すごい強そうな脚の鳥がいるよ!
この鳥って、どんな鳥?
こんな疑問にお答えします。
写真の鳥は、バン。
水田や川などの水辺で見られる、クイナ科の野鳥です。
バンは水辺に住む鳥ながら、実は泳ぎも飛ぶのもあまり得意ではありません。
しかし、代わりにバンは強靭な脚を持ちます。
その脚により、他の鳥にはないユニークな行動ができるのです。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。
そんな鳥好きの僕が、バンの特徴と魅力を紹介します。
バンの特徴と魅力
赤と黄色のカラフルな顔
バンは水田や川などの水辺で見られる、「ツル目クイナ科」というグループに属する鳥です。
黄色のくちばしと赤いラインが特徴的な鳥です。
黄色のくちばしと赤いラインの目立つバン
黒い体とは対照的な、カラフルな顔がよく目立ちますよね。
また体の下の方を見ると、「大きくしっかりとした脚」も目に付きます。
ちなみに幼鳥には、特徴的な顔の赤いラインがありません。
顔の赤いラインのないバンの幼鳥
また体の色も成鳥とは違い茶色く、一見別の鳥のように見えてしまいますよね。
でもその「脚」を見ると、成鳥と変わらない力強い姿をしているのです。
黄色い大きな脚を持つ
バンの大きくしっかりとした「脚」にも注目してみましょう。
体のバランスに似合わないほどの大きな脚はバンの最大の特徴であり、その「機能面」を見ても面白いのです。
バンは水辺に住む鳥ですが、実は泳ぎが得意ではありません。
というのも、バンはカモのように脚に発達した水かきがついていないんですね。
なので脚だけでスイスイ泳ぐというわけにはいかず、水上では首を前後に振って、全身を使って進みます。
また、ほとんど水上にいるカモに対して、バンは陸上でえさを探していることも結構あるのです。
陸上で歩く姿も良く見かける
ちなみに飛ぶのもあまり得意ではないようで、飛んで遠くに逃げるのではなく、「歩いたり泳いだりして、水際の茂みに移動」することが多いです。
このように、泳ぐのも飛ぶのも得意でないバンが持つ武器が、「強靭な脚」なのです。
大きな脚を使った特技
バンの力強い脚が活躍するのは、「物を掴む時」。
バンの脚は物を掴むのに適していて、"不安定な場所でも自分の体を支えることができる"のです。
例えば、木の枝を歩いたり登ったり、細い足場もガシッと掴んでバランスを取ることができます。
以下の写真でも、小さな足場をガシッと掴んで体を支えていますよね。
小さな足場にいるバン
さらに、それどころか不安定なロープの上を、綱渡りすることもあります。
その様子が、こちら。
ロープの上を綱渡りするバン
このような細いロープを掴んで、その上を悠然と歩く姿を見た時はびっくりしました。
バンと同グループの鳥にクイナがいますが、クイナがこんなことをする姿は見たことがありません。
ヨシ原などに生息するクイナ
脚を比較してみても、バンの方が太く・厚く、パワーがありそうです。
つまり、ロープ渡りは「バンの強靭な脚」があるからこそできる、離れ技なのです!
バン(番)の名前の由来
ところで、「バン」って、ちょっと変わった名前ですよね。
バンというと、川や池、田んぼなどの水辺に住む野鳥ですが、特にもともと「田んぼ」でよく見られる鳥だったようです。
そしてこのバンの"生息環境"こそが、その変わった名前の由来と関係しているのです。
その名前の由来とは、「田んぼの番をする」というもの。
つまり、田んぼに行けば番をしているようにいつもいる、という印象の鳥だったようです。
ただ、僕は様々な場所に野鳥観察に行っていますが、今は田んぼでもこの名前のイメージほどにはバンを見かけません。
人間の生活変化や環境変化によって、バンが好む環境が減ってしまったのでしょう。
名前の由来からすると、かつてはもっとバンが頻繁に見られる環境があったのだと思われます。
バンと同じ分類に属する鳥たち
バンはツル目クイナ科に属する鳥。同じ分類の鳥たちを以下で紹介しています。
[ツル目]
ツル目の野鳥まとめ|脚の長い美しいシルエットを持つ鳥たち
▼
[クイナ科]
クイナ科の野鳥の種類と魅力|短い尻尾がかわいい!臆病な鳥たち
おわりに:田んぼに住む身近な野鳥バンを観察しよう!
このように、バンは飛ぶのも泳ぐのも得意ではないですが、「強靭な脚」という他の鳥にはないユニークな長所を持ちます。
これを踏まえてバンを観察してみると、バンに対して新たな興味が広がるかもしれません。
水辺でバンに出会ったら、ぜひじっくりと観察してみてください!
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