ネイチャーエンジニア いきものブログ

虫・鳥などの動植物の魅力や知識など、自然観察をもっと楽しむための情報を発信します。

子供が虫を持ち帰ってきた時の対処【昆虫採集よりも昆虫観察をオススメします】

ナミアゲハ 終齢幼虫

子供が毎日たくさん虫を持ち帰ってくる。

ウチでは育てるのが難しいけど、どう対処したら良いの?

こんな悩みにお答えします。


先日SNSで「子供がセミを持ち帰ってきて、飼いたいと言って困っている…」という旨の投稿を見つけました。


上記の投稿の場合は、両親が虫が得意でないので、特に困っていたようです。


僕は子供の頃から虫が好きだったので、お子さんの行動がよく分かります。


実際に僕が子供の頃も、捕まえた虫をたくさん持ち帰ってきていたものです。


僕が子供の頃は、「一軒家」かつ「当時母は専業主婦」だったので、当たり前のように家に虫を持って帰ってきていました。


しかし、現代の特に都市部では、以下のような問題があるでしょう。

・自然環境的な問題
自然が採集の負荷に耐えられない(みんなが大量に採集できるだけの数がいない)

・現代生活的な問題
両親共働き、集合住宅暮らし、経済的な問題


そんな状況を見て、僕が提案するのは「昆虫採集ではなく昆虫観察(虫を持ち帰らずに観察する)を促す」というもの。


僕は(現代生活においては)昆虫観察の方が、子供の教育的にも、家庭の負担的にも、自然環境的にもメリットがあると思っています。


僕はネイチャーエンジニアの亀田です。


年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。


そんな虫好きの僕が、昆虫採集ではなく昆虫観察をオススメする理由を紹介します。




 

昆虫採集よりも昆虫観察をオススメする理由

昆虫採集と昆虫観察の違いのポイントは、「見つけた虫を持ち帰るかどうか」です。


僕が考える、昆虫採集よりも昆虫観察をオススメする理由は、大きく3つ。

1. 持ち帰った生き物を飼育するのは負担と責任を伴う
2. 虫自体に向き合うことで視野が広がる【採集ゲームなら虫でなくても良い】
3. 昆虫観察なら一人でなく、他の人と楽しさや喜びを共有できる


1. 持ち帰った生き物を飼育するのは責任を伴う

子供が虫を持ち帰る場合、「飼育」して楽しむのがほとんどだと思います。


※「標本にする」「売却する」などは、現代の一般的な子供の虫への接し方ではないと思うので、本記事では触れません


ちなみに、僕は飼育自体が絶対ダメだというつもりは全くありません。


飼育では、夜行性の虫であったり、土の中で過ごす虫など、野外の昆虫観察では見られない姿や行動を観察することができます。


むしろ、個人的には虫を採集する唯一の理由がコレだと思っています。


ただ、生き物を飼育するには「時間」「労力」「お金」が必要になります。


以下の記事で、動物保護センターの犬たち(=捨てられてしまった犬たち)について取り上げました。


上の記事は犬の話なので、「体の小さな虫たちなら、そんなに大変じゃない」と思うかもしれません。


しかし実際は、小さな生き物たちでも、十分に同様の問題が起こりうると思っています。(放虫など、実際に起きていいる)


例えば、もし一般的にペットとされない虫(ガの幼虫など)を育てようとするならば、まず「えさ」の問題があります。


特定の植物の葉しか食べない虫もたくさんいるし、スーパーで買ってきた野菜を与えると、薬品などで死んでしまうこともあります。


だから、虫を捕まえた場所の植物を入手し続けたり、薬品の付いていない植物を特別に購入しなければなりません。


虫は食べるえさに偏りがある(以下はアゲハチョウの幼虫)

ナミアゲハ 終齢幼虫


他にも、虫かごの掃除、土の入れ替えなどなども定期的に発生するかもしれません。


生き物を飼育していると、旅行に出かけるのも難しくなる場合もあります。


僕が子供の頃も、旅行で3日間ほど出かけて帰ってきたら、家のクワガタが全滅していて悲しい思いをした記憶があります。


また、仮に飼育がうまくいったとして、虫が産卵して数が増え続けてしまったらどうでしょう?


よくペットの問題で取り上げられている多頭飼育崩壊のような状況にはならないでしょうか。


このように、生き物の飼育は、手間もお金も掛かるんです。


また、もしかしたらですが、

虫は公園でタダで手に入るし、世話も適当でもいいんじゃない?

