あ、草やぶに小鳥がいるよ!
アオジかと思ったけど何か違うような…この鳥はなんだろう ?
こんな疑問にお答えします。
写真の鳥は、カシラダカ。
頭の上にある羽「冠羽(かんう)」が特徴的な鳥で、名前の由来にもなっています。
ちなみに、カシラダカは「野鳥観察初心者は見分けに手こずる鳥」でもあります。
遠目で見るとスズメにさえ似て見えることもあり、僕も野鳥観察を始めた頃はよく図鑑とにらめっこしていたものでした。
以前公園で野鳥観察していたときに、他のバードウォッチャーの方がカシラダカを見て、
あれはスズメかな?
…あれ?アオジかな?
と言っているのを見て、「カシラダカの見分けに苦労するのは僕だけではないんだな」と思ったものでした。
というわけで今回は、カシラダカの特徴のほか、カシラダカと似た鳥との見分け方についても紹介します!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。
そんな鳥好きの僕が、カシラダカの特徴と魅力を紹介します。
カシラダカは目立つ冠羽が特徴的
名前の由来は冠羽
カシラダカは「スズメ目ホオジロ科」というグループに属する鳥。
なんと言っても特徴的なのは、頭頂部の「冠羽(かんう)」です。
この冠羽を立たせることが由来で、「カシラダカ=頭高」という名前になっています。
頭頂部の冠羽が目立つカシラダカ
なんだか、イカした髪型に見えますよね!
カシラダカは、かわいいとかっこいいが同居した魅力的な鳥です。
ところでこの冠羽、名前にも関係しているのですごく印象に残るのですが、この特徴を意識しすぎると「見分けが難儀する原因」になりえます。
というのは、カシラダカは以下のように「冠羽が寝ている」という個体/状況もありまして…
冠羽が寝ているカシラダカ
「カシラダカ=冠羽が目立つ!」という風に強く思っていると、上の写真のような個体が出てきた時に混乱してしまうのですね。
そこで注目したいのが、「カシラダカはお腹が真っ白」という特徴。
お腹が真っ白なカシラダカ
識別に関しては、冠羽よりもこちらの方が役立つことが多いかもしれません。
オスの夏羽は黒い
カシラダカは日本では「冬鳥」。
なので僕らが普段見るカシラダカの姿は、基本的に「冬羽」です。
繁殖期には姿が変わる鳥もいて、カシラダカもその特徴を持つ鳥であり、オスは夏羽になると「頭が白黒になる」のです。
以下は換羽し始めのオスの写真。
頭部が黒くなり始めたカシラダカのオス
季節が進むと、もっと頭部がはっきり白黒になります。
北日本などなら、もっと季節の進んだ時期に観察できるはず(冬鳥は徐々に北に移動するため)なので、さらに夏羽らしい姿に出会いやすいかもしれませんね。
ホオジロ科の鳥のオスは、このように頭部が特徴的で面白いものが多くいるグループです。
僕もいつか夏羽のカシラダカの姿を見てみたいものです。
カシラダカと似ている鳥との見分け方
先述した通り、カシラダカは野鳥観察初心者泣かせの鳥です。
というわけで、「カシラダカと見間違えやすい身近な鳥1〜3位」を見分けポイントと共に紹介します。
3位 ヒバリ
カシラダカといえば頭頂部にある冠羽が特徴的な鳥ですが、実はカシラダカ意外にもその特徴を持つ鳥がいるんです。
それが、このヒバリ。
ヒバリ
体の色味も似ている上に大きさも同じくらいで、一見よく似ているのです。
ヒバリとの見分けポイントは、「くちばし」。
カシラダカが属するホオジロ科の鳥のくちばしは、みんな小さく短い。
それと比べるとヒバリのくちばしは明らかに細長いのです。
2位 アオジ
アオジは、カシラダカと同じホオジロ科に属する鳥で、体の大きさもシルエットもよく似た鳥です。
アオジ
何よりも紛らわしいのが、生息環境。
カシラダカと同じ冬鳥であり、林縁の草やぶや農耕地など、好む環境が重なっているのです。
実際、アオジと同時にカシラダカを見ることもよくあります。
なので「さっきアオジを見たからアオジかな?」と思っているとカシラダカだった、ということも。
見分けポイントは「体の色味」と「顔」。
アオジの体は黄色っぽく、カシラダカとは色味が異なります。
さらに顔を見ると確実で、アオジにはオス・メス共に黄色い部分がありますが、カシラダカにはありません。
またアオジには頭頂部にカシラダカのような盛り上がる冠羽はないです。
1位 ホオジロ(メス)
ホオジロも、カシラダカと同じホオジロ科に属する鳥。
ホオジロのオスの頭部は白黒模様なので一目で区別がつくのですが、メスはカシラダカとそっくりな姿をしています。
ホオジロ(メス)
さらに生息環境もまた微妙に重なっていて、非常に紛らわしい。
そこで、ついにあの見分けポイントを使う時が出てきます。
そう、「カシラダカはお腹が真っ白」な点です。
ホオジロのお腹は茶色味があり、明らかに真っ白ではありません。
お腹が真っ白であれば、それはカシラダカとなります。
カシラダカと同じ分類に属する鳥たち
カシラダカはスズメ目ホオジロ科に属する鳥。同じ分類の鳥たちを以下で紹介しています。
[スズメ目]
スズメ目の野鳥まとめ|美しい声を持つ鳥類最大のグループ
▼
[ホオジロ科]
ホオジロ科の野鳥の種類と特徴|オスの頭部が個性的!サングラスから白黒頭まで
おわりに:カシラダカを観察しよう!
カシラダカは、冬に見られるかわいらしくさもありつつ、冠羽はかっこいいという、魅力的な鳥です。
基本的には「群れ」で行動しており、静かに地面でえさをついばんでいる場面によく出会います。
カシラダカは林縁の草やぶや林が近くにある農耕地で見られることが多いですので、近くにそのような場所があればぜひ探して観察してみてください!
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