ネイチャーエンジニア いきものブログ

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カッコウ科の野鳥の種類と特徴|個性的な鳴き声と托卵の習性を持つ鳥たち

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> カッコウ目 > カッコウ科

カッコウ

「カッコウ」の声が聞こえたよ!

この鳥には、他にどんな種類の鳥がいるの?

こんな疑問にお答えします。


今回紹介するのはカッコウ科と言うグループに属する鳥たち。


カッコウ科の彼らは、どの種も鳴き声が特徴的。


その証拠に、彼らの名前はみんなその「鳴き声」が由来となっています。


また特徴的なのは鳴き声だけでなく、「托卵」という習性もとっても面白いんです!


僕はネイチャーエンジニアの亀田です。


年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。


そんな鳥好きの僕が、カッコウ科の野鳥の種類と魅力を紹介します。




 

カッコウ科の野鳥の特徴と魅力

カッコウ科は、カッコウ目というグループに含まれる唯一の科です。


僕が思う、カッコウ科の野鳥の魅力は大きく3つ。

1. 種ごとに個性的な鳴き声を持つ
2. カッコウたちは声量も大きい
3. 他の鳥に卵を育ててもらう「托卵」


1. 種ごとに個性的な鳴き声を持つ

日本で見られるカッコウ科の鳥たち、特に今回紹介する3種「カッコウ」「ツツドリ」「ホトトギス」は、どれも姿がとてもよく似ています。(各種の姿は後ほど紹介します)


しかし一方で、鳴き声がどの種も特徴的。


鳴き声を聞くことができれば、種類を特定するのは容易です。


鳴き声に特徴的である証拠に、鳴き声が名前の由来にもなっています。


鳴き声はよく知られているカッコウ

カッコウ


今回紹介する3種それぞれの鳴き声は、以下のような感じです。

・カッコウ: 「カッコー、カッコー」
・ツツドリ: 「ポポ、ポポ、ポポ…」
・ホトトギス: 「キョッ、キョッ、キョキョキョキョ!」


カッコウ科の仲間はどの種もそれぞれ個性があって、印象的な鳴き声を持つ鳥たちなのです!

2. カッコウたちは声量も大きい

彼らの鳴き声は、その声質だけなく声量にも注目です。


例えばホトトギスは平地でも声を聞く機会が多いですが、この鳥の声は本当に大きい。


その音の大きさから「割と近くにいるのかな?」なんて思うのですが(感覚的にはそこから見える20m以内の木くらい)、探してみると50mくらい先の木から鳴いていた、なんてこともよくあります。


でも何と言ってもすごいと思うのがツツドリ


鳴き声を「ポポ」って文字にしましたが、これ結構低い声なんです。重低音です。


重低音なのに声量の大きいツツドリ

ツツドリ


重低音って響きづらくて遠くに届かないと思うのですが、ツツドリの場合なんと数100m先とか信じられないくらい遠い位置から声が聞こえるんです。


試しに僕も全力で「ポポ!」って発して試してみたのですが、「これじゃあ50m先の人にも届かないな」という感じでした。


ちなみに鳴く姿を見ていると、声を出すときに喉の部分が大きく膨らむのが見えます。


喉の膨らみが目に見えるくらい、大きな音ということなのでしょう。


彼らは、その鳴き声を遠くに届ける能力もすごいのです!