という考えを持っている方もいなくはないのかな、と思います。


もしそう思っている方は、ぜひ「何のために生き物を飼うのか」を考えてみてください。


子供の虫の飼育を許可する理由が「子供の生き物の尊さや、生き物への思いやりの気持ちを育みたい」であった場合、親が上記のような姿勢だったら子供はどう感じるでしょうか。


飼育するならば、発生するコストや制限を理解した上で、責任を持って行いましょう。




2. 虫自体に向き合うことで視野が広がる【採集ゲームなら虫でなくても良い】

昆虫採集は、虫自体の魅力を楽しむよりも、採集そのものが目的になりがちです。


"採集そのものが目的"というのは、「昆虫採集というゲーム」をやっていて、虫を多く採集することが偉い、みたいなイメージです。


思い返すと、実は僕もかつてそういう感じでした。

カブトムシ10匹、クワガタ5匹ゲット!

(レアな)ミヤマクワガタをゲット!


みたいな感じに捕まえた数や稀少な虫の発見をアピールしていました。


でもこれって実は、採集する対象が虫じゃなくても、自慢や誇示できるものなら何でも良いのだと思います。


ちなみに過去の僕は、もちろん虫自体好きではあったのですが、やっぱりメインは「採集ゲーム」と捉えていたように思います。


採集ゲームは他にも代替手段があります。


例えば、以下のようなものも採集の対象が変わっているだけで、本質は同じかと思います。

・ゲーム好き → ポケモン
・写真好き・オシャレ好き → インスタ映え写真


でも、僕は大人になって虫に本気で向き合い、よく観察するようになりました


そうしたら、様々な視点が広がりました。


例えば、子供の頃は大物ばかりを狙っていたので、あまり目に入らなかった虫もかなりいました。


でも今虫自体に注目するようになって、身近で小さな虫たちにも素晴らしい魅力がたくさんあることに気付きました。


他にも、

・身近で、都会にも、たくさん面白い虫がいることに気付けた
・昆虫の変態(※)によって様々な姿を見せてくれることを知った
・虫と植物との関係を知って、植物にも興味を持てた
・虫が観察できる場所を改めて探してみたら、子供の頃には気付けなかった地元の良い場所に気付けた

※ 変態について詳しくは以下をどうぞ↓


のように、虫をきっかけに色々な世界の扉が開いていったのです。


そうして思ったことは、「子供の頃から虫自体の魅力に向き合えていたら、素敵な出会いがもっとたくさんあっただろうな」。


このように、採集ゲームで自分の心を高揚させるのは他にも代替手段がありますが、虫そのものの魅力は虫からしか得られません。


だから、お子さんにはぜひ虫そのものを観察することに気付くチャンスを与えてみてほしいのです。

3. 昆虫観察なら一人でなく、他の人と楽しさや喜びを共有できる

昆虫採集で虫を持ち帰るということは、他の人がその虫に出会う機会を奪うことになります。


例えば、僕はチョウの幼虫を見つけると、定期的にその場所を訪れて成長を見守ることがあります。


僕が定期的に見守っていたアオスジアゲハの幼虫

アオスジアゲハ 幼虫


だけど、もし誰かが「あ、大物の幼虫がいた。採集しよう」と持ち帰ってしまった場合、もう僕は幼虫の成長過程を観察できなくなってしまうのです。


僕はそんなふうに「独り占め」をして楽しむよりも、「みんなで共有する観察」をおすすめしたいです。


僕は生き物観察目的で、色々フィールドを訪れますが、同じように観察している方に出会うと、たまに情報交換したり、一緒に観察をすることもあります。


時にはSNSで繋がって交流することもあります。


そういう方は僕と世代が離れていることが多いのですが、"自然"という共通の趣味で語り合えるので、世代を超えた良い関係だと思っています。


このように虫を通じて視野が広がったり、一緒に時間を楽しめる仲間ができるというのは、とても素晴らしいこと。


僕は今はまだ世代を超えただけですが、"自然"という共通言語を通して、国や言葉を越えて世界中の人と生き物の楽しさを共有できることすらできると思っています。


例えば、バードウォッチングは海外の方が日本を訪れることも多いです。


バードウォッチングは世界的に共有できる趣味(以下はルリビタキ)

ルリビタキ オス


僕も実際に、旅先で出会った外国人と写真を見せ合いながら交流した経験があります。


このように虫を独り占めせずに共有する行為をすることによって、他者と交流・共有して視野を広げる機会にもなると、僕は思います。

おわりに:昆虫観察をみんなで楽しもう!

以前は「虫捕り」は主流な子供の遊びの1つだったように思いますが、今は状況に合わせて遊び方を考える時代になっていると思います。


でも、遊び方の工夫次第で虫が主役の遊びはもっと楽しくなるし、みんなと共有することもできます。


子供が虫を捕まえたり持ち帰ったりする時は、「ダメ」というだけでなく、子供がもっと楽しめる・成長できる方向性を伝えたらどうか、というのが僕の提案です。


もし共感いただけたら、ぜひお子さんに伝えてみてください。


この記事がお役に立てれば幸いです。


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