顔に長い鼻のようなものがついたチョウがいるよ!
このチョウって、どんなチョウ?
こんな疑問に答えます。
写真のチョウは、テングチョウ。
顔に「長い突起」があるのが特徴的なチョウです。
突起だけが特徴的なわけではなく、はねを開いた時に見えるまが玉のような赤い紋もとっても美しいです。
さらにテングチョウは、オールシーズン見られるという、嬉しいチョウでもあるんですよ!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、テングチョウの特徴と魅力を紹介します。
※動画版はこちら▼
テングチョウ - 天狗のような鼻を持つチョウ(YouTube)
テングチョウは天狗の鼻を持つチョウ
テングチョウの最も特徴的な特徴が、「先の尖った頭部」です。
その尖った頭部は「天狗の鼻」と表現。
天狗の鼻のような突起を持つテングチョウ
この特徴的な突起が、「テングチョウ」の名前の由来です。
この天狗の鼻のような突起は、「下唇鬚(かしんしゅ)」(パルピとも言います)という、ひげのようなもの。
パルピの機能はチョウの種類によって違うようで、下記のような機能があるようです。
1.先っぽの節には感覚孔が開いていて、触角同様に匂いを感じ取ることができる。
2.複眼を掃除する機能。特に熱帯で腐った果実などに集まる蝶の多くは、下唇鬚で複眼をワイパーのように拭いている姿が観察されています。
3.口吻をはさむようになっていることから、口吻を掃除するのにも利用されていると考えられています。
テングチョウはこのパルピがよく発達していて、胸部と同じくらいの長さがあるのです。
胴体の半分と同じ大きさとは、まさしく「天狗」のような鼻ですね!
テングチョウの裏ばねは枯葉に擬態
テングチョウがはねを開いた姿には、「美しい紋」があります。
はねを開いたテングチョウ
勾玉のような形の"上品な赤い紋"が美しいですよね。
ところが、テングチョウははねを閉じると、かなり違う印象になります。
テングチョウの裏ばね
率直に言って、"地味"な姿ですよね。
しかも周囲と、なかなかうまく同化していて、地面に止まっていると見つかりづらいです。
これはまさにテングチョウの戦略であり、自分の体を「枯葉に擬態」しているのだと思います。
テングチョウ枯葉に紛れてじっとしていたら、見つけるのはかなり難しいでしょう。
昆虫たちが生き残るための、擬態の技にはいつも感心させられます。
しかしながら、テングチョウはよくひらひらと飛ぶ上に、はねを開いて近くに静止してくれることが多い。
そのため、実際は比較的観察のしやすいチョウです。
もしテングチョウが良い位置に止まってくれたら、じっくりと観察させてもらいましょう!
テングチョウは春から秋まで出会える
テングチョウは、1年のほぼオールシーズン出会える、嬉しいチョウでもあります。
特に春から秋までは、ずっと成虫に出会えるチャンスがあるのです。
11月に出会ったテングチョウ
冬の季節は、一時的に虫たちの気配がなくなって寂しいもの。
その冬を過ぎれば、春が訪れる少し前から出会えるチョウの一種が、テングチョウなのです。
3月頃になって彼らがヒラヒラと舞い始めてくれると、とっても嬉しい気分になるものですよ!
テングチョウの食草は様々な昆虫たちが好きな、エノキ。
エノキ
エノキは雑木林などによくある樹木なので、このような環境で散策すると、きっと乱舞しているテングチョウの姿が見られるはずです!
テングチョウと同じ分類に属する虫たち
テングチョウはチョウ目タテハチョウ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[チョウ目]
鱗翅目(チョウ目)の昆虫まとめ|はねに鱗粉を持つ虫たち
▼
[タテハチョウ科]
はねをひらくと姿が変わる?ギャップが面白い!タテハチョウの種類と魅力
おわりに:テングチョウの天狗の鼻を観察してみよう!
テングチョウは、天狗の鼻のような頭部が特徴的な、面白い虫。
さらに遠くに飛んで行ってしまうのではなく、近くの地面に止まることも多いので、観察もしやすいチョウです。
ぜひ近くの雑木林などで、彼らを観察してみてください!
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■ トノサマバッタ
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