小さな青い花が咲いているよ!
寒い時期でもかわいい花が咲いてるんだね!
上の写真は、オオイヌノフグリ。
青くてお皿のような形をしたかわいらしい花を作る植物です。
このかわいらしい花は、なんと冬の寒い時期から見ることができるんですよ!
さらに彼らは、冬の季節に有効な「ある技」を持つ植物なのです。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な動植物に出会ってきました。
そんな生き物好きの僕が、オオイヌノフグリの特徴と魅力を紹介します。
オオイヌノフグリのお皿のような青い花
オオイヌノフグリは、以下のようなお皿のような形をした青い花を咲かせる植物です。
お皿のような青い花を咲かせるオオイヌノフグリ
西アジア、中近東原産の帰化植物とのことですが、道端や畑など、今やいたるところで身近に見られる植物です。
ちなみに、イヌノフグリの名前の由来は、果実の形が「犬の陰嚢」に似ていることから。
その姿は、このような感じです↓
オオイヌノフグリの果実
それにしても斬新なネーミングですよね。
動植物の名前を見ていて、よく「昔の人の発想力や感性って面白いな」と感じます。
他にも、
ホトケノザ
ホトケノザ(仏の座) = 仏像の台座のような葉から
ハンゲショウ
ハンゲショウ(半化粧) = 半分化粧をしたように葉が白くなるから
※ 半夏生(毎年7月2日頃)に花を咲かせるから、という説もあります
といったセンスのある名前がたくさんあります。
これらから"昔の人の生活や、植物との関係性を知ること"も、また一つの生き物の楽しみ方ですよね!
オオイヌノフグリは春が来る前から見られる
多くの植物は春以降に花を咲かせるものが多いですが、オオイヌノフグリはなんと2月頃から花を咲かせ始めます。
2月というと、葉をつけている植物もまだ少ない時期。
そんな季節に美しい青い花が咲いているのを見ると、なんとも嬉しくなるものです。
僕も野鳥観察で冬に農耕地を歩いていたりすると、足元に小さな青い花が咲いているのを見て、「もうすぐ春がやってくるなあ」なんて、毎年思っています。
ちなみにオオイヌノフグリは、咲き出しは早いですが、花期は長め。
春の花たちと同じく、5月くらいまでその姿を楽しめます!
オオイヌノフグリの自家受粉
オオイヌノフグリは、まだ虫の少ない"冬の季節に役立つ技"を持っています。
それは「自家受粉」。
多くの植物たちの受粉は異なる株どうしで行われます(他家受粉)が、オオイヌノフグリは同じ株どうしでも受粉することができるのです。
昆虫を介した他家受粉は、以下のような流れです。
2. それらの昆虫が別の株の花を訪れる
3. 体についた花粉が雌しべにつくことで「受粉」
これに対して、オオイヌノフグリは「同じ株どうし」で受粉することができます。
オオイヌノフグリの花が咲いている期間は短く、なんと1日で閉じてしまいます。
午後になると花を閉じ始めますが、花が閉じていくと雄しべが雌しべに近づいていき、花が閉じる時には雄しべと雌しべがくっつき、受粉してしまうのです。
まさに「裏技」的なテクニックですが、これはパートナーである昆虫の少ない寒い季節に花を咲かせるオオイヌノフグリにとって、有効な技だと思われます。
2月から花を咲かせるオオイヌノフグリ
自分で受粉が確実にできるなら「全て自家受粉を使えば良いのでは?」と思うでしょう。
しかし実は、自家受粉にはデメリットも存在します。
というのも、自分だけで受粉すると遺伝子が交わらず、多様性が生まれません。
多様性が生まれないということは、例えば「新たな病原体」などの脅威が現れたとき、自分がその抵抗力を持たなかったら、全滅の可能性が高まってしまうのです。
だから本当は、他の植物たちのように異なる株同士で受粉した方が良い。
自家受粉はあくまで「次善の策」なのです。
植物の花粉媒介の話は、以下で詳しく紹介しています。
おわりに:オオイヌノフグリの青い花を観察してみよう!
オオイヌノフグリのかわいらしい青い花は、身近な場所で見ることができます。
名前の由来となった果実も面白い形をしているので、合わせてぜひ観察してみてくださいね!
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