ネイチャーエンジニア いきものブログ

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春に大発生の毛虫・キアシドクガ!成虫は蝶のような純白の姿を持つ

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キアシドクガ 幼虫

手すりにこの毛虫がたくさんいるよ!

この毛虫って、どんな虫の幼虫なの?

こんな疑問に答えます。


写真の毛虫は、キアシドクガの幼虫。


ドクガ科というグループに属し、名前にも「ドクガ」とつきますが、毒はありません


幼虫の見た目と名前、そして大量発生しがちな習性からちょっと嫌われがちなガですが、成虫になると姿は一変!


キアシドクガも、各成長段階ごとにユニークな特徴を持つ、魅力的な虫なんですよ!


僕はネイチャーエンジニアの亀田です。


年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。


そんな虫好きの僕が、キアシドクガの特徴と魅力を紹介します。




 

春に大発生するキアシドクガの幼虫

名前に反して毒は持たない

キアシドクガの幼虫は、春〜初夏(4月下旬〜5月頃)に見られます。


幼虫は以下のように黒く長い毛に覆われており、ガッツリ「毛虫姿」。


ガッツリ毛虫姿のキアシドクガ
キアシドクガ 幼虫


キアシドクガはドクガ科というグループに属し、名前にも「ドクガ」とつきます。


いかにも毒を持ちそうですが、名前に反して毒はありません


実は毒を持つ毛虫は、それほど多くはないのです。


「ドクガ科」のグループの中でも、実際には毒を持つものの方が少ないくらい。


ちなみに耳寄り情報ですが、毛虫は観察のしやすい虫でもあります。


イモムシ型の幼虫は、危険を感じるとポトっと地面に落下して逃げるものが多い


下が草むらだったりすると、落ちた虫を探すのは割と困難で、見失ってしまうことも多いのです。


ところが毛虫型のものは、毛で覆われていて防御力が高いからなのか、その場に留まってくれるものが多く、じっくり観察させてもらえるのです。

春に大量発生しがち

キアシドクガは数多くいる毛虫型の幼虫の中でも、目に付きやすい種です。


というのも、キアシドクガの幼虫は集中的に多数が発生するため。


彼らの発生する初夏の季節は、キアシドクガの幼虫が手すりをたくさん歩く姿をよく見られます。


先述した通り、キアシドクガはその姿と名前から嫌われがち。


そのため、大量発生すると住民や公園利用者からの苦情も発生するようです。


僕もキアシドクガのことを知らなかったら、大量の彼らの姿におののくと思います。


でも実際のキアシドクガは、人には無害の毛虫


イメージだけで嫌われるのはかわいそうなので、このブログなどで彼らの本当の姿を発信して伝えていきたいと思います。


個人的には、ホタルのように「毎年の風物詩」的にみんなで楽しめるくらいになったら嬉しいですね笑


ただ、本当のことを言ってしまうと、キアシドクガには実害もあります。


まとまって多数が発生するので、食草であるミズキなどの樹木を丸坊主にしてしまうことがあるのです。


現実的には、樹木の管理や景観などを考えると、街路樹の選定や位置など、「距離感の調整」は必要なのでしょう。


食草・植樹については、以下で詳しく紹介しています↓




キアシドクガの黄色のさなぎ

キアシドクガはチョウ目の仲間であり、「さなぎ」の段階を経て成虫になる、「完全変態」をする昆虫です。


キアシドクガは地上でさなぎになるので、幼虫がいた場所の近くの木の枝や手すりの付近を探すと、さなぎも見つかります。


幼虫の数が多いので、さなぎも以下のように一箇所で多くのさなぎが見つかることも。


キアシドクガのさなぎたち
キアシドクガ さなぎ


蛾のさなぎというと、茶色や黒など暗めの色のものが多いイメージなのですが、キアシドクガの色は、上記のように「黄色」です。


多くの蛾が地中でさなぎになるのと違って、キアシドクガは地上でさなぎになることが、色に関係しているのかもしれませんね。

キアシドクガの成虫は蝶のような純白な姿を持つ

さなぎから脱皮をして、成虫になると、キアシドクガは大きなはねを持ちます。


成虫は、幼虫の毛虫姿からは一変し、モンシロチョウのように純白な姿になります。


ちなみに、成虫の脚が黄色いことが「キアシ」の由来です。


純白のはねを持つキアシドクガ
キアシドクガ


成虫のキアシドクガは昼行性であり、蝶のように昼間に空を舞います。


蛾というとバタバタと飛ぶイメージが強いかと思いますが、キアシドクガはヒラヒラと優雅に飛ぶのです。


そのためか、幼虫の姿は嫌われるけど、成虫の姿は虫に詳しくない方からも「美しい」と言われることも多い。


また先ほどキアシドクガは昼行性と紹介したのですが、個体数が多いせいか、森に行くと夜にも関わらず普通にヒラヒラと飛んでいます


ただ、僕が虫をよく知らない方にキアシドクガの観察をオススメするならば、時間帯はやはり昼間


5月頃に出会える彼らは、"新緑の背景とセットで楽しめるから"です。


緑の森の中で舞い踊る白い妖精たちの姿は、まさしく"癒し"ですよ!

キアシドクガに関連する虫たち

イモムシ・ケムシ(チョウ・ガの幼虫)

ナミアゲハ 終齢幼虫

チョウたちの幼虫は、他にも面白い姿のものがたくさん!


そんな幼虫たちは以下で紹介しています↓


キアシドクガと同じ分類に属する虫たち

ナミアゲハ

キアシドクガはチョウ目ドクガ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。


[チョウ目]
鱗翅目(チョウ目)の昆虫まとめ|はねに鱗粉を持つ虫たち

[ドクガ科]


おわりに:キアシドクガの各成長段階を観察してみよう!

キアシドクガは地中に潜ることなく卵〜成虫まで成長します。


そのため、全ての成長段階が容易に観察できるという、嬉しい虫です。


しかも、各段階ごとに魅力的な特徴がある!


春〜初夏の時期には、ぜひキアシドクガの観察をお楽しみください!


そのほかのおすすめ虫紹介記事↓

■ セミ(蝉)

アブラゼミ


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