森で綺麗な鳥を見たよ!
でも声はやかましかった!
この鳥ってどんな鳥?
こんな疑問にお答えします。
「カラス」というと、どんな姿をイメージしますか?
街中でよく見られる、真っ黒な姿の鳥を想像する方が多いと思います。
しかしカラス科の鳥の姿は多様で、真っ黒な姿以外の種もいます。
その一種が冒頭の写真のカケス。
カケスはあまり人里では見られず、主に森で見られるカラスです。
また彼らはその習性により、森づくりに貢献している鳥とも言われているんですよ!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。
そんな鳥好きの僕が、カケスの特徴と魅力を紹介します。
カケスは青い模様の美しいカラス
人里でもよく見られるカラスはハシブトガラスやハシボソガラス。
これらのカラスとは異なり、カケスは森に生息するカラスです。
その姿もよくイメージされるカラスのように、真っ黒ではありません。
その姿で印象的なのが、羽の一部に見られる”鮮やかな青い模様”。
森に住むカケス
青と黒の細かく連続するそのデザインは、実にオシャレで美しい。
僕は奥多摩で初めてカケスに出会ったのですが、この青い模様がとても印象的で、家に帰ってこの模様を頼りに図鑑をめくったものでした。
気配はすれども姿は見せてくれないカケス
やかましい鳴き声
森や山の中は視界が悪く、目視で野鳥を見つけるのはなかなか難しい。
ところがそんな環境でも、カケスの存在には割と気付けます。
なぜなら、「やかましく、大きな声で鳴く」からです。
やかましい鳴き声のカケス
山や森の中で「ジェーイ」「ジェイ、ジェイ」というやかましい鳴き声が聞こえたら、カケスである可能性が高いです。
その声のする方を向くと、カラス大の鳥が飛んでいたり、移動する影が見られるでしょう。
なかなか見られないその美しい姿
先述したようにカケスの気配を察するのは簡単なのですが、姿をじっくり見るとなると難易度は大きく上がります。
カケスは樹木の上の方にいることが多く、しかも木の枝が混みいった所でせわしなく動き回っている。
ひらけた場所でじっとしてくれることがなかなかなく、止まっても枝かぶりするのです。
枝の混み入った場所にいることの多いカケス
美しい青い模様はチラチラするのですが、その全体像を撮影するチャンスはなかなか訪れない。
しかしだからこそ。
地面に降りてきたりちょうど枝の間に出てきてくれた時の、わずかなチャンスを掴めた時はとても嬉しいのですけどね。
カケスは森づくりに貢献する鳥
カケスは”森づくりに貢献する鳥”でもあります。
それには、カケスが「どんぐりを貯食する習性」を持つことが関係しています。
カケスは秋になると、どんぐりを集めて土に埋めたり、落ち葉の下に隠したりするのです。
どんぐりはコナラやミズナラなどブナ科の樹木の実で、中には種が入っています。
コナラのどんぐり
これらの樹木にとって、実を動物に運んでもらうのは種子散布の手段の1つ。
例えば隠し主がその隠し場所を忘れてしまったり、死んでしまうことで、どんぐりの中の種子はその場所で発芽。
このように動物に実を運んでもらうことは、植物の分布拡大につながるのです。
どんぐりの移動を手伝う動物には他にリスやネズミがいますが、空を飛ぶことのできるカケスはより遠距離移動が可能。
どんぐりを作る樹木にとって、カケスは強力なパートナーなのです。
北海道の亜種ミヤマカケス
北海道には亜種ミヤマカケスが生息しています。
ミヤマカケス
カケスとの違いは頭部。
頭部の色は黄褐色で、頭頂部に黒い線が入っています。
北海道の森で「ジェー」という声が聞こえたら、ミヤマカケスがいるかもしれません。
カケスと同じ分類に属する鳥たち
カケスはスズメ目カラス科に属する鳥。同じ分類の鳥たちを以下で紹介しています。
[スズメ目]
スズメ目の野鳥まとめ|美しい声を持つ鳥類最大のグループ
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[カラス科]
カラス科の野鳥の種類と魅力|黒くないカラスがいる?実は多彩な姿の鳥たち