「虫」と「昆虫」って何が違うの?
こんな疑問にお答えします。
「虫」と「昆虫」という言葉。
よく似た身近な言葉ですが、これらの意味の違いを知っていますか?
あまり違いを意識せずに使っていることも多いかもですが、実はこの2つの言葉が指す生き物の範囲は結構違います。
ちなみに僕は当ブログで「約2,000種類の虫に出会いました」のような紹介をすることがありますが、実はこれ正確ではないです。
正しい言葉だと「約2,000種類の昆虫と出会いました」です。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、虫と昆虫の言葉の意味と違いを紹介します。
虫という言葉の意味と起源
wikipediaでは以下のように記述しています。
虫という漢字の由来は、ヘビをかたどった象形文字で、本来はヘビ、特にマムシに代表される毒を持ったヘビを指した。読みは「キ」であって、「蟲」とは明確に異なる文字や概念であった。
蟲という漢字は、もとは、人間を含めてすべての生物、生きとし生きるものを示す文字・概念であり[3]、こちらが本来「チュウ」と読む文字である。
(略)
発音ももっぱら「チュウ」とされるようになり、意味合いも本来の「虫」と混化してヘビ類ないしそれよりも小さい小動物に対して用いる文字へと変化していった。
引用: 虫 - Wikipedia
「虫」はもともとヘビを指す言葉だったのですね。
現在は初期の頃と意味合いが変化し、明確な定義はなくかなり曖昧な言葉となっているようです。
昆虫、クモ(クモ綱)、ダンゴムシ(甲殻類)のほか、ミミズやカタツムリなども虫と呼ばれています。
でもダンゴムシと同じ甲殻類であるエビやカニは含まれません。
また、これらの動物とは遠い関係にある「ギョウチュウ」「ミドリムシ」にも、名前に虫を連想させる言葉が入っていたりします。
生物分類的にもかなりごちゃ混ぜになっていて、思いのほか「虫」の定義って難しいんですね。
虫と昆虫の定義の違い
「虫」という言葉に対して、「昆虫」には明確な定義があります。
なぜなら、昆虫は「生物分類における言葉」だから。
生物は、分類学において階層化されて分類されています。(以下は基本的な階層)
昆虫とは、この生物分類における「昆虫綱」というグループに属する生物のことです。
■ カブトムシ
綱:昆虫綱
目:甲虫目
科:コガネムシ科
種:カブトムシ
■ ナミアゲハ
綱:昆虫綱
目:チョウ目
科:アゲハチョウ科
種:ナミアゲハ
このように、昆虫は必ず「昆虫綱」に属するんですね。
ちなみに、昆虫綱は「六脚亜門」というグループの下に含まれます。
六脚亜門というグループは、「成虫の脚(あし)が6本であること」が特徴。
この特徴は、昆虫であるための1つ大きな条件なのです。
なので、虫の言葉の起源の例で出てきた、クモやダンゴムシは虫と呼ばれますが、昆虫ではありません。
脚が6本でないからですね。
例えばクモは、
綱:蛛形綱
目:クモ目
と、節足動物ではありますが昆虫綱ではありません。
ダンゴムシは、
綱:軟甲綱
目:ワラジムシ目
と、同じく節足動物ではありますが昆虫綱ではありません。
ついでにエビは、
綱:軟甲綱
目:エビ目
ということで、ダンゴムシもエビも「軟甲綱」であり、昆虫よりもエビに近い仲間であることが分かります。
一般的には混同されがちですが、「虫」と「昆虫」は明確に違うものを指しているんですね。
ちなみに、生物の分類ルールについては、以下の記事で詳しく紹介しています↓
昆虫の分類については以下をどうぞ↓
「虫」と「昆虫」の違いまとめ
まとめると「虫」と「昆虫」の意味は、それぞれ以下の通り。
・昆虫=「節足動物門六脚亜門昆虫綱」のグループに含まれる生物
冒頭で触れた、「約2,000種類の虫と出会いました」が正しくないと言うのは、僕が言っている種類数のカウントにはクモやカタツムリは種類数にカウントしていないからだったのですね。
ちなみに、僕は「虫」の方が言葉も短くて親しみがあるイメージなので、「虫」を使っています。
虫を見た時や、これらの言葉を使う時はこの違いを思い出して見てくださいね。
他の虫の紹介、虫ゲーム・アプリ、虫観察、用語解説などに関する記事はこちらから↓