この虫はチョウ?それともガ?
どっちなの?
こんな疑問にお答えします。
日本ではチョウ(蝶)として扱われるけど、見た目はガ(蛾)に似ている…。
そんな"チョウとガの中間的な存在"であるのが、セセリチョウ。
僕はセセリチョウのことは子供の頃から知ってはいました。
当時は「ちょっと地味なチョウ」くらいに思っていましたが、大人になって彼らのことをいしると、とんでもない。
実は噛めば噛むほど味が出る的な、とってもユニークで魅力的なチョウたちなのです。
そもそも「チョウとガの中間的存在」という特徴が、そもそも相当にユニークですよね。
それにセセリチョウにも色々な種類がいてとっても多様であり、「通好み」なチョウなんですよ!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、セセリチョウの種類と魅力を紹介します。
セセリチョウの特徴と魅力
セセリチョウ科は、チョウ目というグループに含まれる科。
僕が考える、セセリチョウの魅力は大きく2つ。
2. イメージよりも色々な種類がいるという意外性
1. チョウ(蝶)とガ(蛾)の中間の不思議な虫
セセリチョウは「チョウ目」というグループに属する昆虫。
チョウ目にはチョウとガが含まれますが、実はセセリチョウはチョウとガの中間的な存在の昆虫なのです。
チョウとガの中間の存在、セセリチョウ
セセリ”チョウ”というように、セセリチョウは基本的にチョウとして扱われ、図鑑でもチョウの仲間として紹介されています。
しかし、セセリチョウはチョウっぽくない特徴も多く持っています。
・飛び方が他の蝶と違う
・触角の形が一般的な蝶とも蛾とも違う
※チョウとガの見分けポイントについては以下の記事で紹介しています↓
例えば、飛び方。
チョウといえばひらひらと優雅に舞うイメージがあると思いますが、セセリチョウは直線的に高速に飛翔します。
他のチョウと比べてはねの鮮やかさも弱く、ぶっちゃけ地味な印象なので、一般的にはセセリチョウをじっくり観察する人は多くないでしょう。
昆虫について詳しくない人にセセリチョウを紹介すると、「ガに見える!」という反応をされることも多いです。
昆虫は日本だけでも3万種もの数が知られている、多様ないきものです。
その中でチョウは5,000種ほどが知られ、その形態も生態も様々。
なので、パッと線引きのできない中間的な存在がたくさんいるのです。
その中間的な仲間の代表的なものがセセリチョウ。
英語でチョウは「butterfly」、ガは「moth」と呼びますが、セセリチョウは「skipper」という独立した呼び名があるほど、特別な存在なのです。
2. セセリチョウは通好みのチョウ
正直、僕も昆虫観察をする前は「セセリチョウは地味な虫」と思っていました。
でも、それは単に僕がセセリチョウの種類を全然知らなかっただけなんです。
僕が子供の頃は「チャバネセセリ」しか知りませんでした。
しかし僕が大人になってちゃんと虫を観察してみると、「チャバネセセリだと思っていたのが、実はチャバネセセリでなかった」ということが多い。
なんならチャバネセセリってそんなに多いわけではなく、僕が子供の頃に「チャバネセセリだ!」と言っていたセセリは、実は別のセセリだったことも多かったのでしょう。
これが本物のチャバネセセリです
昆虫観察をするようになって初めて、身近な場所にも実は色々な種類のセセリチョウがいたことに気付きました。
セセリチョウは形状が似ているため間違い探しみたいになってしまいますが、むしろそのわずかな違いに気付けるととても嬉しい。
このように微妙な姿の違いこそが、魅力になることもあるのですね。
セセリチョウは、そんな通な楽しみ方ができるチョウなのです!
セセリチョウの種類
※ 以下でセセリチョウたちの仲間を紹介していますが、実は「アオバセセリ」という割とメジャーな種が紹介できてません。
面白いセセリ(セセリらしからずちょっとカラフル)なのですが、残念ながら僕はまだ見たことがないので、いつか見ることができたら追記します。
チャバネセセリ
僕が子供の頃でもチャバネセセリの名前だけは知っていたので、セセリチョウの中ではポピュラーな種だと思われます。
はねにある控えめな白い点が可愛らしく、円弧を描くようにあります。
ちなみに控えめすぎて、白い点が見えなくなっている個体もいます。
コチャバネセセリ
コチャバネセセリは目立つ黒い筋が特徴です。
写真は黄色味が強いですが、もっと薄色だったりこげ茶っぽい色になっているものもいます。
イチモンジセセリ
子供の頃、実はこの種をチャバネセセリとよく間違えていたんじゃないかと思っています。
というのも、街中でこのセセリを見る頻度がとても高いからです。
他のセセリとの見分けポイントは、名前の通り白い紋が一直線(一文字)に並ぶことです。
キマダラセセリ
はねに黒い紋がまだら状にあるのが見分けポイントです。
他のセセリよりも黄色味が強くて鮮やかに見えます。
はねを開くと見える面は、こげ茶の地に黄色い紋が入る模様になっていて、そちらもとても綺麗です!
ホソバセセリ
白い斑点がたくさんあるのが特徴です。
白い斑点にはふちどりみたいのがあって目立ちますね。
ちなみに、こちらのセセリは山で見られるセセリです。
ギンイチモンジセセリ
目立つ白色の一文字模様が特徴です。
名前も「銀一文字」とカッコいいですね!
僕は春型のタイプしか見たことがありませんが、夏型になるとこの一文字模様はなくなるようです。
※チョウは発生する季節に応じて姿が変わるものがいます。詳しくは以下で解説しています↓
ダイミョウセセリ
今まで紹介してきたセセリチョウたちとは異なる「チャマダラセセリ亜科」というグループに属します。
このグループははねを広げて止まる特徴があります。
真っ黒のはねに白い斑点が入ったセセリチョウです。
ミヤマセセリ
春だけに見られるセセリチョウで、茶色の時にオシャレな模様の入る美しい種です。
名前に「ミヤマ」とつきますが、山だけでなく低地の林付近などでも見ることができます。
おわりに:一見地味に見えるセセリチョウは、知れば知るほど観察が楽しくなるチョウ
セセリチョウは一見地味に見えるチョウ。
しかし、よく見ると気付けるささやかなデザインだったり、美しい姿を見ることができます。
でもその分、その違いに気付けることがとっても嬉しいチョウでもあります。
その「知っていると楽しめる」という点が、魅力的なんですね。
身近なセセリチョウたちの違いが分かるようになると、彼らを観察する楽しさがどんどん膨らんできますよ!
むし探しを体験できるゲームアプリも配信中!こちらもぜひ、遊んでみてください↓
■ 虫探しロールプレイングゲーム「むしマスター!3」
他の虫の紹介、虫ゲーム・アプリ、虫観察、用語解説などに関する記事はこちらから↓