あのチョウ、ステンドグラスみたいなはね!
なんていうチョウなの?
こんな疑問にお答えします。
写真のチョウは、アサギマダラ。
大聖堂にあるようなステンドグラスを彷彿とさせる、神秘的なはねを持つチョウです。
このアサギマダラの魅力は、その美しい姿だけではありません。
なんとアサギマダラは「渡り」という遠距離移動するチョウであり、自力で数千キロも移動するという、すごい習性を持つのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、アサギマダラの特徴と魅力を紹介します。
- アサギマダラのステンドグラスのようなはね
- アサギマダラの渡り
- アサギマダラの観察は渡り途中がチャンス
- アサギマダラに関連する虫たち
- アサギマダラと同じ分類に属する虫たち
- おわりに:アサギマダラの美しいはねを観察してみよう!
アサギマダラのステンドグラスのようなはね
アサギマダラは「チョウ目タテハチョウ科」に属する昆虫で、はねを開くと80〜100mmほどもある大型のチョウです。
そんなアサギマダラの最大の特徴は、神秘的な透き通ったはね。
その半透明のはねは、まるで大聖堂のステンドグラスをイメージさせます。
ステンドグラスのようなはねを持つアサギマダラ
神秘的な、とっても美しいはねですよね。
ちなみにステンドグラスというと、太陽光によってさらに魅力的な美しさを見せてくれますが、それはアサギマダラも同様。
例えば、以下は先ほどとは別の角度から撮影したアサギマダラ。
別の角度から撮影したアサギマダラ
このように、アサギマダラは太陽の光の当たり方によって、僕らにまた違った美しさを見せてくれるのです!
アサギマダラの渡り
渡りとは?
アサギマダラは、実は驚くべき習性を持つチョウです。
その習性とは、「渡り」。
渡りとは、季節に応じて長距離移動する習性のことで、春〜夏の暖かい時期は日本で過ごし(=繁殖地)、冬の寒い時期は南の島で越冬をします(=越冬地)。
アサギマダラの渡りについて、詳しく紹介されているサイトがありました。
このサイトでは、なんと2000キロ以上の移動をした記録が紹介されています。
2011年10月10日に和歌山県から放たれたマーキングしたアサギマダラが、83日後の12月31日に約2500キロ離れた香港で捕獲されたのです。
2500キロを自力で移動するってとんでもないことです。
例えば、自転車で時速15キロの速さで移動する場合、休みなく漕ぎ続けて1週間程度かかる計算になります。
このような、人間でもめちゃめちゃしんどい行為を、アサギマダラはあの小さな体で実行しているのです。
渡りをするアサギマダラのすごさ
ちなみに「渡り」は、野鳥がする行動として有名なものです。
渡りをする鳥を「渡り鳥」と言います。
実は渡りという行動にはたくさんの危険が伴う、リスクの高い行動でもあります。
例えば、渡りに伴う危険には以下のようなものがあります。
・えさがあって安全に過ごせる場所が見つからないかもしれない
・嵐に見舞われるかもしれない
・様々な天敵にも狙われる
このように、渡りというのはまさに命掛けの行為なのです。
鳥ですら大変な危険な伴う渡りですから、さらに小さなアサギマダラにとっては、渡りはさらに厳しいものであることが想像されます。
実際渡りを行うチョウというのはあまり知られておらず、だからこそアサギマダラは"渡りをするチョウ"として有名な種なのですね。
その優雅な姿に似合わず、アサギマダラは大変たくましいチョウなのです。
アサギマダラの観察は渡り途中がチャンス
渡り途中に見かける機会が多い
アサギマダラは日本全国に飛来するチョウですが、繁殖期の夏は平地ではあまり観察できません。
なぜなら、彼らの繁殖地は標高が高めの場所だからです。
そこでアサギマダラを観察するなら、渡りの途中がチャンスです。
特に秋の10月頃はアサギマダラを見かけることが多く、僕が平地でアサギマダラに出会うのもこの時期が多いです。
アサギマダラを観察するには10月がおすすめ
秋になると南の島に向かって渡りを始めるので、平地でも彼らに出会える時期なのです。
有名な渡りの中継地点「姫島」
ちなみに有名なアサギマダラの経由地というのもあります。
例えば、大分県の姫島はアサギマダラの有名な中継地点。
ここでは1000匹単位のアサギマダラが集まり、時期が合えばアサギマダラの群舞が見られるそうです。
ところで姫島は、以前紹介したミツマタ群生地がある国東半島からほど近くの島。
国東半島のスポットと合わせて巡るのもオススメですよ!(以下でおすすめスポット紹介しています)
アサギマダラに関連する虫たち
南の島に生息するアサギマダラ
南西諸島には、別種のアサギマダラが生息しています。
リュウキュウアサギマダラ
南西諸島(トカラ列島以南)で見られます。
アサギマダラ同様に、ステンドグラスのような美しいはねを持ちます。
青い紋はアサギマダラよりも細かく、青みが強いです。
光の当たり具合によっては、青さがより際立ち、その美しさには思わず目を奪われてしまいます。
ヒメアサギマダラ
リュウキュウアサギマダラによく似ていますが、以下のような違いがあります。
・紋の青みがリュウキュウアサギマダラよりも弱い
・胴部分に黄色味がある(はねを開くと見える)
かつては台湾からの迷蝶として、稀に南西諸島で見られる存在だったようです。
現在は定着したようで、実際に僕も南西諸島でたくさん見ました。
このように、南に行くと複数種のアサギマダラが混在しているので、ぜひどのアサギマダラか、見分けに挑戦してみてください!
ちなみに上記2種は南の島で1年中見られます。
アサギマダラと同じ分類に属する虫たち
アサギマダラはチョウ目タテハチョウ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[チョウ目]
鱗翅目(チョウ目)の昆虫まとめ|はねに鱗粉を持つ虫たち
▼
[タテハチョウ科]
タテハチョウの種類と魅力|表ばねと裏ばねのギャップが面白い蝶たち
おわりに:アサギマダラの美しいはねを観察してみよう!
アサギマダラは美しい姿を持つだけでなく、とってもたくましい習性を持つ面白いチョウ。
ぜひ今回紹介した「渡り」の習性に注目して、観察をしてみてください!
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