街で見られるカラスには、2種類いるってホント?
こんな疑問にお答えします。
日常生活でよく見かける野鳥、カラス。
街中でよく見られる身近なカラスは、実は2種類います。
その2種とは、ハシブトガラスとハシボソガラス。
この大型のカラスたちは、非常に賢い行動を取る鳥であり、観察する上で面白い鳥たちです。
さらに日本では身近すぎるほどの距離感の鳥ですが、世界的にはこんな距離感でカラスを観察できる国は希少。
日本という国は、大型カラスを観察するのに非常に恵まれた国でもあるのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。
そんな鳥好きの僕が、ハシブトガラスとハシボソガラスの特徴と魅力を紹介します。
※動画版はこちら▼
- ハシブトガラスとハシボソガラスの特徴
- カラスは賢い鳥?
- 大型のカラスが街中で観察できる日本は珍しい
- ハシブトガラスとハシボソガラスと同じ分類に属する鳥たち
- おわりに:ハシブトガラスとハシボソガラスを観察してみよう!
ハシブトガラスとハシボソガラスの特徴
ハシブトガラスとハシボソガラスは、スズメ目カラス科というグループに属する鳥。
両カラスの共通点は、身近な真っ黒な姿のカラス、といったところでしょうか。
カラスと言うと、真っ黒な鳥というイメージがありますが、実はカラス科のグループには様々な姿の鳥が含まれます。
他のカラス科の鳥たちは、以下の記事で紹介しています↓
今回紹介するカラスたちは、どちらも人に近い場所で見られる鳥ですが、それぞれ特徴や習性が異なります。
ハシブトガラスは太いくちばしを持つ都会派のカラス
ハシブトガラスの名前の由来は、「ハシブト=くちばしが太い」こと。
名前の通り、立派な太くて湾曲したくちばしを持っています。
また、以下のような特徴があります。
・体が真っ黒でなく、青みがかる
・地上ではホッピング(スズメのようにピョンピョン跳ねる)して移動
鳴き声は、「カア、カア」と澄んだ声。
カラスの声というと、こちらの声のイメージが強いのではないかと思います。
ちなみに、ハシブトガラスはもともと、森の中で暮らしていましたが、いつからか都会に進出。
ビルや家の高低差や見通し悪さが、森の中の環境と共通点があり、都会に適応しやすかったようです。
ハシボソガラスはひらけた場所を好む田舎派のカラス
ハシボソガラスの名前の由来もくちばしからで、「ハシボソ=くちばしが細い」こと。
ハシブトガラスよりも湾曲も弱く、スッとしたイメージ。
体の大きさも、ハシブトガラスよりも少し小さめです。
そのほかの特徴は以下の通り。
・体は全身真っ黒
・地上では足を交互に動かして歩く
鳴き声は、「ガー、ガー」と濁った声です。
ハシブトガラスは都会派でしたが、ハシボソガラスは田舎派。
畑のような開けた場所を好みます。
ビルが立ち並ぶような場所でなく、見晴らしの良い郊外の町でよく見られるカラスです。
2種の違いまとめ
2種の身近なカラスの違いをまとめると、以下の通りです。
カラスは賢い鳥?
ちなみに、カラスというと「賢い動物」と言われることがよくあります。
例えば賢さを示す行動として、ハシボソガラスがくるみを車に踏ませて割って食べる、という話があります。
自分でくるみを割るのは労力がいるので、車の重さを利用することを思いついて実践したのです。
くるみを車に踏ませるハシボソガラス
人間の道具がむしろ動物たちに使いこなされているなんて、驚きですよね。
カラスたちがこんなことをできるのは賢いだけでなく、車の特性を見抜く「観察力」と、それを実践する「遊び力」も影響していると思います。
カラスの賢さについては、以下で詳しく紹介しています↓
人間たちをもうならせる「カラスの行動」も、観察する際には注目したいポイントですね!
大型のカラスが街中で観察できる日本は珍しい
日本では当たり前のように見られる2種のカラスですが、実は世界的には街中で大型のカラスが見られるのは珍しい。
海外から日本に来た観光客は、街中にカラスがいることに驚くとのこと。
世界的には街中でカラスが見られるのは希少
ちなみに僕は何度か台湾で野鳥観察をしたことがありますが、街中では黒いカラスは一度も見られませんでした。
台北の市街地から離れた山で1度見ただけです。
山でカラスと出会った時、僕とカラスの間には500mくらいは距離がありました。
なんとか撮れそうだったのでカメラを構えたのですが、「よし、撮れそう!」と思った瞬間に、僕の気配を感じたカラスたちは山の裏側の方に飛んでいってしまったのです。
このように、台湾の黒いカラスは、日本と違って街中では見られない上に、警戒心が非常に強い。
大型の黒いカラスたちを身近に見られる日本って、希少な環境なんです。
実はカラスは、世界的かつ歴史的にも神聖化されている野鳥です。
その証拠に、世界中の多くの神話にも登場。
・中国神話「三足烏(さんそくう)」:縁起の良い鳥として登場
・日本の風土記「八咫烏(やたがらす)」:道に迷った神武天皇を道案内する
それぞれ位の高い存在だったり、重要な役割を担っています。
先述した通り、世界的にはカラスは街中でお目にかかれません。
また日本でも森の中が主な生息地だった頃は、カラスは滅多にお目にかかることのできない希少な存在だったのかもしれませんね。
日本は、カラスを毎日でも間近に見ることができます。
そんな環境は滅多にないので、この際彼らのカッコいい姿を存分に堪能してしまいましょう!
ハシブトガラスとハシボソガラスと同じ分類に属する鳥たち
ハシブトガラスとハシボソガラスはスズメ目カラス科に属する鳥。同じ分類の鳥たちを以下で紹介しています。
[スズメ目]
スズメ目の野鳥まとめ|美しい声を持つ鳥類最大のグループ
▼
[カラス科]
カラス科の野鳥の種類と魅力|黒くないカラスがいる?実は多彩な姿の鳥たち
おわりに:ハシブトガラスとハシボソガラスを観察してみよう!
日本では嫌われ者だったり、怖がられるカラスですが、逆に考えるとあれほどの存在感を示す野鳥はなかなかいません。
日本以外ではなかなか身近に見られない鳥なのだと思うと、少し興味が湧きませんか?
よく見知った生き物でも、その習性や生態を深く知ると、とっても面白くなります。
例えば、メジロは身近な鳥ですが、夏は一部が山に移動するんです。
真夏は山ごもり部隊がいるので目にする機会が減るメジロ
このようなちょっとした習性を知ると、その生き物に興味が出たり、実際に確認してみたくなりますよね。
野鳥観察は、カメラで鳥の写真を撮るだけではありません。
上記のような、野鳥たちの多様で面白い魅力を観察して楽しむ趣味なのです!
以下では、野鳥観察の始め方を観察に役立つ知識や道具とともに紹介していますので、ぜひご覧ください!
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