あ、青くてツヤがあるハチがいるよ!
このハチって、どんな虫?
こんな疑問に答えます。
写真の虫は、ルリチュウレンジ。
青色のメタリックな輝きが美しい、「ミフシハバチ科」というグループに属するハチです。
ハチというと、"毒針を持ち、人を刺す"というイメージがあると思いますが、このハチは「そもそも毒針を持たない」というハチです。
意識しないとスルーしてしまうくらい小さなサイズのハチですが、姿も生態も面白い虫なのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、ルリチュウレンジの特徴と魅力を紹介します。
ルリチュウレンジの特徴と魅力
青いメタリックな姿を持つハチ
ルリチュウレンジは、「青いメタリックな姿」が特徴的なハチの仲間。
青い姿の美しいルリチュウレンジ
ツヤのある輝く姿が美しいですよね。
名前の中にある「ルリ」は「瑠璃色」を意味していて、この青い姿のことを指しています。
ルリチュウレンジは8〜10mm程度と小さなハチで、意識しないとスルーしがちなサイズ感ですが、意識さえすればその輝く姿はよく目に入るようになります。
成虫は「花の蜜」を吸うため、花の上にもよく集まっています。
花に集まるルリチュウレンジ
ルリチュウレンジは身近な場所で見られるハチですので、暖かい季節は花の上にいるハチに目を向けてみてください!
人を刺さないハチ
ハチというと、"毒針を持ち、人を刺す"というイメージを持っている方が多いと思います。
ところが、ルリチュウレンジは「毒針を持たない」ハチです。
ハチの毒針とは、「産卵管」と呼ばれる卵を産むための長い管が変化したもの。
このような経緯から、人を刺すのはメスだけです。
しかしルリチュウレンジの場合、メスであっても産卵管は毒針に変化していません。
そのため毒針は持たず、人を刺すことはないのです。
ルリチュウレンジは「ハチ目ミフシハバチ科」という分類グループに属し、大枠で「ハバチ」と呼ばれます。
ハバチたちは「広腰亜目」というグループに属し、ルリチュウレンジだけでなく他のハバチも毒針は持ちません。
ちなみに毒からは話が逸れますが、ハバチは「広腰」とあるように、スズメバチやアシナガバチのように腰はくびれず、寸胴な体型をしているのも特徴的です。
腰がくびれるセグロアシナガバチ
腰がまっすぐのルリチュウレンジ
このように、ハチといっても多種多様な特徴や生態を持っており、人を刺さなかったり、そもそも毒針すら持たないものもいるのです。
ルリチュウレンジの幼虫
イモムシ姿の幼虫
ルリチュウレンジの幼虫は、「イモムシタイプ」の姿をしています。
幼虫はツツジ類を食草とするため、街中でも見ることがあります。
ルリチュウレンジの幼虫
ハバチ類の幼虫は頭が小さく、頭にはつぶらな目(単眼)が左右に1つずつついていて、なんともキュートな姿をしています。
腹脚にも注目
イモムシというと、チョウやガなど「チョウ目」の虫たちの幼虫のイメージですが、ハバチの仲間もよく似た姿をしているのですね。
イモムシたちは、腹部につく「腹脚(ふくきゃく)」と呼ばれる、脚”のような”器官を持っています。
これがあることで、木の枝の上を移動したり、枝や幹につかまりながら葉を食べることがしやすくなるのですね。
ハバチの幼虫の腹脚は、科や種によって異なりますが、通常のチョウ目の幼虫よりも腹脚が多いものがいます。
以下のものでは、胸部から出ている本物の3対の脚の後ろに「8対の腹脚」があります。
ハバチの幼虫
イモムシを見つけた時は、腹脚の違いが見分けのポイントにもなりますし、腹脚の違いによる行動の違いに注目して観察するのも、面白いですよ!
ルリチュウレンジと同じ分類に属する虫たち
ルリチュウレンジはハチ目ミフシハバチ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[ハチ目]
膜翅目(ハチ目)の昆虫まとめ|ハチやアリなど社会性を持つ昆虫がいる
▼
[ミフシハバチ科]
おわりに:ルリチュウレンジを観察してみよう!
ルリチュウレンジの幼虫の食草であるツツジは生垣によく使われているため、「街中でも観察しやすい虫」です。
その存在を知らなければ気付くことすら難しいですが、意識していざ出会うと、その青く輝く姿にはびっくりするはず。
ルリチュウレンジは春〜秋と、長い季節見られる昆虫なので、ぜひその美しい姿を観察してみてください!
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