ネイチャーエンジニア いきものブログ

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トビ(トンビ)は人の食べ物を奪う迷惑な鳥なのか?意外と知らないかっこいい猛禽

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トビ

海に行ったらトンビがたくさんいた!

トンビってお弁当とか盗むっていうけど、悪い鳥なの?

こんな疑問にお答えします。


トビは、通称「トンビ」とも呼ばれる鳥です。

※ トンビは通称なので、生き物的にちゃんと区別するときに使う名称は「トビ」と言います


トビは最も身近に見られる大型のタカの仲間であり、よく見るととってもカッコいい姿をしています。


また、トビと言えば「トンビに油揚げをさらわれる」という言葉がある通り、人の食べ物を盗む行動をとることがあります。


では、トビは本当に「人に迷惑をかける悪い鳥」なのでしょうか?


その真実を、確かめたいと思います。


僕はネイチャーエンジニアの亀田です。


年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。


そんな鳥好きの僕が、トビの特徴と魅力を紹介します。




 

トビ(トンビ)は人の食べ物を奪う迷惑な鳥なのか?

人の食べ物を盗む鳥

トビと言えば、「人の食べ物を盗む、迷惑な鳥」というイメージがあるかもしれません。


トンビに油揚げをさらわれる」なんて言葉もある通り、人間の食べ物を持ち去ることがあるからです。


人の食べ物を盗むイメージのあるトビ
トビ


僕の実家は神奈川の海の方なのですが、子供の頃からトビは良く上空を飛んでいて、とても身近な鳥でした。


実家から近かったので神奈川県の有名観光スポットである「江ノ島」にも良く行ったのですが、江ノ島に行くと、「低空」を飛んでいるトビが多いことに気づきます。


その理由は、観光客の持つ弁当や軽食を狙っているため。


油断すると、一瞬のスキをついて飛んできて、あっという間に食べ物を奪われてしまうのです。

人の食べ物を盗むようになった理由

トビのこの行動について「鳥類学者の目のツケドコロ」という本に、関連する話が紹介されていました。

※この本では、トビ以外にも身近な野鳥たちの特徴について、学者視点で解説してくれています


この本によると、どうやらトビは、もともと自ら人間の食べ物を奪うような行動をしていたわけではないようです。


では何がきっかけになったかというと、それは「人間による餌付け」でした。


人間が空中に放った食べ物をトビがフライングキャッチしたり、手渡しでトビに餌を与えられたり、餌付けが観光客へのエンタメやショーのように行われるようになりました。


これがメディアなどを通じて広まっていき、各地で行われるようになったのです。


その結果、トビは人馴れをし、「人間の食べ物は食べても良い」と学習していったようです。


僕は本でこの話を見て、「やはりそうなのか」と強くうなずきました。


というのも、僕は全国各地で自然観察をしていますが、トビに各地で出会った印象と一致していたからです。


トビは海辺だけではなく、森や農地などにも生息する鳥です。


森で出会ったトビ
トビ


森の中や自然豊かな離島などで出会うトビは警戒心が強いことが多く、近くに寄ってきた経験はありません。


一方、観光地や人の多い場所に生息するトビは、低空飛行を繰り返したり、近くに寄ってくることが多いです。


今までの話から、それは「観光地の方が、餌付けの経験を持つ個体が多いこと」が理由なのだと思います。

同じ問題を増やさないようにするには

このように、「トビが人の食べ物を盗む」という行動は人自身が招いてしまった問題であり、トビ自身に罪はないのです。


であれば、人の方が行動を変えていく必要があります


今後このような問題を増やさないためには、

・「生き物を愛すること」と「無責任な可愛がり」の区別を考える
・安易な餌付けをしないことの周知

が大事であると僕は思います。




トビの特徴と魅力

迷惑な鳥」のイメージがついてしまっているトビですが、実は鳥自体としてはとても面白い魅力や特徴を持つ鳥です。

最も身近に見られる大型でかっこいい猛禽類

トビは「タカ目タカ科」というグループに属する鳥で、れっきとしたタカの仲間です。


実はトビは、「最も身近に見られる大型の猛禽類」ともいうべき、迫力があってカッコいい鳥です。


その大きさは60〜70cmほどで、翼を広げると160cmほどにもなります。


飛翔中のトビ
トビ 飛翔中


顔もよく見ると精悍な顔つきをしています。


多くの猛禽類は警戒心が強く、なかなか近付かせてもらえません


こんなにかっこいい鳥が身近で見られるなんて、とても嬉しいことなんです!

姿に反して鳴き声はかわいい

トビの鳴き声は印象的で、

ピーヒョロヒョロ


という、夜店のおもちゃの笛のようなかわいらしい鳴き声です。


この声が実に特徴的なので、トビを見つけるのにも役立ちます。


この鳴き声を聞いたら、きっと近くにトビがいるはずです。

ゴミや動物の死骸を漁るスカベンジャー

また、トビの特徴的な習性に「スカベンジャー」と呼ばれるものがあります。


タカの仲間は、「生きた獲物」を捉えて食べるものが多い。


オオタカはハトなどの鳥を食べ、サシバはカエルを食べたり、ミサゴは魚を食べたりします。


それに対してトビは、積極的に生きた獲物を狩るのではなく、「動物の死骸」を食べることが多いのです。


例えば海岸では、打ち上がった魚の死骸などを食べていたりします。


トビは良くゆっくりと空を飛翔する姿をよく見かけますが、あのようにしてえさを探したりしているのですね。


実はカラスもスカベンジャーと呼ばれる鳥であり、食性的には、他の猛禽よりもカラスに近いのですね。


カラスは猛禽を警戒して集団で追い払うのですが、このトビもよくカラスに追い回されています。


トビが直接カラスを狙うことはほぼないはずですが、自分たちのえさの確保という面でライバルなためのようです。


また、他の生きた獲物を食べる鳥たちは違い、ハンバーガーやお弁当のおかずなど、人の食べ物も食べる対象になります


そのため、人の食べ物を盗む行為にも、この習性が関係していると思われます。


このような他のタカとは違った習性を持つのも、トビの面白いところですね!

トビは東京では絶滅危惧種

トビは特に、海岸や郊外の田んぼなどでよく見られます。


僕は神奈川の海沿いの生まれなので、トビは毎日のように見ていました。(上空からフンの爆撃が落ちてくることもよくあります笑)


このように、トビはありふれた野鳥に思えます。


しかし実は、トビは東京では絶滅危惧種


ビルの立ち並ぶような都市環境には適応できていないようです。


もともと海や郊外のひらけた場所で獲物を探す鳥なので、ビルなどの建物が立ち並ぶような視界が遮られる環境では生息しづらいのかもしれません。


身近な生き物も、環境の変化によって減少したり、見られなくなってしまうものなのですね。

トビ(トンビ)と同じ分類に属する鳥たち

オジロワシ

トビ(トンビ)はタカ目タカ科に属する鳥。同じ分類の鳥たちを以下で紹介しています。


[タカ目]
タカ目の野鳥まとめ|代表的な猛禽類たち

[タカ科]
タカ科の野鳥の種類と魅力|かっこいい猛禽類!タカとワシの違いは?


おわりに:トビのかっこいい姿を観察しよう!

タカの仲間で、トビほど近い距離で観察ができるものはあまりいません。


特に飛翔姿を至近距離でゆっくり観察できるのは、希少でしょう。


しかし身近だからこそ、その魅力をちゃんと観察することはなかったりするものです。


なのでぜひ、そのかっこいい姿をあらためてじっくりと観察してみてください!


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