ネイチャーエンジニア いきものブログ

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冬に活動する不思議な蛾「フユシャク」の特徴と生態

クロスジフユエダシャク

冬は虫がいない…。
冬に見られる虫っているの?

こんな疑問にお答えします。


ネイチャーエンジニアの亀田です。


今回の主役は、冬に活動する蛾(ガ)の「フユシャク」。


昆虫の分類で、チョウ目は大きなグループで、5,000種ほどが知られています。


その中でも、チョウが占める割合はたった5%ほどで、なんと残りの95%は蛾


そんな蛾たちは、夜行性のものや昼行性のものもいたり、幼虫は毛虫型だったりイモムシ型だったり、実に多様な虫たちです。


というわけで今回は、その多様な蛾の中でも冬に活動するという特徴を持つ、フユシャクについて紹介します。




 

フユシャクの特徴

クロスジフユエダシャク オス

フユシャクは冬に見られるシャクガ科の蛾

フユシャクは冬に活動する少し変わり種の蛾です。


昆虫は変温動物なので、ほとんどの虫は冬以外の季節に活動するからです。


※ 変温動物について詳しくは以下をどうぞ↓


フユシャクはシャクガ科というグループの仲間で、30種類以上が知られています。


少し紛らわしいのが、シャクガ科にはフユシャク亜科というグループがあること。


しかし通称「フユシャク」はこのグループを指すのではなく、以下のような特徴を持つシャクガ科の仲間のこと。

・成虫が冬に生殖活動する
・オスとメスで姿が全く異なる
・成虫はえさをとらないことが多い


なので、フユシャクは「フユシャク亜科」「ナミシャク亜科」「エダシャク亜科」といった複数のグループにまたがる蛾のことを指すのですね。

オスとメスで姿が全然違う【性的二型】

フユシャクの面白い特徴の1つが、オスとメスで姿が全然違うこと。


これを性的二型(せいてきにけい)と呼びますが、どう違うかというと以下のように違います。


クロスジフユエダシャク オス

クロスジフユエダシャク オス


クロスジフユエダシャク メス

クロスジフユエダシャク メス


メスのはねは退化しており、一見蛾には見えない姿をしているのです。


よく見ると小さなはねの跡が残っています。


体型もオスと異なり、丸っぽく寸胴な感じです。


僕は最初この姿を見た時、オスと姿が違いすぎてとってもワクワク不思議な気分になったものです。

空を飛べないメスはフェロモンでオスを呼び寄せる

はねが退化しているメスは、当然空を飛ぶことができません。


ではどうやってオスと出会うかというと、メスがフェロモンを出してオスを呼び寄せます


このことをコーリングと言います。


メスは擬木柵の上などにいることも多いのですが、それはオスが見つけやすい位置で待っている行為なのかもしれません。

フユシャクの成虫はほとんどえさを食べない

フユシャクの成虫は、ほとんどえさを食べません


では成虫は何をしているかというと、繁殖活動


このフユシャクのように、成虫になったらえさをとらずに繁殖活動に専念する昆虫は意外といます。


カゲロウカイコも同じく成虫になるとえさを食べません。


成虫の最大の役割は、自分たちの子孫を後世に残すことなのです。

他のフユシャクの例

フユシャクの、他の仲間の例です。


分類的には、名前の最後が「エダシャク」となっているのがエダシャク亜科で、「フユシャク」となっているのがフユシャク亜科ですね。

クロテンフユエダシャク

クロテンフユエダシャク


シロオビフユシャク

シロオビフユシャク


ウスバフユシャク

ウスバフユシャク


フユシャクはなぜ冬に活動するのか?

クロスジフユエダシャク

では、フユシャクはなぜ冬を選んで活動するのでしょうか?


明確な答えが出ている訳ではないのですが、これはフユシャクにとっての環境適応と考えられます。


実際、日本においてフユシャクのほとんどは沖縄以南には分布しておらず、九州以北のものが多いです。


彼らが冬に活動する理由には、以下のような考えがあるようです。

天敵が少ない

冬は肉食の昆虫や爬虫類などは冬眠しており、天敵が少ないことが挙げられます。


フユシャクは冬も活動できる能力を手に入れたことで、敵に狙われにくい時期に活動できるようになった可能性があります。


昆虫が冬眠する理由については以下の記事で紹介しています↓


えさを撮らないことで繁殖活動に専念

先述した通り、フユシャクは成虫になるとえさをとらないものがほとんど。


えさをとらずに成虫として生き長らえることは捨てる戦略です。


そうすることで、成虫の活動期間ではえさ探しに時間を費やす必要はなく、すべて繁殖活動に専念することができます


このように、フユシャクは冬という厳しい環境を逆に利用した戦略をとっているのかもしれません。

おわりに

今回はフユシャクについて紹介しました。


冒頭で触れた通り、蛾にはたくさんの面白い種がいます。


今回紹介したフユシャクもその1つで、冬に活動する、オスとメスで全然姿が異なる虫でした。


一般的にはあまり注目されない蛾ですが、彼らは知れば知るほど面白い虫です!


ぜひ彼らにも注目してみてください。


まだまだ魅力的な虫たちがたくさん!そんな彼らの記事は以下でまとめています↓


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では、また。