あ、木の幹に大きな毛虫がいるよ!
この毛虫って危険なのかな?
こんな疑問に答えます。
サクラの木などでよく見かける、この大きな毛虫。
赤と青の丸い模様がたくさん並んでいて、毒々しい姿をしていますよね。
この毛虫は「マイマイガ」という蛾(ガ)の幼虫です。
というわけで、今回は「この強いインパクトを持つ毛虫は一体どのような虫なのか」について、解説していきます!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、マイマイガの特徴と魅力を紹介します。
サクラの木につく大きな毛虫の正体
その正体はマイマイガの幼虫
赤と青の丸い模様がたくさん並んだ、インパクトのある姿を持つ毛虫。
この毛虫は「マイマイガ」という蛾の幼虫です。
インパクトのある姿を持つマイマイガの幼虫
さなぎ直前まで成長したものだと、そのサイズは7cmほどにもなります。
7cmというと、大人の男性の人差し指くらいの大きさです。
結構大きいですよね。
マイマイガの幼虫は「サクラの木」にいるイメージが強いかもしれませんが、クヌギやクリ、カシ、エノキなど、実に様々な植物につきます。
また、時に大量発生して植物の葉を丸坊主にしてしまうことがあるので、「害虫」として扱われることもある虫です。
毒を持つ毛虫なのか?
マイマイガは「チョウ目ドクガ科」という分類グループに属する昆虫です。
これを聞くと、「ドクガ!やっぱり毒があるの!?」と思う方も多いと思います。
ところが、実はマイマイガの幼虫は基本的には毒を持ちません。
"基本的に"というのは、「『1齢幼虫』という、孵化して初期の幼虫には毒がある」という話があるのです。
逆に言えば、マイマイガと認識できるようなサイズになったものは、もう毒を持たないのです。
マイマイガ同様、ドクガ科のグループの中でもすべての蛾が毒を持っているわけではなく、毒を持たないドクガもたくさんいるのです。
ちなみに、僕が子供の頃はよく毛虫でかぶれてかゆい思いをよくしていたので、マイマイガも恐れて避けてきました。
でも自然観察を始めて無毒と知ってからは何度も触っていますが、マイマイガで痛い思いをしたりかぶれたりしたことはありません。
※アレルギーなどがある場合は、かゆみが出たりする可能性があると思います
※僕が子供の頃かぶれたのは、おそらく「チャドクガ」という種によるものです
マイマイガの幼虫は、その見た目から怖がられがちですが、そんなに恐れられるほど危険な虫ではないのです。
マイマイガの成虫
先ほどから紹介している毛虫は幼虫の姿であり、成長するとちゃんと「蛾の姿」になります。
その成虫の姿が、こちら。
マイマイガの成虫(オス)
毛むくじゃらだった幼虫の姿と比べると、成虫は結構すっきりした姿ですよね。
ちなみにマイマイガはオスとメスで姿が異なり、メスの姿はこちらになります。
マイマイガの成虫(メス)
メスの方がオスよりも白っぽくて、体型も細長いんですね。
サイズもメスの方がオスよりも少し大きめです。
ちなみに写真のふわふわしているのは、「卵塊(らんかい)」という、卵のかたまりです。
また蛾というと夜行性のイメージがありますが、マイマイガは昼行性の蛾です。
蛾は種類が多く多様な習性を持つので、例えばオオスカシバやホタルガなど、昼行性の蛾の仲間は意外とたくさんいるのです。
ただ、チョウのように花の周りをヒラヒラと舞い続ける感じではなく、森などを歩いていると飛んで移動しているのを見る、といった感じです。
夜行性だとなかなか観察がしにくかったりするのですが、マイマイガは成虫も観察がしやすい嬉しい蛾なのです!
マイマイガの幼虫の顔はハロウィンのゴースト
マイマイガの幼虫の顔をよく見ると、とてもユニークな見た目をしています。
マイマイガの幼虫の顔
まるで「ハロウィンのゴースト」のような顔をしていますよね。
この目のように見える部分は、実は模様で本当の目ではありません。
もう少し近づいてみましょう。
マイマイガの幼虫の顔
ハの字模様の下にある、"黒い粒のようなもの"が、本当の目です。
この模様にどんな意味があるかは分からないのですが、イモムシの仲間には頭部にこのような模様が入っているものがたまにいるのです。
マイマイガの幼虫を観察する時は、この「面白いハの字模様」にも注目です!
マイマイガと同じ分類に属する虫たち
マイマイガはチョウ目ドクガ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[チョウ目]
鱗翅目(チョウ目)の昆虫まとめ|はねに鱗粉を持つ虫たち
▼
[ドクガ科]
おわりに:マイマイガの幼虫を観察してみよう!
マイマイガは姿にインパクトがありますが、むやみに怖がる必要はない虫です。
むしろそのユニークな姿を見ていると、かわいらしく見えてきたりします。
マイマイガの幼虫は「春〜初夏の季節」によく見られます。
色々な植物につくことから身近な場所で観察しやすい虫なので、ぜひ一度じっくりと観察してみてください!
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