ハエって糞とかに集まって汚くて気持ち悪い…
あまり良いイメージないなあ。
というあなたへ向けて記事を書きます。
ハエや糞虫など、いわゆるうんちに群がる虫って、嫌われがちですよね。
でも彼らは「分解者」といって、実は自然界にとって大切な存在。
彼らが欠けたら、自然のバランスが崩れるほどの重大な役割を担っているのです。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、分解者の虫たちの特徴と魅力を紹介します。
分解者とは
分解者とは、狭義には
です。
上記のような働きをするのは、細菌などの「微生物」。
しかし広くは、有機物 → 無機物に分解する過程を助ける生き物も「分解者」と呼ばれます。
中学の教科書でも上記は分解者に含まれ、以下のような定義されているようです。
分解者:消費者のうち,生物の死骸や排出物に含まれる有機物を取り入れている生物(菌類や細菌類など)をいう。
と、ちょっと小難しい話になってしまいました。
ざっくり言うと、分解者とは動物の死骸、落ち葉(=植物の死骸)、糞などをえさとする生き物たちのことを言います。
分解者は自然界を支える大切な役割を持つ
分解者は自然界において、大事な役割を担っています。
それは、「微生物たちが有機物を分解できるように、たすきを繋ぐこと」。
実は微生物たちは、死骸や糞の形のままだと、大きすぎて分解することができません。
そこで、「ハエなどの分解者」が動物の死骸や糞を食べ、それを自身の糞という小さなサイズにすることによって、ようやく分解が可能になるのです。
動物の死骸や糞がスピーディーに分解されるのは、紛れもなくハエたちのおかげなのです。
その働きは、以下のようなエネルギー再生のサイクルを生みます。
↓
ハエたちが小さくした有機物を、「細菌」がリンや窒素などに分解
↓
「植物」がリンや窒素を養分として吸収して育つ
↓
植物を「動物」たち消費者が食べて消費する
↓
動物たちが死んだり、糞をしたりして、それを「ハエ」たちが食べる
では、分解者がおらず、有機物の分解がされなくなるとどうなるでしょうか?
すると、植物の栄養分となるリンや窒素が作られなくなり、植物は育たなくなります。
つまり、「砂漠化」していきます。
「都会の砂漠」なんて表現がたまにされますが、動物の死骸も糞もほとんどなく、消毒・除菌で微生物のいない都会などは、実はリアルに砂漠に近い環境なのですね。
ハエは汚い虫として嫌われますが、もし本当に彼ら分解者が生きられないような完全に除菌された環境になったら、自然に植物が育つことのない、超過酷な環境になってしまうことでしょう。
彼ら分解者は、自然界にとってそれほど大切な存在なのです。
分解者の弱点
そんな大切な分解者たちにも、弱点が存在します。
それは、病原菌やウイルスを媒介すること。
死骸など腐食したものや糞尿を餌とする分、それらに含まれるウイルスや病原菌をその体に宿してしまいがちなのです。
大事な仕事を受け持つからこそのリスクなのですが、人間にとって重大な病気を広めたりすることもあり、大変悩ましい問題です。
うまく共存できる距離感を作っていけると良いのですが。
分解者の虫たちを紹介
■ オオクロバエ
動物などの糞に集まり、ウイルスを媒介することもあるので、嫌われ者になりがちなハエ。
でも僕は、漆黒の体にエメラルド色のボディは綺麗と思います。
■ キンバエ
こちらも動物の糞などに集まります。
光沢のある金色・緑色のボディを持ちます。
糞のイメージがなければ、普通に美しい姿の虫だと思います。
■ オオヒラタシデムシ
森に行くと、地面をよく歩いている甲虫です。
動物の死骸を食べ、ミミズなどに群がっているところをよく見ますね。(※ミミズも枯葉を食べる分解者)
個体数も多いし、森の中の分解者として、大きな役割を担っていると思われます。
■ オサムシ
緑色の光沢が美しい虫で、ファンも多いです。
生きた獲物も食べますが、死骸も食べます。
以下の記事で、かっこいい甲虫としても紹介しました↓
■ オオセンチコガネ
知る人ぞ知る、代表的な美しい姿の分解者。
いわゆる「糞虫」と呼ばれる虫なのですが、虹色に輝く体を持つ美しい虫です。
「こんな美しい虫が糞を食べるなんて…」と思うかもしれませんね。
キンバエやオサムシもそうですが、糞や死骸を食べる分解者って、意外にキラキラと美しい姿の虫も多いんですよ。
おわりに:分解者の虫たちのことをもっと知ろう!
「分解者」の虫たちは死骸や糞に集まる習性があるため、どうしても嫌われがちです。
でも、僕らが快適に暮らすことができるのはその汚れ役を彼らが担ってくれているからこそなのですね。
彼らを色々な面から知ることで、より深く彼らを理解したり、興味を持ってもらえたら嬉しいです。
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