ネイチャーエンジニア いきものブログ

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雁(ガン)の種類と魅力|ガンとカモは何が違う?雁行の由来になった鳥

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マガン

雁(ガン)って名前は聞いたことあるけど、どんな鳥?

鴨(カモ)とはどう違うの?

こんな疑問にお答えします。


雁(ガン)は特定のグループの鳥のことですが、「名前は知っているけどどんな鳥かは知らない」という方も多いのではないでしょうか?


実は僕も名前は知っていたのですが、実物は大人になるまで見たことがありませんでした。


というのも、雁(ガン)は渡り鳥


全国に飛来する鳥ではないので、どこでも簡単に見られるような鳥ではないのです。


またガンの姿は、鴨(カモ)とよく似ていますので、カモとの違いについても触れたいと思います!


僕はネイチャーエンジニアの亀田です。


年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。


そんな鳥好きの僕が、雁(ガン)の種類と魅力を紹介します。




 

雁(ガン)と鴨(カモ)の違い

雁(ガン)とは、いったいどのような特徴を持つ鳥たちなのでしょうか?


ちなみに雁は「かり」とも読みますが、同じくガンのことを意味します。


まず、ガンは「カモ目カモ科」というグループに属します。


カモに姿が似ていると思ったら、なんとカモと同じ分類グループ(科)に属していたのですね。


さらに、実はハクチョウも同じくカモ科の鳥です。


というわけで、ガン、カモ、ハクチョウの比較をしてみましょう。


ガン
マガン


カモ

カルガモ


ハクチョウ

コハクチョウ


パッと見で分かるガンとカモの違いは、「大きさ」です。


ざっくり言うとガンはカモよりも大きく、ハクチョウよりも小さいのです。


小さい順に並べると、以下のようになります。

・カモ(50cm前後)
・ガン(60〜90cm前後)
・ハクチョウ(100cm以上)


また体が大きくなるごとに、首も長くなってきます。


これらの要素から三者は「体のシルエット」が違い、ガンは中間的でなシルエットになります。


大きさ・シルエット以外では、以下のような点がガンの特徴です。

・オスもメスも姿が変わらない(カモではオスが派手なものが多い)
・主に昼に活動(採食)する(カモは夜行性のものが多い)
・主に草食性(カモは雑食性のものが多い)


ただ実際は、ガンのような特徴を持つカモもいます。(カルガモはオスとメスの姿が変わらない、など)


種ごとに当てはまらないものもありますが、ざっくりとガンの特徴はこのような感じになります。




雁(ガン)の野鳥の魅力

僕が思う、雁(ガン)の魅力は大きく2つ。

1. 昼間に活動的な姿が見られる(「ねぐら入り」と「ねぐら立ち」)
2. V字編隊飛行


1. 昼間に活動的な姿が見られる(「ねぐら入り」と「ねぐら立ち」)

ガンは「昼間に活動するタイプの鳥」です。


ガンに似た姿のカモと比較してみますが、カモは「夜行性」のものが多い。


そのため、明るい昼間は寝ていてほとんど動かないことも多いのですね。


寝ているカモ(ホシハジロ)
ホシハジロ


それに対してガンは、夜はねぐらである湖沼で寝て、朝に湖沼から飛び立ち、夕方まで近くの農耕地などで餌を食べます。


だからガンの場合はカモよりも、明るい時間帯でも餌を食べる様子や、歩き回る姿を観察しやすいのです。


また、ガンと言えば「ねぐら立ち」「ねぐら入り」にも注目したいところ。


ガンはねぐらを中心にして活動するので、夜は湖などに集合します。


ねぐら立ち」というのは朝にねぐらからガンたちが飛び立っていくことで、「ねぐら入り」はねぐらにガンが戻って来ることを言います。


この2つのタイミングは、周辺で活動している多くのガンが一気に集まる瞬間なので、非常に迫力のある光景が見られるのです。


ガンがねぐら立ちしたところ
ヒシクイ ねぐら立ち


ちなみに日本最大のガンの越冬地は、宮城県の伊豆沼と蕪栗沼


大きな沼である伊豆沼では、なんと10万羽ものガンが越冬します。


以前、以下の記事で鹿児島の出水市では万羽ヅルが見られると紹介しました。


出水市で見たツルも大迫力の光景でしたが、伊豆沼に集まる野鳥の数はなんとその10倍


伊豆沼の方が範囲が広いとはいえ、カモよりも大型の彼らが大量に集合・離散する光景は圧巻!


