ネイチャーエンジニア いきものブログ

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弱肉強食の野生動物って野蛮?実は平和的な手法も多い世界である

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オオカマキリ

野生動物って弱肉強食だよね?

なんだか野蛮で怖いイメージがあるけど、実際はどうなのかな?

こんな疑問にお答えします。


野生動物と言うと、よく「弱肉強食」であり、生き残るために壮絶な戦いを強いられているイメージがありませんか?


実際、動物同士が生死をかけて戦うことはよくあります。


しかしながら、実は逆に「争いを避ける、平和的解決手段」もたくさんあるのです。


そして「無益な戦いを避ける」という考え方は、人間社会においても大切な考え方だと僕は思います。


僕はネイチャーエンジニアの亀田です。


年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な生き物に出会ってきました。


生き物探索をしつつ会社員もフリーランスも経験してきた僕が、野生動物の世界の無益な争いの避け方の例と、人間社会への応用について紹介します。




 

野生動物の世界は厳しい

野生の世界は厳しいです。


人間は自分たちで「食べ物を生産・貯蓄する」という知恵を得たので、少なくとも日本のような経済が発達した国で、本当に飢え死にすることは、ほとんどありません。


野生では多くの動物に「繁殖期」があります。


これは、季節によって、常に子供を育てられるほど食料が確保できないため。


例えば日本では、食料が豊富な「」が繁殖期である動物が多いです。


一方人間では、食料が常にある状況のため、常に繁殖可能です。


このように、人間は食料・繁殖面で非常に有利な状況を得られていますが、野生の世界ではそうはいきません


自分の食べるものは、自分で獲得しないと生きていけないのです。


弱肉強食」という言葉がありますが、野生動物のほとんどは、常に何かから捕食される危険と隣り合わせです。


以下のイモムシの教科書という本の中で、アメリカシロヒトリという蛾(ガ)が卵から成虫になるまでの死亡率の研究が紹介されていました。


アメリカシロヒトリは、日本では外来生物で、時に幼虫が大量発生する蛾です。


アメリカシロヒトリ

アメリカシロヒトリ


本で紹介されている研究結果では、このアメリカシロヒトリが成虫になれる確率はわずか0.16パーセント


1000個の卵を産んでも、16匹しか成虫になれないのです。


昆虫のような小さな生き物は、このような非常に厳しい世界で戦っているのです。


身近に飛んでいる、チョウやガもこんなに厳しい世界をなんとか勝ち残ってきた虫たちですから、優しく見守ってあげたいものです。

野生動物の世界は本当に野蛮なのか?

野生動物は、厳しい世界で生き残るために、壮絶な生存競争を繰り広げているイメージがあります。


弱肉強食からイメージされる、「食う・食われる」の関係はもちろん。


寄生」という行為であったり。


寄生バチ
サトセナガアナバチ


獲物を仕留めるために「待ち伏せ」「だまし討ち」といったことをしたり。


奇襲をするムシヒキアブ

シオヤアブ


生き残るためには手段を問わないという、「野蛮なイメージ」を持たれている方も多いのではないかと思います。


しかし、野生動物の野蛮なイメージというのは、本当なのでしょうか?




平和的な手法を取ることも多い野生の世界

実は、野生の世界では「平和的な解決方法」を用いて、争いを避ける手法もたくさん存在します。


例えば、野鳥たちの「さえずり」は、鳴き声によって自身の強さやなわばりをアピールし、直接的な戦いを避ける効果があります。


「ホー、ホケキョ」のウグイス

ウグイス


また、野鳥のオスたちは繁殖期になると、換羽して派手な姿に変身することが多いです。


ヨシガモの繁殖羽

ヨシガモ


自身の姿を「外見」で優劣をつけるという手法を取っているのです。


他にもシカのオスは大きなツノを持ち、繁殖期にはメスをめぐってオス同士が戦います。


しかし、あのツノを本当に武器として直接相手の体を突くことはなく、ツノで押し合う「力比べ」のために利用しています。


さえずりや派手な姿により、天敵に見つかりやすいというリスクは高まりますが、「同族同士の戦いは可能な限り避ける」という手法を取っているものが多いのです。

平和的解決の方が合理的である

では、なぜわざわざ複雑な方法を取って争いを避けているのでしょうか。


それは、「平和的解決の方がデメリットが少ない」という合理的な理由からです。


恋敵と出会う度に、生死をかけて戦ったとします。


もし負けたら、それで終了


もし相手に勝てたとしても、ケガをして生殖活動をする余力がなければ無意味です。


体格の近い同族同士の争いであれば、なおさら損傷をするリスクは高まります。


つまり、直接的な争いは「リスクが非常に高い行為」なのです。


それであれば、致命傷にならないように優劣をつけよう、というのが彼らの導き出した答えなのですね。

「モノの買い占め行動」の平和的解決を考える

例えば、今話題のウイルスの蔓延や、災害時などによく起こる、モノの買い占め行動などはとっても不合理であると思います。


まず、モノが買い占められた時、本当に必要な人にモノが行き届かなくなると、致命傷になりかねなくなってしまいますよね。


一方で、買い占める側にも実はデメリットがあると思います。


モノを買い占めようと思ったら、店が開店する前に長い時間並んだりすると思います。


そして買い占めをしたら、それを見ていた人の自分に対する評価は間違いなく下がります。


つまり買い占めをすると、現代社会において重要な資産である「時間」と「信用」を消費してしまうのです。


こんな時、買い占めが起きないようにすでに購入上限を実施しているお店がありますが、それに加えて「購入個数に応じて割高になる」という仕組みを取り入れているお店もあります。


日本は資本主義の国なので、「経済力で優劣を付ける」というアイデア。


必要以上の量を確保する権利を得るためには、「その分の対価を支払う必要がある」というものです。


これにより必要以上の買い占めが起きる可能性は減り、必要な人は最低限の物資が届く、平和的な解決策の1つの形であると思うのです。

おわりに:争いを避ける工夫ができないか考えよう!

野生界に限らず、人間社会においても争うことにはほとんどメリットがありません


生き抜く手段は戦って勝つだけではなく、むしろ平和的解決策の方が賢いやり方です


日常生活でも争いを減らし、平和的手法で解決できることがないか、考えてみましょう。


著書「弱虫の生きざま」で、他にも様々な生き物から得られる学びを紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください!


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