イモムシには、大きな目玉を持つものが多いよね。
…え!?
あの目玉模様ってホンモノの目じゃないの?
こんな疑問にお答えします。
イモムシには、よく目立つ目玉模様を持つものがいます。
しかし実はあの目玉模様は「眼状紋」と言われるニセモノの目玉。
それでは、彼らの本当の顔はどこにあり、あの目玉模様は何のためにあるのでしょうか?
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、イモムシの目玉模様(眼状紋)について紹介します。
イモムシの眼状紋とは
イモムシとは、「毛が目立たない、チョウやガの幼虫のこと」を指します。
このイモムシの中には、「眼状紋」と呼ばれる大きな目玉模様を持つものがいます。
例えば、アゲハチョウ(ナミアゲハ)の幼虫も、眼状紋を持つイモムシの1種。
ナミアゲハの終齢幼虫
緑色の大きな頭に大きな眼がついていて、その姿はまるで「ヘビ」のようにも見えますよね。
ところが、ナミアゲハの幼虫の本当の頭部は、目玉模様のある場所とは違うところにあります。
彼らが植物の葉をむしゃむしゃと食べているところを発見しました。
その様子をよく見てみると…
ナミアゲハの終齢幼虫がえさを食べる姿
あら!ヘビの頭の先から、かわいらしい小さな顔が!
なんと、この「小さな顔」の方がホンモノの頭だったのです!
では彼らの体にある大きな目玉模様には、一体どんな意味があるのでしょうか?
イモムシの眼状紋の効果
僕の持っているイモムシ情報のバイブル「イモムシの教科書」。
イモムシに関する様々なおもしろい特徴・生態が紹介されている、おすすめの本です。
この本の中で、「眼状紋の効果に関する調査結果」が紹介されていました。
「眼状紋がない–ある」「体が大きい–小さい」を組み合わせた4タイプのイモムシの模型を野外に設置し、また屋内でニワトリに与え、その効果を検証している。
それによれば、体が小さい(20ミリ大)場合には眼状紋の効果はあまり見られなかったが、体が大きい(40ミリ大)場合には眼状紋のある方が鳥の攻撃はより少なくなり、攻撃までの時間がより長くなったという。
引用:イモムシの教科書 P.173
この調査から、体の大きなイモムシの場合、眼状紋は「天敵から身を守る効果」があると言えます。
一方で体の小さなイモムシの眼状紋の効果は確認できず、イモムシの教科書内でも「何のために眼状紋があるのか?」という結論になっていました。
天敵が他の動物だったら効果があるのか、それとも進化の過程の名残のようなものなのか?
身近な存在ながらまだまだ分からないことがたくさんあるのも、生き物および生き物観察の面白いところです!
イモムシの色々な眼状紋
イモムシには種類によって様々な姿の眼状紋を持っていて、実に面白い。
ナミアゲハの幼虫以外にも、面白い眼状紋を持つイモムシはたくさんいます。
アオスジアゲハ
ナミアゲハと比べると小さな眼状紋で、しかもツノのようになっている。
アケビコノハ
星空をモチーフにしたかのような、暗闇の空間に浮かぶ大きな眼状紋が特徴的。
セスジスズメ
複数の大きな眼状紋が連続して並ぶ、インパクトのある姿。
このようにイモムシの眼状紋は、実に面白く様々なパターンのものがあります。
もっとイモムシの姿を楽しむなら、「イモムシ ハンドブック」シリーズ(全3巻)がおすすめ!
種数が多いだけでなく、個別のイモムシの特徴が詳しく紹介されています!
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おわりに:イモムシの眼状紋を観察してみよう!
イモムシの眼状紋には、種類によって色々な姿・形があります。
種類によって目玉のモチーフが違ったり、効果を発揮する相手が異なったりするのかもしれません。
イモムシの暮らす環境や天敵を知り、「自然環境でどのような効果があるのかを調べてみる」といった観察も面白いですよね!
姿だけでなく生態も魅力いっぱいのイモムシたち、ぜひ観察してみてくださいね!
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