鳥たちの生命力が感じられて、非常に感動的なので、まだ見たことがなければ、ぜひ一度は観察して見ることをオススメします!

2. V字編隊飛行

ガンは「群れの飛行」も見どころの1つです。


注目したいのは、飛行時の編隊。


ガンは群れで飛行する時に、V字型の編隊を組みます。


V字型の編隊を組むガンの群れ
マガン 編隊


V字型に飛ぶと、先頭を飛んでいる鳥が生み出す乱気流が生み出します。


その乱気流を揚力として利用することで、後方にいる鳥がエネルギーを節約して飛べることが、この編隊を組む理由のようです。


実はこのV字編隊は、ハクチョウツルなどの他の鳥も組みます。


しかし、この斜めに並ぶ様子を表す言葉に「雁行」というものがあります。


この言葉は、「雁」という漢字が使われている通り、ハクチョウでもツルでもなく、ガンの飛行が由来になっています。


ガンたちは日本にいる間は群れで行動するので、V字編隊の観察チャンスは多くあります。


もしガンの飛来地に行ったら、上空のガンたちに注目してみてください!


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雁(ガン)の種類

マガン

マガン

漢字で「真雁」と書くだけあって、宮城でも最もよく出会えるガンです。


額部分が白いのがチャームポイント。


お腹部分に黒い斑があって、飛行しているのを下から見上げてもよく目立ちます。



シジュウカラガン

シジュウカラガン

このガンが特徴的なのは、顔の白黒模様


このガンの名前はある小鳥の名前が由来していて、鳥を知っている人が聞くと「なるほど!」となります。


それが以下のシジュウカラ


白黒模様の顔を持つシジュウカラ

シジュウカラ


大きさは全然違うのですが、名前の通り、顔の白黒模様がそっくりです!

ヒシクイ

ヒシクイ

大型のガンで、マガンとハクチョウの中間くらいのサイズ感です。


姿が大きいから気も大きいと思いきや、結構距離があっても敏感に察知して飛び立ってしまいます。


同じ場所で生活しているハクチョウは、近付いてものんびりと餌を探していることもあるのに。


同じ環境で近い種類の鳥のはずなのに、警戒心が全然違うから不思議です。

コクガン

コクガン

コクガンは名前の通り黒い体を持つガンで、生活場所も「」と、ユニークなガンです。


また、コクガンは絶滅危惧種で、世界中でわずか8,000羽程度しかいません。


そのうち3000羽程度が越冬のために飛来しており、日本の主な飛来地である宮城の南三陸はコクガンの飛来地として重要な地なのです。



ガンと同じ分類に属する鳥たち

カルガモ

ガンはカモ目カモ科に属する鳥。同じ分類の鳥たちを以下で紹介しています。


[カモ目]
カモ目の野鳥まとめ|水上生活に適応した美しい水鳥たち

[カモ科]
鴨(カモ)の種類と魅力|カモは地味な野鳥ではない!実は個性的で面白い姿を持つ


おわりに:雁(ガン)の飛来する土地に行ってみよう!

雁(ガン)は日本全国に飛来するわけではなく、どこでも見られる身近な鳥、というわけではありません。


なので住んでいる場所によっては、少し足を伸ばさないと見られないかもしれません。


しかし、彼らが飛来する場所の多くは、大きな湖沼と豊富な餌のある環境です。


野鳥が多く飛来する土地は魅力的な場所であることも多く、そのような素晴らしい環境を知れることにも価値があると僕は思います。


ガン自身の観察に加えて、豊かな自然環境に触れられる良い機会になるので、ぜひ彼らの生息地を訪れてみてください!


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