときは、ぜひ観察してこれらの違いを確認してみてください!
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