冬は虫がいない…。
虫たちは冬の間、どこにいるの?
こんな疑問にお答えします。
冬は虫に出会いにくい。
虫好きにとってはちょっと寂しい季節ですが、虫たちは本当にどこにもいないわけではありません。
実は彼らは、どこかに隠れて冬を乗り越え、春や夏が来たらまた再会できるのです。
冬を乗り越えることを越冬(えっとう)と言いますが、昆虫たちの越冬は面白い。
なぜなら、彼らの越冬には様々な形があるからです。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、昆虫たちの越冬を紹介します。
昆虫の越冬形態とは
冒頭でお話しした通り、昆虫たちは冬に見つからなくなりますが、消えていなくなってしまったわけではありません。
安全な場所に隠れて越冬します。
昆虫たちが越冬には、非常に面白い点があります。
それは、昆虫が種によって色々な姿で越冬すること。
色々な姿とは、以前以下の記事で紹介した「変態」が関係しています。
例えば、幼虫の姿で越冬したり、さなぎの姿で越冬したり、越冬時の成長段階が昆虫によって異なるのです。
この越冬する時の成長段階のことを、越冬形態と言います。
昆虫の越冬形態の種類
越冬形態には、
・幼虫
・蛹(さなぎ)
・成虫
の4タイプがあります。
ちなみに成虫越冬のものは、真冬でも暖かい日などに姿をみられることもあり、出会えると嬉しい気分になります。
卵で越冬する昆虫
幼虫で越冬する昆虫
蛹(さなぎ)で越冬する昆虫
成虫で越冬する昆虫
なぜ昆虫の種類によって越冬形態が違うのか
なぜ種類によって越冬形態が異なるのでしょうか?
以下のように、近い種同士であっても越冬形態が異なるものもいるのも、なおのこと不思議です。
・ツチイナゴ=成虫で越冬
調べてみてもその理由について情報は得られなかったので、ここからは僕の考察になります。
僕が考える理由は、越冬する能力は昆虫たちが後天的に身に付けたためと考えます。
つまり、昆虫たちがそれぞれ自分たちのアプローチの仕方で試行錯誤した結果なので統一されていないのでは、ということ。
そう思う理由は2つ。
2. 同じ種でも越冬形態が固定されていないものがいる
1. 熱帯地域のカブトムシは1年中見られる
以下の記事でも紹介しましたが、ボルネオのカブトムシは1年中見ることができます。
これから考えられることは、虫たちは必要がなければ活動を休止する理由がないということ。
彼らが越冬をするのは、冬がある日本という地域特有の行動だということです。
越冬という行動は、
・冬には寒さで凍死してしまう
・えさがなくなる
などの問題を回避するために後から身に付けた行動と思われます。
2. 同じ種でも越冬形態が固定されていないものがいる
先ほど、越冬形態を紹介しましたが、実は越冬形態が定まっていないものもいます。
例えば、ツマグロヒョウモンは幼虫で越冬することもあれば、蛹で越冬することもあります。
ツマグロヒョウモン
しかし、ツマグロヒョウモンはもともと南方のチョウで、北上して関東で幼虫や蛹になっても、ほとんど冬を超えられることはないそう。
これから考えられることは、越冬形態が定まっておらず、安定的に越冬に成功しない種は、まだ越冬するための技術を身に付けられていないと考えられます。
つまり、越冬が必要な環境に出会って日が浅く、今は試行錯誤している状態で、進化の途中ということ。
これから北上する個体がもっと増えて、越冬の試行回数が増えれば、いずれ安定的に越冬する能力を身に付けるのではないでしょうか。
おわりに:日本ならではの「昆虫の越冬」を観察しよう!
昆虫の越冬は世界どこでも見られるものではなく、さらに彼らの越冬能力は日本の冬という環境に適応した特別な能力と考えられます。
このような、日本という環境ならではの姿を観察するのも、昆虫観察の楽しさの1つ。
以下の記事では昆虫観察の始め方や、観察に役立つ道具を紹介していますので、ぜひご覧ください!
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