ネイチャーエンジニア いきものブログ

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タテハチョウの種類と魅力|表ばねと裏ばねのギャップが面白い蝶たち

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> チョウ目 > タテハチョウ科

ルリタテハ

なんだか地味な姿のチョウがいる。

これはどんなチョウなの?というかガかも…?

こんな疑問にお答えします。


上の写真の虫はルリタテハ


タテハチョウという、チョウのグループに属します。


一見地味なチョウで、ガとも思うような暗い色をしていますが、れっきとしたチョウの仲間。


タテハチョウの仲間は、はねを開くとその美しさに驚かされる種が多い


タテハチョウは、そんなギャップが魅力的なチョウたちなのです。


僕はネイチャーエンジニアの亀田です。


年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。


そんな虫好きの僕が、タテハチョウの種類と魅力を紹介します。




 

タテハチョウの特徴と魅力

タテハチョウ科は、チョウ目というグループに含まれる科。


僕が考える、タテハチョウの魅力は以下。

・はねを閉じている時と開いている時のギャップ


はねを閉じている時と開いている時のギャップ

タテハチョウの名前は、「羽を立てて止まる」=「立て羽」が由来。


しかしチョウの仲間は、はねを開いてひなたぼっこをすることが多いです。


ひなたぼっこをするキタテハ
キタテハ


※ひなたぼっこをする理由は変温動物のため。詳しくは以下で紹介しています。


チョウがひなたぼっこをする時は、名前の由来とは違ってはねを開いて止まります。


そんなタテハチョウたちですが、その普段活動している時の姿とひなたぼっこしている姿のギャップが面白い。


彼らは、

はねを閉じている時と開いている時の姿が大きく異なる
種が多いのです。


例えば冒頭に載せたチョウはルリタテハというチョウですが、随分地味なイメージですよね。


地味な姿のルリタテハ
ルリタテハ


ところが、はねを開くと地味な姿のイメージが一変


全然違う印象に変化したルリタテハ
ルリタテハ


ダークブルーに青白い線・斑点が入った綺麗な姿です。


また、以下はクジャクチョウ

クジャクチョウ


やっぱりはねを閉じている姿は暗くて地味です。


この地味なチョウがはねを開くと、こんな姿に!

クジャクチョウ


こんな大きな「ギャップ」が彼らの魅力。


彼らの真の姿を見られた瞬間は感動ものなのです!


※ 全ての種が大きなギャップをもっているわけではありませんが、はねの表と裏の模様の違いはチョウやガの楽しみ方の一つだと思います。




タテハチョウの種類

ルリタテハ

ルリタテハ

ルリタテハは、黒の地に青白い模様が入った美しいチョウです。


表ばねと裏ばねの姿の違いのほか、幼虫の姿のギャップも面白く、見どころがたくさんあるチョウです!



キタテハ

キタテハ 夏型

季節によって姿が変わるチョウというのが、意外にも結構いるのです。


このキタテハも姿が変わるチョウの一種。


夏と秋で色味や形が変化するので、それぞれの季節の姿を見比べてみると面白いですよ!



アカタテハ

アカタテハ

アカタテハは赤と黒の組み合わせがとっても美しいチョウです。


というわけで、ルリタテハ、キタテハと合わせて「赤・青・黄と3色のタテハ」を揃えてみました。


3種は生息環境が重なるので、同時に3種を観察することも可能です!(僕も同じ日に3種見れました)

クジャクチョウ

クジャクチョウ

複雑な模様が実にキレイなチョウ。


本州では山のような、ちょっと標高が高い環境でないとあまり見られません。(東北の方はまた違うかも)


しかし、北海道では特別探さなくても、平地でたくさん見られます


北海道を訪れた時はぜひこのチョウを観察してみてください。

ヒオドシチョウ

ヒオドシチョウ

ヒオドシチョウは赤いはねがカッコ美しいチョウ。


名前もこのはねの赤い模様から来ていて、「緋縅の鎧」が由来になっています!



