COOLPIX P950 は P900 の違いがスペック情報だけだと分からない…。
操作感とか、どんな違いがあるの?
こんな疑問に答えます。
僕は年間100回以上全国各地で野鳥観察をしています。
僕は3年ほどCOOLPIX P900を使っていたのですが、次世代の「P950」に買い替えをしました。
COOLPIX P950の最大の特徴は、なんといってもその「超望遠ズーム」!
35mm判換算で最大2000mm相当の撮影画角を持つ、とにかく望遠に力を入れているシリーズなのです。(その望遠力の凄さは後ほど紹介します)
そんなCOOLPIX PシリーズのP950とP900のスペック情報はよく似ていて、スペックだけを比較しても違いがピンと来ません。
また店頭でカメラを少し触るのと屋外での使うのとではイメージが違った、ということも。
実際にフィールドでP950を使ってみると、意外とP900との操作感の差があり、やはりスペック情報だけでは分からないものだなと思いました。
というわけで今回は、僕が野鳥撮影にてP900/P950両者を使った経験をもとに、体験ベースでの両者の比較レビューをしたいと思います!
- 僕がコンデジを使う理由
- COOLPIX P950の超望遠力
- COOLPIX P950 と P900 のスペック
- COOLPIX P950 と P900 の操作感
- COOLPIX P1000について
- まとめ
僕がコンデジを使う理由
レビューをする前に、「僕がなぜコンデジを使っているか」を簡単に説明します。
この前提情報は結構大事で、なぜならカメラは撮影対象や使用目的によって評価が全然違うものになるからです。
バードウォッチャーの方は一眼レフカメラを使っている方も多い。
それに対して僕がコンデジを使う理由は、大きく以下の2点です。
2. 持ち歩きやすいサイズである
1. 一眼レフカメラよりも安価である
バードウォッチャーの方を見ていると、よく大砲のような大きさのカメラをかついでいますが、あれは「一眼レフカメラ」です。
実は僕は、一眼レフカメラの購入を検討したことがあります。
具体的な評価は実際に使ってみるのが一番なので、カメラをレンタルして使ってみました。
レンタルしたカメラには「最大300mm」までのレンズしか入っていいませんでした。
ズーム機能は、カメラ本体ではなくレンズに依存します。(ちなみに、COOLPIX P950は2000mm相当。まさしく桁外れなズーム力なのです)
本当は600mmなど超望遠ズームのできるレンズを使いたかったのですが、お試しなので(高倍率のものはレンタル価格も高くなる)まずは300mmのレンズにしていざ野鳥撮影へ。
ところが使ってみた感想は…「全然ズームできない!」
当時すでに1000mm以上相当の超望遠コンデジに慣れていた僕には、全く満足できるものではありませんでした。
野鳥はどんなに近くても10m以上は離れていて、100m以上離れていることも普通にあります。
撮影者の撮影しやすさにおいても、被写体の野鳥に安心してもらうためにも、撮影をするなら500〜600mmのレンズは必要。
ということでレンタルを使った後に、再度一眼レフの超望遠レンズの価格を調べてみると、これがべらぼーに値段が高い。
有名なメーカーのものだと、100万円超えとか、普通にします。
もちろんその分より高機能だったり画質もよくなるはずですが、簡単には手を出しづらい価格です。
それに対して、コンデジは5〜10万円程度。
決して安くはないけど、一眼レフよりもはるかに購入検討しやすい価格なのです。
2. 持ち歩きやすいサイズである
僕が普段撮影対象としているものは主に「野鳥」と「蝶」。
野鳥だけでなく、様々な生き物を歩いて観察しているため、海・山・川など様々な環境でカメラを持ち歩きます。
岩礁のような場所を歩くこともありますし、険しい登山コースを歩くこともあります。
そのために大事なのが「持ち歩きやすさ」。
大型であること自体が悪いわけではないですが、僕の今の観察スタイルにおいては「大型になりすぎない、持ち歩きやすい」方が適しているのです。
「散歩や登山などをしながら野鳥撮影も楽しみたい」といった方は、超望遠コンデジは合っているのではないでしょうか。
COOLPIX P950の超望遠力
まず、COOLPIX P950の最大の長所である「超望遠力」を紹介します。
まずは全くズームしていない写真がこちら。
ズームなし(24mm換算)
綺麗な海の風景ですね。
次は1000mm相当分、ズームした写真。(超望遠ズームの一眼レフのカメラの最大がこれくらいになると思います)
1000mm相当
何やら海鳥(ウミウ)がいるようです。
COOLPIX P950ではさらに2000mmまでズーム可能!
