植物の茎に泡がついてるよ!
この泡って一体何なの?
こんな疑問に答えます。
特に初夏の頃に林縁を歩いていると、植物の茎や葉に「泡」がついているのをよく見かけます。
この泡は、一体何者なのでしょう?
ということで泡をかき分けてみると、泡の中には何やら生き物が。
泡の中にいた生き物
泡の中にいた生き物は、アワフキムシという昆虫。
というわけで今回の主役は、この泡の中に住む昆虫「アワフキムシ」です!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、アワフキムシの魅力を紹介します。
アワフキムシは泡の巣をつくる虫
アワフキムシは「カメムシ目」というグループに属する昆虫。
アワフキムシは同じ目のカメムシの多くやセミのように、植物の汁を吸って生活します。
吸った汁の中から栄養分を吸収した後、残りの水分を排出する時に体内から分泌物を出して石けんを作ります。
その石けんから生み出された泡が、自らを包む「泡の巣」となるのです。
アワフキムシの幼虫が作った泡の巣
アワフキムシの幼虫はこの泡の巣の中で大きくなって行きます。
以下は若齢の幼虫。
アワフキムシ(シロオビアワフキ?)の若齢幼虫
季節が進んで大きくなった幼虫は、以下。
大きくなったアワフキムシ(シロオビアワフキ?)の幼虫
生き物の巣は巣材を組み合わせて作られたものが多いですが、アワフキムシ0から巣を作るという、面白い昆虫なのですね。
ちなみに言わずもがなと思いますが、「アワフキムシ=泡吹虫」の名前はこの泡の巣を作る習性が由来となっています。
アワフキムシは小さくかわいらしい姿の虫
真夏になると、植物につくアワフキムシの泡の巣は見かけなくなります。
というのも、泡の中で暮らすのは幼虫のみ。
実はアワフキムシは成虫になると、泡の巣から出て生活するのです。
そんなアワフキムシの成虫は、以下のような姿。
シロオビアワフキの成虫
アワフキムシたちはどれも1cm前後の小さな虫たち。
しかも上の写真のような褐色の地味な姿のものが多い。
ぶっちゃけ彼らのことを知っていないければ、その存在に気付けないことが多いと思います。
しかし、その姿をよく見てみると、丸みのあるシルエットでとてもかわいらしい姿をしています。
彼らの存在を知っていることで、素敵な虫たちを観察できる特権が得られるのです。
ちなみにアワフキムシは、そのジャンプ力にも注目!
近しいグループのヨコバイやウンカの仲間のように、飛行ではなくジャンプが得意な虫たちなのです。
危険を察知するとパチッという音と共に、遠くへジャンプして逃げますよ!
アワフキムシの種類
シロオビアワフキ
体の縁から大きな白い帯模様があるのが特徴。
個人的には遭遇頻度の最も高いアワフキムシです。
ハマベアワフキ
繊細な肌色が美しいアワフキムシ。
「ハマベ」というネーミングがなかなかユニークで、肌色の中に通る白色の筋は確かに浜辺を連想させられます。
ちなみに見られる場所は浜辺ではなく、林縁などです。
テングアワフキ
頭の尖った個性的な姿をしたアワフキムシ。
体の色も真っ黒で、他のアワフキムシたちとはまた違った雰囲気をまとっています。
こちらはあまり身近な場所では見られず、山で見られる種です。
おわりに:アワフキムシの各成長段階を楽しもう!
アワフキムシは幼虫〜成虫までユニークな虫です。
初夏の頃は植物につく泡の観察、真夏はそのかわいらしい成虫の姿を観察してみましょう!
彼らのような小さな昆虫たちの存在に気付けるようになると、日々の散歩や通勤がとっても楽しくなりますよ!
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■ ガガンボ
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