ネイチャーエンジニア いきものブログ

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ヤニサシガメは松ヤニがないと生きていけないカメムシ

ヤニサシガメ

あ、なんかベトベトした変わった虫がいる!

この虫ってどんな虫?

こんな疑問に答えます。


写真の虫は、ヤニサシガメ


体にヤニ状の粘着物質をまとったベタベタした姿を持つ、カメムシの仲間です。


ヤニサシガメのベタベタは松ヤニと深く関係。


もはや「松ヤニがないと生きていけない」という、とっても不思議な虫なのです!


僕はネイチャーエンジニアの亀田です。


年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。


そんな虫好きの僕が、ヤニサシガメの特徴と魅力を紹介します。




 

ヤニサシガメは体にヤニをまとったサシガメ

ヤニサシガメは「カメムシ目サシガメ科」というグループに属する昆虫。


サシガメというのは肉食性のカメムシで、体もシュッとスマートな姿のものが多い虫たちです。


ヤニサシガメは、サシガメの中でも特に不思議なキャラを持つ虫


まずは以下のように、とにかくベタベタした体を持つのです。


ベタベタした姿のヤニサシガメ
ヤニサシガメ


ヤニサシガメがベタベタしている理由は、「体にヤニ状の粘着物質をまとっている」から。


ちなみに他のサシガメはあしが細長く、実にスマートな感じなのですが、ヤニサシガメはスマート感は弱く、動きも鈍いです。


さらに「あし」は、なんだか節状に膨らんでデコボコ…


しかしどうやら、このあし部分が特にベタベタしている、とのこと。


というわけで好奇心の強い僕は、指でヤニサシガメのあしのベタベタを触ってみることに。


まず指であしを触り、そのあと指を上に上げてみると、あしが指にくっついてきてヤニサシガメが転びそうになってしまいました笑


ヤニサシガメは、見た目通りの「強い粘着力」を持っていることが確認できました!


後述しますが、ヤニサシガメにとってヤニは大事な存在。


なので、あまりたくさんは触らないようにしてあげてください!




ヤニサシガメと松ヤニの不思議な関係

ヤニサシガメにとって、「松ヤニ」はとっても大切なもののようです。


以下の「カメムシ: おもしろ生態と上手なつきあい方」という本の中で、ヤニサシガメと松ヤニの関係性について紹介されていました。


「ヤニサシガメのおもしろ習性 体にヤニを装う生活」というコラムでは、以下のように記述されています。

ヤニサシガメの行動を観察すると、マツヤニの分泌部分に口吻を差し込んで、吸収することも確認されている。


ということは、ヤニサシガメの各脚の節状の膨らみから分泌しているという説もあることから、吸収されたヤニが体内で消化吸収されたものが、あるいは老廃物として分泌していると言うことも考えられる。


ヤニサシガメの最大の特徴であるヤニ状の粘着物質は、松ヤニから得られたものだったのですね。


さらに幼虫のベタベタについては、また別の方法で得られていることが書かれています。

ところが、幼虫の行動から、体内からヤニを分泌するということとは全く違う行動をすることも分かってきたのである。


何と、ヤニサシガメ自身が、ヤニの分泌されている場所に行き、体にこのマツヤニを塗り付けるのである。


幼虫の場合、もはや直接的に松ヤニを利用しちゃってるんですね笑


ちなみにヤニサシガメの幼虫の姿はこちら。


ヤニサシガメの幼虫
ヤニサシガメ 幼虫


成虫よりもさらにベタついた感じで、サシガメらしいスマートらしさはあまりありませんよね。


少し脱線しますが、鈍そうに見えるヤニサシガメもちゃんとサシガメらしく「肉食性」で、他の虫を捕えている場面に出会うこともあります。


狩りに使う武器は、「長く鋭い口吻」です。


ユスリカの仲間を捕食するヤニサシガメ
ヤニサシガメ


ヤニサシガメよりもユスリカの動きがはるかに素早そうですが、スキをついたりしてうまく捕えるのでしょうね。


話を戻しまして、ヤニサシガメは松ヤニを利用するという不思議な生態を持つサシガメでした。


ところがさらに、ヤニサシガメが「いかに松ヤニに依存しているか」が書かれています。

この光沢は、ヤニの光沢によるものであり、松の枝葉が古くなったり、松葉からヤニが出なくなったりすると容器内の飼育個体の光沢は失われ、次第に動きが弱まり餌もとらなくなりやがて死んでしまうのである


もはやヤニサシガメは、”松ヤニがないと生きていけない虫”なのですね。


この話を「松ヤニに依存しているなんて、ヤニサシガメは変な虫」と片付けることもできます。


しかし依存の強弱はあれども、実はほとんどの生き物が他の動植物や環境に依存して生きています


もちろんその中には人間も含まれていて、様々な動植物の恩恵をあるからこそ生きていける


例えば、僕たち人間は牛や豚、鳥など様々な動物たちを食べていますが、それらの動物もまた別の何かをえさとして食べて大きくなることで食材となります。


その食物連鎖を辿っていくと、その中にはヤニサシガメも含まれている可能性もあるんです。


このように、一見関係のないように見える生き物同士も繋がって支え合っているかもしれない。


そう考えると面白くないですか?


生き物単体だけでなく、「生き物どうしの関係性」についても観察してみると、より面白い発見や考察が得られるかもしれませんね!

ヤニサシガメと同じ分類に属する虫たち

シマサシガメ

ヤニサシガメはカメムシ目サシガメ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。


[カメムシ目]
半翅目(カメムシ目)の昆虫まとめ|ストローのような口吻を持つ虫たち

[サシガメ科]
サシガメの種類と魅力|シャープな姿の肉食性カメムシたち


おわりに:ヤニサシガメを観察してみよう!

ヤニサシガメは、松ヤニを利用してい生きる面白いサシガメ。


身の回りには、こんな不思議でおもしろい虫たちがたくさん暮らしています。


身近な公園などにもまだまだ知らない虫たちがいるはず。


ぜひ魅力的な虫たちを探して観察してみてください!


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