面白いくちばしの形をした鳥がいたよ!
この鳥ってどんな鳥?
こんな疑問にお答えします。
写真の鳥は、クロツラヘラサギ。
しゃもじのような形のくちばしがユニークな鳥です。
このクロツラヘラサギは、実はアジアの島国の一部でしか見られない、希少な鳥。
1993年には、世界で約300羽まで減少してしまった過去もあります。
そのため、現在は日本を含むアジアの各国による保全活動により、個体数の回復に取り組まれている鳥です!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。
そんな鳥好きの僕が、クロツラヘラサギの特徴と魅力を紹介します。
※動画版はこちら▼
クロツラヘラサギはしゃもじ型の黒いくちばしがユニーク
ヘラサギの仲間は、サギ科ではなくペリカン目トキ科という分類グループに含まれます。
クロツラヘラサギの特徴は、なんと言ってもしゃもじのような形のくちばし。
しゃもじ型のくちばしがどんなものかというと、以下の通りです。
しゃもじ型の黒いくちばしを持つクロツラヘラサギ
なんとも面白い形のくちばしですよね。
彼らの行動を観察していると、
・長くて平べったい形を利用して羽づくろいする
など、実に器用にくちばしを使いこなします。
くちばしを活用した様々な行動は「なるほど」と思わされるものばかりで、観察していて飽きないです。
ちなみに、日本で見られるヘラサギには他に「ヘラサギ」がいます。
クロツラヘラサギとの外見の違いとしては、ヘラサギは「くちばしの先が黄色くなっている」という点です。
ヘラサギはくちばしの先が黄色い
それとクロツラヘラサギは「黒面(くろつら)」の名の通り、顔面の黒い部分が広くなっています。
クロツラヘラサギの方が顔面の黒い部分が広い
このように、クロツラヘラサギは外見・行動ともにユニークな鳥なのです!
クロツラヘラサギはアジアのみに生息する希少な鳥
クロツラヘラサギは、朝鮮半島の離島や中国東部の離島のみという、世界でごく一部の地域で繁殖する鳥です。
日本は繁殖地に近い地域なので、冬鳥や旅鳥として一部が渡ってきます。
クロツラヘラサギは世界的に希少な鳥
実はクロツラヘラサギは1993年には約300羽まで減少し、絶滅の危機に瀕した鳥でした。
しかしアジアの国々の保全活動により、2010年には約2,300羽まで、2020年には約4,800羽まで回復したようです。
2020年のクロツラヘラサギの世界一斉センサスは1月17日~19日にかけて行なわれました。調査結果は各国からの報告に基づき、香港バードウォッチング協会(HKBWS)が取りまとめを行なっています。
2020年の調査では、前年より401羽(9.0%増)増えて4,864羽が確認されました。
渡り鳥の保全は、1つの国だけが頑張っても難しいところがあります。
繁殖地の環境を改善しても越冬地の環境が悪ければダメだし、越冬地を改善しても中継地が悪ければダメ。
「繁殖地 × 中継地 × 越冬地」の環境のかけ算になっているのですね。
渡り鳥たちは国境をまたいで移動するため、繁殖地と越冬地は別の国であることが多い。
そのため、国々の連携や協力が必要になってくるので、鳥たちの保全活動をする場合は、他国を巻き込んで活動する必要があるのです。
でもこうやってクロツラヘラサギの個体数が回復しているのは、少なくともこの保全プロジェクトにおいては各国の協力や連携がうまくいっているということではないでしょうか。
ただ、気候変動や都市開発など、今後もまだまだリスクはたくさんあるはず。
保全活動は僕にはできないので、これらの活動をされている方々には本当に尊敬の念を感じており、応援しています。
クロツラヘラサギと同じ分類に属する鳥たち
クロツラヘラサギはペリカン目トキ科に属する鳥。同じ分類の鳥たちを以下で紹介しています。
[ペリカン目]
ペリカン目の野鳥まとめ|大型で迫力のある水鳥たち
▼
[トキ科]
おわりに:クロツラヘラサギを観察しよう!
クロツラヘラサギには、普段あまり出会うチャンスはないかもしれません。
しかし保全活動がうまくいって、順調に個体数が増えていけば、身近に見られる鳥になるという未来もあるかもしれませんね。
もし彼らに出会うチャンスがあれば、その時はぜひ彼らのユニークなくちばしを観察してみてください!
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