なんだか強そうな虫が止まっているよ!
この虫って、どんな虫?
こんな疑問に答えます。
写真の虫は、オオイシアブ。
なんだか黒くて強そうな姿の、ムシヒキアブの仲間です。
ちょっと怖そうに見えますが、人を刺したりはしないのでご安心を。
オオイシアブは手すり柵の上など"よく目立つ場所に止まることが多い"ですが、それには彼らの「食性」が大きく関係しているのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、オオイシアブの特徴と魅力を紹介します。
オオイシアブの特徴と魅力
黒くて大きなムシヒキアブ
オオイシアブは「ハエ目ムシヒキアブ科」というグループに属する昆虫。
オオイシアブの外見は、黒くて大きく、なんだかとても強そう。
僕の偏見を交えて表現すると、野武士のような”あらくれ感”のある風貌をしています。
あらくれ感のあるオオイシアブ
僕が初めてオオイシアブを見た時は、ムシヒキアブについてもよく知らなかった頃。
そのごついハチのような姿で、すぐ近くの柵の上に止まったりするものだから、ビビったものでした。
ところで、この「オオイシアブが近くの柵の上に止まる」という行動には、彼らの”食性”が関係しています。
待ち伏せ型の狩り
オオイシアブを含むムシヒキアブの仲間は、「肉食性」の昆虫です。
さらに、彼らの狩りは「待ち伏せ型」であり、奇襲型の戦術。
その鋭く尖った口吻で、飛んでいる虫を後ろからプスっと刺して仕留めるのです。
なので、彼らが柵の上など目立つ場所に止まるのは、「見晴らしの良い場所で、獲物を探すため」なのですね。
柵の上で周りをうかがうオオイシアブ
ちなみに、ムシヒキアブたちは人を刺すことはありませんので、ご安心を。
オオイシアブは人が近付くと警戒して飛び立つのですが、止まる場所はまた見晴らしの良い近くの柵の上だったりします。
見晴らしの良い場所が、彼らの定位置なのですね。
このオオイシアブの待ち伏せの様子を観察するのも、面白いですよ!
また、ムシヒキアブに出会うと、仕留めた獲物を口吻に刺していることがあります。
ジャノメチョウの仲間を仕留めたムシヒキアブ
大きな種であるほど獲物も大きくなる傾向があるので、その獲物にもぜひ注目してみてください!
初夏によく見られる
オオイシアブは、初夏〜夏にかけて見ることのできるムシヒキアブです。
大型で存在感のあるオオイシアブですが、本格的な夏になると見られなくなります。
真夏になると、とって変わったように同じ場所で見られるようになるのが、「シオヤアブ」。
シオヤアブ
シオヤアブも、オオイシアブ以上に大型のムシヒキアブです。
オオイシアブとシオヤアブは共に大型のムシヒキアブで、獲物にも重なりがあると思われます。
そのため、「場所」ではなく「活動時期」をずらすことで”棲み分け”をしているのではないかと想像しています。
このように、野生の世界では"ライバルたちと生活場所や活動時間を少しずつずらす"ことで共存を可能にしています。
それぞれの小さな場所・時間の単位でも生きられる環境が残されていることが前提ではありますが、この棲み分けが行われることによって多様な生き物が生きていけるのですね。
彼らがどのように棲み分けをしているのかを考えて観察するのも、面白いのではないかと思います!
オオイシアブと同じ分類に属する虫たち
オオイシアブはハエ目ムシヒキアブ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[ハエ目]
双翅目(ハエ目)の昆虫まとめ|2枚のはねが退化した虫たち
▼
[ムシヒキアブ科]
ムシヒキアブの種類と魅力|暗殺昆虫と呼ばれる肉食性のアブたち
おわりに:オオイシアブを観察してみよう!
オオイシアブの風貌はちょっと怖いイメージがありますが、人を刺すようなことはありません。
よく見ると、その毛で覆われた姿は、可愛く見えてきたりもします笑
「獲物を待ち伏せする姿」や「仕留めた獲物を持つ姿」など、面白い特徴を観察しやすい虫でもあるので、初夏の季節にはぜひ、その姿と行動を観察してみてください!
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