3. 他の鳥に卵を育ててもらう「托卵」

カッコウの仲間には、托卵という習性があります。


托卵とは、「他の鳥の巣に自分の卵を産み付け、自分の代わりに子供を育ててもらう」行動のこと。


ちなみに、好むえさなど托卵相手には条件があることから、彼らが仮親にする鳥には傾向があります。


例えばホトトギスであれば、主にウグイスが托卵相手となります。


ホトトギスに托卵されることの多いウグイス

ウグイス


なのでもしある場所でウグイスが減ってしまうと、ウグイスに托卵していたホトトギスの繁殖にも大きな影響が出てしまいます。


ある種の個体数の変動が他の生物にも大きな影響を与えてしまうのですね。


他の生き物の食物連鎖などでも同様ではありますが、カッコウ類の場合、よりダイレクトに影響を受けます。


カッコウ類のような他の動物と密接に関わる種の観察を通じて、環境問題や生態系のバランスを考えることも、奥深く、そして大切なことだと思います。

カッコウ科の野鳥の種類

カッコウ

カッコウ

鳴き声は名前の通り「カッコー、カッコー」。


英名も鳴き声が由来となっていて「cuckoo」。


草原や高原のようなひらけた環境を好む鳥です。


托卵相手もオオヨシキリホオジロノビタキなど草原性・高原性の鳥が多いですね。


紹介している3種の中では最も体が大きく、胸にある横斑は最も細くて数が多いです。

ツツドリ

ツツドリ

鳴き声は「ポポ、ポポ、ポポ…」と重低音の渋い声。


近くで声を聞くと、スピーカーのウーハーのような圧を感じます。


この音が筒を叩く音に聞こえてツツドリとなりました。


森や山のような環境で見られる鳥です。


渡りの時期(越冬地と繁殖地を移動中)は平地でも見ることができます。


托卵相手はムシクイ類など。


大きさはカッコウとホトトギスの中間。


胸にある横斑は最も太いです。

ホトトギス

ホトトギス

鳴き声は「キョッ、キョッ、キョキョキョキョ!」とテンション高めの声。


この音が「ホ、ト、トギス」と聞こえたことが名前の由来です。


森や山のような環境で見られる鳥。


ツツドリは繁殖期はほぼ山にいますが、ホトトギスは繁殖期も平地でも見られます。


声が大きく存在感はあるのですが、うまく木の間に隠れていて「声はすれども姿は見えず」状態であることが多いです。


托卵相手は主にウグイス


3種の中では最も体が小さい。


胸にある横斑は最も間隔が広いです。





カッコウ科の野鳥の「托卵」はずるい行動?

カッコウ類は、他の鳥への托卵を行う鳥です。


営巣や縄張り作りをする必要がないため、托卵相手の繁殖活動が本格的になった頃に、一足遅れて渡ってきます。


※ 渡りについては以下の記事で紹介しています。


この内容だけ見ると、カッコウ類は「子育てを他の鳥に任せるずる賢い鳥!」と思うかもしれませんが、托卵を成功させるのは簡単ではありません。


カッコウ類も托卵の成功率を高めるために、様々な配慮や工夫をしています。


例えば、

・同じえさを食べる托卵相手を選ぶ
・巣が空になることが多い鳥を狙う
・卵を托卵相手のものに似せる
・托卵相手の卵とぶつかっても割れにくい卵を産む
・カッコウ類のヒナは托卵相手のヒナよりも早く孵化し、宿主の卵を外に捨てる(そのため、ヒナの背中は卵を乗せやすくなっている)

などなど。


上のものは工夫のほんの一部で、以下のページで托卵に関する詳しい話が紹介されています。


そもそもカッコウ類はただ手抜きをするために托卵をしているのではなく、托卵を積極的に行わなくてはならない理由があります。


上でリンクを張ったページに記載がありますが、

カッコウ科の鳥は綿羽の無い種が多く、体温調節機能が低い。

変温性が大きい。(夜間に体温が下がる)

一日で10度違う。(29~39度)

そのため、自分で抱卵するより托卵した方が孵化率が高い。

とのこと。


野鳥は基本的に恒温動物なのですが、カッコウたちは体温の変化が大きいのですね。


つまり、カッコウたちは自らが抱卵するよりも、托卵した方が自分たちの子供を生存させられる確率が高いのです。


そう考えると彼らの托卵行動は、子孫を残すために長年必死に知恵を絞ってきた結果なのかもしれません。

おわりに:カッコウ科の野鳥を耳で楽しもう!

カッコウ類は、その姿をじっくりと観察する機会はあまり多くない鳥たちです。


しかし、代わりに彼らは鳴き声を楽しむのがとっても面白い。


実は野鳥観察は姿を見るだけでなく、鳴き声を聞くのも1つの楽しみ方。


また、美しい鳴き声をBGMのように聞くだけでなく、

鳴き方が変化したのは何故だろう?
今鳴いているのは何をアピールしているのだろう

と、鳴き声だけでも様々な観点を持って観察することができます。


カッコウ科の野鳥たちは、耳を使った野鳥観察にうってつけの鳥たちなのです!


以下では、野鳥観察の始め方観察に役立つ知識や道具とともに紹介していますので、ぜひご覧ください!


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