観察するなら動物の方が動きがあって面白い気がする。
植物ってどんな魅力があるの?
こんな疑問にお答えします。
冒頭の疑問の通り、実は僕も今の活動(動植物の魅力発信をする仕事)を始めるまで、植物に興味はあまりありませんでした。
正直、チューリップやタンポポなど、ごくごくメジャーな植物しか知らなかったのです。
でも動物たちを観察する過程で植物のことも勉強し始めたら、「植物もなんて面白い生き物たちなんだ!」と感じるようになりました。
確かに植物には動物のように大きな動きやリアクションはありません。
でも、動物とはちょっと違った、植物ならではの魅力や特徴がたくさんあるんですね。
しかも動物たちの暮らしとも密接に関係していて、彼ら植物にも興味を持つとさらに自然観察が楽しくなるのです。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な植物にも出会ってきました。
そんな僕が、今回は植物の魅力を紹介します。
植物の魅力
僕が思う、植物の魅力は大きく3つ。
2. 動けないならではの工夫や戦略
3. 動物以上とも言える生命力
1. 姿や生態に多様性がある
植物には、実に様々な姿や生態があります。
・繊細で美しい花
・カラフルでかわいい実
・生息する場所も、高山や水中、砂浜など
と本当に植物ごとに多種多様です。
こんなに多様性のある理由は、以下の通り膨大な種類の植物がいるため。
全世界の既知の総種数は約175万種で、このうち、哺乳類は約6,000種、鳥類は約9,000種、昆虫は約95万種、維管束植物は約27万種となっています。
上記の通り、世界には既知のものだけでも27万種もの植物がいるんですね。
挙げられている生物たちのグループの中では、昆虫に次ぐ多様さです。
このように植物はその数だけ多様な姿や生態を持っていて、ワクワクするような魅力がたくさんあるのです。
思えば僕も自然観察を始めてから最初に植物に興味を持ったのは、以下のホトケノザの姿に惹きつけられたのがきっかけでした。
ホトケノザ
この植物の姿をみて、「植物にもこんなに魅惑的な姿を持つものがいるのか。面白い!」となったのです。
外で様々な姿の植物を探すのは、とってもワクワクする体験ですよ!
2. 動けないならではの工夫や戦略
植物は動物と違って、自ら移動することはできません。
そのため、植物は動けないことをカバーする様々な工夫をしています。
■ 受粉の工夫
動物と同様、植物にとっても未来に子孫を残すことは生き物としての重要なミッション。
植物が子孫を残すには、まず「受粉」をする必要があります。
しかし自らが動けないため、風を利用したり、動物に協力してもらったりと、様々な工夫がされているのです。
この工夫がとても面白い!
例えば、ハチをはじめとする昆虫たちは、植物の受粉を助ける大切なパートナー。
セイヨウミツバチ
彼らと協力関係になるため、植物は報酬を与えるなど色々な工夫をしています。
以下の記事では、受粉をするための様々な工夫を紹介しています。
■ 種子を運ぶ工夫【種子散布】
受粉をして種ができた後に植物に訪れる課題は、「種をどうやって運ぶか」。
この点についても、自分以外の力を借りることで問題解決をしています。
例えば、子供の頃のおもちゃにしていた「ひっつき虫」も植物の工夫の1つ。
ヤブジラミ
このひっつき虫は、種を運んでもらうように動物にくっつきやすくしたもの。
しばらく経った後に、ひっつき虫がついていることに気付いて取り払う行動は、植物たちの戦略通り。
このように、知らず知らずと人間も植物たちの戦略に引っかかっているのですね。
以下の記事では、種子散布の様々な工夫を紹介しています。
3. 動物以上とも言える生命力
僕は、植物は動物以上の生命力を持っているとも言えると考えています。
その理由は「寿命」と「復活力」。
例えば以下のような大木。
生で見ると、神々しさを感じられるほどに、強い迫力と存在感がありますが、これは植物が動物以上に長い年月を生きているからこそ見られる姿なのです。
樹齢500年のアカガシ
また、日本の文化である花見は「ソメイヨシノ」という桜が有名。
ソメイヨシノ
このソメイヨシノの花見が日本各地で楽しめるのは、植物のすごい復活力が関係しています。
なぜなら全国のソメイヨシノたちは、元々は1本の木であるから。
以下の記事では、植物はすごい生命力について詳しく紹介しています。
おわりに:動物だけでなく植物もとっても面白い!
植物は、動物とは違った魅力をたくさん持つ生き物です。
野生で多様な植物を観察するのはもちろんのこと、家で植物を育てながら観察するのもとっても面白い。
手を掛けないと弱ったりしてしまう点もある一方、「小さい姿なのにこんなにたくましいのか!」と思うこともたくさんあります。
面白い生き物は、動物だけではなく植物にもたくさんいるんですね。
ぜひそんな面白い植物たちも、観察してみてください!
他の植物の紹介、植物観察、用語解説などに関する記事はこちらから↓