木の実にたくさん鳥が集まってる!
声の大きいあの鳥、なんていう鳥?
こんな疑問にお答えします。
果物や木の実に集まる、声の大きな鳥。
彼らの名前はヒヨドリです。
街中でよく鳴いているので、見たことのある方も多いのではないでしょうか。
彼らは日本では身近な野鳥ですが、その分布は日本〜東南アジア付近と、分布域が狭い。
実は、日本くらい身近に彼らを見られる場所は多くないのです。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。
そんな鳥好きの僕が、ヒヨドリの特徴と魅力を紹介します。
※動画版はこちら▼
ヒヨドリの鳴き声は「ヒーヨ」!果実や花の蜜など甘いものが大好きな鳥
名前の由来は「ヒーヨ、ヒーヨ」という鳴き声
ヒヨドリは、「ヒーヨ、ヒーヨ」という鳴き方をします。
ヒヨドリの名前は、この鳴き声が由来。
「ヒーヨ、ヒーヨ」という鳴き声が名前の由来のヒヨドリ
こういうと「かわいいほのぼのした鳥なのかな」という印象を受けます。
しかし、実際はこんな感じ。
「フィィーッヨゥ!」
声量もあることから、割とうるさいイメージです。
しかしこのような鳴き声も、彼らの個性を引き立たせる特徴の1つ。
後述しますが、このにぎやかな声が聞こえなくなると、案外寂しいものなのです。
というわけで、ヒヨドリは「鳴き声」にも耳を傾けてみてください。
果実や花の蜜など甘いものが大好きな鳥
ヒヨドリは木の実が好き。
秋〜冬の木の実がなる時期は、木の実があるところでよく見かけます。
木の実を食べるヒヨドリ
特に甘いものが好きなようで、柿、びわ、みかんなどの果実はもちろん、桜の花の蜜なども大好き。
春は以下のように、花の蜜を頑張って吸っている姿が見られます。
花の蜜を吸うヒヨドリ
このように、花を咲かせている植物や、果実をつけている植物の近くでは、ヒヨドリがよく集まります。
食欲旺盛過ぎて野鳥カメラマンには嫌われがち
そんなヒヨドリは、野鳥撮影をするカメラマンに嫌われがちです。
なぜかと言うと、ヒヨドリは食欲旺盛で独占欲が強いため。
他の鳥が花の蜜を吸っていたりすると、すっ飛んできて他の鳥を追い払ってしまうのです。
こんな行動をするものなので、追い払われた野鳥を撮影していたカメラマンが、ヒヨドリに文句を言っているのを見ることがあります。
ヒヨドリは植物のパートナー
カメラマンには嫌われがちなヒヨドリですが、一方で彼らは植物にとって強力なパートナーでもあります。
なぜなら植物にとって、花粉を運んでくれる鳥はありがたい存在だからです。
ちなみに、花に集まってくる鳥は全てが植物にとって友好的かというと、そうではありません。
例えば、スズメやワカケホンセイインコ(外来種)などは、桜を「盗蜜」します。
盗蜜とは、花をちぎって蜜だけを奪う食べ方。
これをされると植物は花粉の媒介をされず、"食べられ損"になってしまうのです。
桜を盗蜜してしまうワカケホンセイインコ
そんなインコに対して、ヒヨドリは顔を花の中に突っ込んでいる姿をよく見ます。
花の中に顔を入れて夢中で蜜を吸った結果、顔が花粉で染まっていることも。
このように、ヒヨドリは植物たちにとっては花粉を運んでくれる存在なのです。
また花粉だけでなく、ヒヨドリの色々な果実を食べる習性も、植物にとってはありがたい行動。
なぜなら、食べた果実の種を遠くに運んでくれる役割を持つためです。
ヒヨドリの「甘い物好き」という習性は、植物たちにとってありがたいものなのですね!
ヒヨドリは渡り鳥でもある
ヒヨドリはいつでも見られる印象の鳥ですが、実は渡りをします。
平地〜山地の短い距離を移動するほか、北海道〜本州以南の長距離移動するものもいるのです。
つまり、冬は日本の南の方や平地で過ごすものも、夏は山地や北海道などの涼しい場所で過ごす個体がいるのです。
しかし、全員が渡りをするわけではありません。
確かに夏でも平地で見られるヒヨドリもいるのですが、冬の頃と比べると明らかに数が少ないことを実感できます。
普段にぎやかな彼らの声が聞こえくなる真夏は、少し寂しくも感じます笑
では、「夏は山に行けばヒヨドリに出会えるではないか」と思いますよね。
しかし夏山にいるヒヨドリは警戒心が強く、意外と観察が難しい。
結構距離が離れていても、大きな声を上げながら遠くに飛び去ってしまうのです。
おそらく、
・人馴れしていない場所に住んでいる
などが影響しているのでしょうね。
そんなことから、ヒヨドリを観察するには冬の季節が良いのです。
ヒヨドリは世界的には珍しい野鳥
日本ではとっても身近な鳥のヒヨドリですが、世界的に見ると、なかなか見られない野鳥でもあります。
彼らの分布は日本を中心に、朝鮮半島や、東南アジアの一部くらい。
ちなみに、ヒヨドリの仲間は英語でbulbul(ブルブル)と言いますが、日本以外には色々なbulbulがいます。
以下はマレーシアで出会ったbulbul。
メグロヒヨドリ(Yellow-vented Bulbul)
やはり海外のbulbulの鳴き声も甲高く、日本で見られるヒヨドリに似た印象を持ちました。
当たり前に彼らをじっくり観察できる日本という場所は、実はとても貴重な環境なのです。
世界でも珍しいヒヨドリ、ぜひ一度ゆっくりと観察してみてください!
ヒヨドリと同じ分類に属する鳥たち
ヒヨドリはスズメ目ヒヨドリ科に属する鳥。同じ分類の鳥たちを以下で紹介しています。
[スズメ目]
スズメ目の野鳥まとめ|美しい声を持つ鳥類最大のグループ
▼
[ヒヨドリ科]
おわりに:ヒヨドリを観察できる貴重な体験を味わおう!
ヒヨドリは存在感があるので、うるさい存在になってしまいがち。
しかし、先述したようにヒヨドリは海外においてはなかなか見られない野鳥。
日本で当たり前に彼らをじっくり観察できるというのは、とても貴重な体験をしているんです。
魅力に気付きづらい身近な野鳥たちも、その習性や生態を知ることによって、とっても魅力的な生き物に変わるかもしれませんよ!
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