2000mm相当
実はCOOLPIX P950は電子ズームでさらに4倍まで行けます。
4000mm相当(電子ズーム2倍)
8000mm相当(電子ズーム4倍)
COOLPIX P950のズーム力をもってすれば、ズームなしでは風景画にしか見えなかったのが、鳥の体全体が映るまでになるんですね。
これだけ離れた距離からの撮影であれは、野鳥が警戒して逃げるようなことはほぼありません。
※ちなみに電子ズームは単純に拡大しているものなので、使う分画質は悪くなりますし、ズームすればするほど手ブレしやすくなるので筋力と集中力が必要になります。できるだけ光学ズーム内におさめた方が良いです。
COOLPIX P950の超望遠力、感じていただけましたでしょうか。
もちろん被写体は近い位置にいれば、より美しい写真が撮りやすいです。
P950で撮影したキジ
このように、COOLPIX P950は野鳥撮影の強力な武器になるのです。
COOLPIX P950 と P900 のスペック
COOLPIX P950 と P900 の主なスペックを抜粋したものは以下の通り。
■ COOLPIX P950
・レンズ:光学83倍ズーム、NIKKORレンズ
・焦点距離:4.3-357mm(35mm判換算24-2000mm相当)
・電子ズーム:最大4倍(35mm判換算約8000mm相当)
・解放F値:f/2.8-6.5
・ファインダー:0.39型有機ELモニター、約236万ドット
・寸法:約140.2×109.6×149.8mm(幅×高さ×奥行き)
・質量:約1005g(電池、メモリーカード含む)
・その他P900との違い:4K動画対応、RAW形式対応、手ブレ補正5.5段(P900は5段)
■ COOLPIX P900
・ファインダー:電子ビューファインダー、0.2型液晶、約92万ドット
・寸法:約139.5×103.2×137.4mm(幅×高さ×奥行き)
・質量:約899g(電池、メモリーカード含む)
レンズやズーム周りのスペックには大きな変化はありませんでした。
サイズはP950の方が大きく、重さも100gほど重くなりました。
以下は、P950とP900の外観の比較です。
※左:P900、右:P950
※左:P950、右:P900 (すみません、1枚目と逆になっています)
P950では機能がいくつか追加・強化されていて、ファインダー強化、4K動画対応、RAW形式対応などがあります。
RAW形式対応は、撮影した画像を自分で調整する方にとってはとても嬉しい機能追加なのではないでしょうか。
ちなみに価格は、現時点(2020/11/17)のAmazonで、
・P950が8〜10万円前後
・P900が6〜7万円前後
で、P950の方が2〜3万円ほど価格が高いです。
COOLPIX P950 と P900 の操作感
スペック面や機能説明以外の、操作感(主にP900からの変化)について説明していきます。
撮影中の調整がしやすくなった
P950のボタン配置が変化したことで操作感がアップしました。
※左:P950、右:P900
一番大きいのはフォーカスモードの切替(AF/MF)で、今まではmenuから複数の手順を踏む必要があったものが、ボタンから簡単に切り替えられるようになりました。
また動画ボタンやDISPボタンが押しやすい位置に移動し、撮影中の動画への切替やモード調整がしやすくなっています。
鳥はずっと止まっているわけではないので、ファインダーから目を離さずにモード調整などができるのはとっても嬉しい改善です。
暗い場所での撮影の弱さが改善
P900を使っていた時に感じていた一番の弱点が、「周りが暗くなると極端に撮影できなくなる」でした。
