葉の上に小さな虫がいるよ!
この虫は、どんな虫?
こんな疑問に答えます。
写真の虫は、オトシブミの仲間。
オトシブミは子孫を残すために「ゆりかご」を作る習性を持つ昆虫たちです。
実はこのゆりかごは"幼虫を守るためのすごい機能"、を持つ装置。
本当に生き物はそれぞれ様々な知恵を働かせており、虫のような小さな生き物も同様なのです。
また、オトシブミにも多様な種がいて面白い姿のものが多くおり、そちらも紹介していきます!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、オトシブミの種類と魅力を紹介します。
オトシブミの魅力
オトシブミは「コウチュウ目オトシブミ科」という分類グループに含まれる虫たちです。
僕が考える、オトシブミの大きな魅力は2つ。
2. オスが首の長さで優劣を決めるものがいる
ゆりかご(揺藍)のすごい機能性
オトシブミは大きなものでも10mmに満たないくらい小さな虫たち。
彼らは「植物の葉の上」生活するため、見つかるのも葉の上であることが多いです。
植物の葉の上で出会うオトシブミ(エゴツルクビオトシブミのメス)
オトシブミは「ゆりかご=揺藍(ようらん)」を作る習性がユニークな虫たちです。
オトシブミのメスは植物の葉の中心に卵を産みつけ、それを巻いてゆりかごを作ります。
オトシブミのゆりかご
産みつけられた卵は安全なゆりかごの中で孵化をし、幼虫は内側の葉を食べて大きくなります。
そして葉の中で大きく育ったオトシブミは、成虫になると葉の外へと出ていくのです。
このように、ゆりかごは「シールド機能」と「えさ機能」を兼ね備えた、画期的な装置。
ゆりかごの中にいる幼虫は、安全と成長を同時に手にすることができるのです!
※オトシブミの話は「弱虫の生きざま」でも紹介しています。
ちなみに、オトシブミの名前も、このゆりかごが由来です。
ゆりかごが地面に落ちている様子が、江戸時代の手紙であった「落とし文」に似ていたためです。
オスが首の長さで優劣を決めるものがいる
オトシブミの中には、オスの首が非常に長いものがいます。
例えば、先ほど紹介したエゴツルクビオトシブミの「オス」は、以下のような非常に長い首を持ちます。
エゴツルクビオトシブミのオス
実はこの長い首は、メスを奪い合う時などに首の長さでオス同士の優劣を決めます。
オス同士の戦いでは、首を長く伸ばし、「どちらが長いか」を勝負するのです。
ライバルに出会う度に直接的な争いをしていると、負担が大きく、命を失うリスクも生まれます。
そのため、例えば鳥でも直接争うばかりではなく、「オシャレ」や「鳴き声」で勝負をするなど、平和的な解決法を用いているのです。
オトシブミもお互いに傷付かないで済むように、平和的な解決策を見出したのでしょう。
このように、オトシブミを観察する時はオスの長い首とその使い方にも注目です!
オトシブミの種類
ナミオトシブミ
赤と黒の配色がきれいな種です。
ナミオトシブミの”ナミ”とは、「一般的な」とか「標準的な」といった意味。
なのでナミオトシブミは「一般的なオトシブミ」という意味の名前になるのですが、僕が普段よく探索する関東の平地では見たことがありません。
彼らは山に生息する種で、出会うのも主に山に行った時です。
エゴツルクビオトシブミ
名前に「ツルクビ=鶴首」とつくように、オスは鶴のように細長い首を持ちます。
メスとの姿の違いも面白いですよね。
初夏の季節に、エゴノキでよく見かけます。
ヒゲナガオトシブミ
このオトシブミも首が長い種です。
さらにそれに加えて「ヒゲナガ」の名の通り、「触角」も長いのが特徴的です。
こちらも山で見られるオトシブミです。
ムツモンオトシブミ
「ムツモン=6つの紋」という意味で、3対の黄色い紋が由来のようです。
ただ、この紋には変異があるようで、写真のように1対のものもいます。
むしろ僕が出会うムツモンオトシブミは、1対のものばかりです。
ゴマダラオトシブミ
他のオトシブミよりもがっしりした印象の種。
そのごまだら模様と相まって、存在感の強いオトシブミです。
カシルリオトシブミ
大きさは5mm弱ととても小さいながらも、非常に美しい姿を持つ種。
輝くはねを持つ昆虫は「宝石」と表現されたりしますが、僕が初めて実物を見た時はその"瑠璃色のはね"を見た時は感動するほどに美しいと感じました。
オトシブミと同じ分類に属する虫たち
オトシブミはコウチュウ目に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[コウチュウ目]
甲虫目(コウチュウ目)の昆虫まとめ|頑丈なはねを持つ昆虫最大のグループ
おわりに:オトシブミを観察してみよう!
オトシブミは、小さい姿ながら、その姿も生態も非常に面白い虫たちです。
身近な小さな生き物たちに目を向けてみると、実に興味深い世界が広がっているのですね!
オトシブミは身近な場所でも見られるものがたくさんいるので、ぜひ実際にその面白さを体感してみてください!
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