あ、カブトムシ!
でも、体も小さいし雰囲気が違うような?
こんな疑問に答えます。
写真の虫は、コカブトムシ。
実は(離島などいかず)本州で見られるカブトムシは、"2種類"います。
カブトムシと、もう一方が今回紹介するコカブトムシ。
コカブトムシはカブトムシのような大きなツノは持たず、そのためかちょっとかわいらしい雰囲気もある昆虫です。
また、姿だけでなく、生態にもカブトムシは結構違いがある虫なのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、コカブトムシの特徴と魅力を紹介します。
コカブトムシの特徴と魅力
大きなツノを持たない
コカブトムシは「コウチュウ目コガネムシ科」という分類グループに属する昆虫です。
コカブトムシはオスであっても、カブトムシのような目立った大きなツノは持たず、「カブトムシのメス」のような姿をしています。
大きなツノを持たない、コカブトムシ
僕が初めてコカブトムシを見たときは、小さなカブトムシのメスだと思いました。
ちなみに、カブトムシのメスは以下のような姿です。
カブトムシのメス
でも姿を見てからずっと「雰囲気が違うな〜」と思っていて、家に帰って調べたところ、コカブトムシに行き着きました。
「カブトムシって1種類じゃなかったんだ!」と、ワクワクした記憶があります。
また頭部をよく見てみると、小ぶりながらツノがあるのが確認できます。
コカブトムシの小さなツノ
かっこいいというより、なんだかかわいらしい雰囲気を持っていますよね。
カブトムシよりも体が小さい
また「コ」カブトムシと言う通り、体も小さめです。
僕の愛用する図鑑「日本の昆虫 1400」によると、体長は12〜16mm。
上記の図鑑ではちょっと小さめに記載されているように思いますが、僕の経験的には「20mm前後」のものが多い印象です。
小さなコカブトムシ
※10円玉は直径23.5mm
といってもカブトムシの大きさは32〜53mmであり、いずれにしてもカブトムシの半分程度ほどの大きさしかない、小さな体を持つ昆虫なのです。
コカブトムシのメス
先ほど掲載した写真で、むねに「陥没したようなくぼみ」のようなものがあることに気づいたでしょうか?
コカブトムシのオスが持つこのくぼみも、カブトムシとは異なる外見的特徴です。
なぜこのようなくぼみがあるのかはわかりませんが、知らなければ「ケガをしているのかな?」とも思ってしまいますよね笑
一方でメスには大きなくぼみは見られず、むねにはうっすらとくぼみらしき形跡がある程度です。
コカブトムシのメス
このように、コカブトムシの場合も、オスとメスで姿に大きな違いがあるのも面白いです。
コカブトムシのカブトムシとの生態の違い
「カブトムシ」と名前はついていても、コカブトムシの生態はカブトムシとは結構違いがあったりします。
というわけで、カブトムシとの比較をしながらその生態を紹介します。
現れる時期はカブトムシよりも早い
カブトムシは、「7〜8月頃の真夏の時期」に最もよく見られます。
そのため、カブトムシには夏のイメージがあるものです。
一方、コカブトムシは現れる時期がもっと早く、「5月頃」から見られます。
なのでコカブトムシは、カブトムシとは見られるシーズンのイメージがちょっと異なるのです。
昆虫の死骸を食べる
カブトムシというと、クヌギやコナラなどの木に集まって樹液を吸っているイメージがないでしょうか?
しかし、コカブトムシは「他の昆虫の死骸」を食べたりします。
僕は木にいたコカブトムシをよく見たら、マイマイガの死骸を食べていた、ということもありました。
昆虫の死骸を食べるコカブトムシ
このような食性のため、コカブトムシは樹液では見つかりづらく、狙って観察しづらい虫でもあります。
越冬する
カブトムシは、基本的に越冬をすることはありません。
夏に羽化したものは、その年のうちに死んでしまうのです。
しかし、コカブトムシは越冬ができるようです。
カブトムシとコカブトムシは姿は似ていても、その生態には様々な違いがあるのですね。
このように、見た目以外の違いについて注目して観察するのも、面白いのです!
コカブトムシと同じ分類に属する虫たち
コカブトムシはコウチュウ目コガネムシ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[コウチュウ目]
甲虫目(コウチュウ目)の昆虫まとめ|頑丈なはねを持つ昆虫最大のグループ
▼
[コガネムシ科]
コガネムシ(黄金虫)の種類と魅力|キラキラ輝くメジャー昆虫たち
おわりに:身近な自然環境に目を向けてみよう!
コカブトムシは、カブトムシに似た姿を持ちながらも、その生態には多くの違いを持つ昆虫です。
コカブトムシはカブトムシと同じ場所に生息していることが多く、時期やえさなどをずらしていることで棲み分けがされているのだと思います。
生態の異なる生き物が多く共存しているということは、そこには「多様で豊かな環境がある」ということ。
実際僕がコカブトムシを観察したことがある場所も、負荷をかけすぎないレベルで手入れされている里山など、豊かな環境であることが多いです。
身近な公園にも実は自然豊かな場所があったりするもので、僕も「"灯台下暗し"的な良い場所」を見つけることがあったりします。
そのような身近な場所にも改めて目を向けて、貴重な自然環境を未来に残せるように守りつつ、色々な生き物を優しく観察していきましょう!
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