オオムラサキ

オオムラサキ

日本の国蝶です。


国蝶ですが、残念なことに生息環境が減少し、なかなか簡単に見ることのできなくなってきています。


こちらもはねを閉じた姿は薄黄色で、イメージがガラッと変わるチョウです。

ゴマダラチョウ

ゴマダラチョウ

エノキという植物の周辺でよく見られる、在来種の元祖ゴマダラチョウ。


最近、後述する外来種アカボシゴマダラの侵入による、競合の影響が懸念されるチョウです。


そのため、このチョウの姿を見るとホッとした気持ちになります。



アカボシゴマダラ

アカボシゴマダラ

こちら本来奄美諸島に生息するチョウで、関東などで見られるのは移入されたもの(の子孫)で、今は特別外来生物として指定されています。


白黒のはねに、赤い斑紋がある美しい姿をしています。


こちらははねの表と裏でのギャップは少ないですね。



テングチョウ

テングチョウ

頭部に「長い突起」があるのが特徴的なチョウ。


この長い突起を「天狗の鼻」に喩えられたことが名前の由来です。



ツマグロヒョウモン

ツマグロヒョウモン

こちらももともと日本では南方で主に生息していたチョウですが、北上に分布を拡げているようです。


このオレンジ色のチョウは、オスとメスで姿が大きく異なります。


写真はメスの姿で、はねの端っこ(つま)が黒い=ツマグロです。


ちなみにオスは一様にオレンジ色になっています。



イチモンジチョウ

イチモンジチョウ

タテハチョウには、イチモンジチョウ亜科というグループがあって、このチョウのように黒ベースの地色に目立つ白い線が入っています。


このグループはむしろはねを開いて止まることの方が多く、こちら側の姿の方が見やすいです。

コミスジ

コミスジ

コミスジは白い三本線を持つ、ミスジチョウの仲間。


そのはねや胴は「構造色」の仕組みになっていて、光の当たり方によって美しく輝く姿が見られます。



サカハチチョウ

サカハチチョウ 春型

サカハチチョウは、主に山で見られるチョウ。


季節によって姿が変わる」という特徴を持ち、出会える時期ごとの姿の観察も面白いのです!



ジャノメチョウ

ジャノメチョウ

蛇の目(ジャノメ)という名前の通り、大きな目玉のような模様が特徴のチョウ。


今で紹介したタテハチョウの仲間たちと比べると少し地味な姿に見えるかも知れません。


しかしジャノメチョウの仲間は他にもいて、ジャノメチョウごとに色々な目玉模様があるのが魅力です。

クロコノマチョウ

クロコノマチョウ

大型のタテハチョウで、「枯れ葉」にそっくりな姿をした種です。


ジャノメチョウの仲間ですが、他のジャノメチョウと比べて蛇の目模様は目立たないことが多いです。


幼虫は、ススキヨシなどを食草とします。



アサギマダラ

アサギマダラ

まるでステンドグラスのような、透き通ったはねが特徴のチョウ。


このチョウは「渡り」を行う習性を持ち、なんと日本と台湾を長距離移動する、たくましいチョウなのです。



タテハチョウと同じ分類に属する虫たち

ナミアゲハ

タテハチョウはチョウ目に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。


[チョウ目]
鱗翅目(チョウ目)の昆虫まとめ|はねに鱗粉を持つ虫たち


おわりに:タテハチョウは多様な魅力を持つチョウたち

タテハチョウは面と裏のギャップが面白いチョウと紹介しました。


しかし、本記事で紹介した通り、タテハチョウ自体がとっても多様なチョウでもあります。


オオムラサキのような鮮やかな姿を持っているもの、ジャノメチョウのような面白い眼状紋を持つもの、ヒョウモンチョウのように美しいヒョウ柄を持つもの。


そんな多様な魅力のあるタテハチョウたちを、ぜひゆっくりと観察してみてください!


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