しかしスペックには出てきていませんが、P950になって明るさ調整周りの機能が改善されているように思います。
特に暗い場所での撮影が以前よりも改善された感覚。
以下は日没30分前くらいの時間帯に、シャッタースピード1/200で撮影したカワセミ。
P900では良くても1/60くらいに下げる&撮っても被写体がぼやっとなる状況だったので、P950にして1/200でこれだけの写真が撮れたのにはビックリでした。
撮影可能時間が伸びるということは撮影チャンスが増えるということなので、個人的にはとても嬉しい改善です。
ファインダーのパワーアップ
P950ではファインダーが大型になり、解像度も高くなりました。
ファインダーを通して見る撮影対象は大きく、より鮮明に見えるようになりました。
よく動く鳥の場合、ファインダー越しに追うことが多い。
なので、ここがパワーアップしてくれたことで、撮影時の負担が軽減し、鳥を追いやすくもなったように思います。
オートフォーカスの操作感が変化
オートフォーカスはP900と感覚が変わったように思います。
「ここに合わせればバッチリだろう」と思っても、思ったほどフォーカスがあっていなかったりすることも。
逆に「今まではフォーカスを合わせずらい状況なのに、合わせてくれた」という場面もあるので、今のオートフォーカスへの慣れの問題のようにも思います。
P900から乗り換えた方は、最初は少し違和感を感じるかもしれません。
ちなみにP950では手ブレ補正がパワーアップされており、僕のケースでは上空を飛ぶ鳥の撮影などは以前よりブレずに撮影できるようになりました。
思ったほど重くはない
P950はP900よりも少し大型になりました。(重さも100g重くなった)
僕はカメラを持ちながら20キロ歩いたりもよくするので、ここは気にしていたのですが、実際に使ってみた感じはあまり影響なく、P900と同じ感覚で使えています。
COOLPIX P1000について
COOLPIX Pシリーズにはさらに望遠に特化した「P1000」というものがあります。
こちらは最大光学ズームが「3000mm」というバケモノ的なズーム機能を持つカメラ。
もちろん僕もこのズーム機能にはたいへん惹かれまして、店頭でそのサイズと重さを確認しにいきました。
しかしなぜ僕がこちらにしなかったのかというと、僕の撮影スタイルとのマッチングの問題です。
実際に触ってみると、やはりP950と比べて大きく重い。
MAXズームにした時は重くて手ブレが起きやすく、歩きながら不意に現れる生き物を撮影するにはちょっと厳しそうだと感じたためです。
ちなみに僕の撮影スタイルでは合いませんでしたが、止まって撮影するのがメインだったり、三脚と合わせて使うことができれば、とても強力なパートナーになるカメラ(3000mmズームは超魅力的!)だと思います!
まとめ
COOLPIX P950 は野鳥観察において重要な、「超高倍率ズーム」が搭載されているコンデジです。
1世代前のP900と比べて基本スペック向上&機能追加されているだけでなく、実際に使ってみるとスペックに書いていない部分にも多くのパワーアップがされているように感じます。
価格はP900よりも少し上がっていますが、カメラは長く付き合っていくものだと思うので、撮影チャンスがより多くなったり、より使い勝手がよくなることには、相応の価値があるのではないでしょうか。
COOLPIX Pシリーズは僕にとっても生き物観察の大切なパートナーなので、今後も大切に使っていきたいと思います!(生き物紹介記事での野鳥写真の多くは、P900/P950で撮影したものです)
本記事でCOOLPIX P950の魅力が少しでも伝われば嬉しいです。