ネイチャーエンジニア いきものブログ

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タンポポの綿毛が動く!?その正体はハゴロモという昆虫

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アミガサハゴロモ 幼虫

あ、タンポポの綿毛!

…と思ったら動いてる?

これって綿毛じゃないの?

こんな疑問に答えます。


林のそばなどで、たまに「動くタンポポの綿毛」を見ることがあります。


…とっても不思議な光景ですよね。


実はこの綿毛の正体は、「ハゴロモ」という昆虫。


ハゴロモは、その不思議な姿がとっても面白い。


さらにそれだけでなく、行動や生態もとっても面白い虫なのです!


僕はネイチャーエンジニアの亀田です。


年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。


そんな虫好きの僕が、ハゴロモの特徴と魅力を紹介します。




 

動くタンポポの綿毛の正体はハゴロモの幼虫

林などを歩いていると、手すりや植物の上に「タンポポの綿毛」らしきものを見る事があります。


しかし、その綿毛をよく見てみると…


動いている!?


動くタンポポの綿毛
アミガサハゴロモ 幼虫


このような摩訶不思議な光景を見る事があります。


実は、この綿毛の正体は「」。


ハゴロモ」という昆虫の幼虫なのです。


綿毛を横からのぞいてみると、その正体がよく見えます。


アミガサハゴロモの幼虫
アミガサハゴロモ 幼虫


綿毛に見えていたのは、「ハゴロモのおしりについている毛束」だったのです。


不思議だけど、かわいらしい姿をしていますよね。


ちなみに上の写真は、アミガサハゴロモという種の幼虫です。


綿毛のような毛束の効果

ハゴロモの幼虫の綿毛のような毛束には、どのような意味があるのでしょうか。


僕が観察している限り、少なくとも2つの効果があると考えています。

1. 隠れみのとしての効果
2. パラシュートとしての効果


1. 隠れみのとしての効果

昆虫が身を守る方法として、体に何かを乗せて「隠れみの」にするのは実は常套手段。


クサカゲロウの幼虫は背中に「ゴミ」を乗せ、
カメノコハムシの幼虫は「脱皮殻」を乗せ、
クビナガハムシの幼虫は「」を乗せます。


イチモンジカモノコハムシの幼虫
イチモンジカメノコハムシ 幼虫


実際隠れみのとしての効果がある証拠に、僕らはハゴロモの幼虫の姿を見て「タンポポの綿毛だ!」と思ってしまいました。


ハゴロモの幼虫も他の虫たち同様に、毛束を綿毛に似せて隠れみのにすることで”天敵に気付かれないようにしている”のだと思われます。

2. パラシュートとしての効果

昆虫といえば、成虫になるとはねを持ち、多くの種が空を飛行することができます。


しかし幼虫ははねが完成しておらず、自由に空を飛行することはできません


そこで、はねで飛行する代わりに使う技が「ジャンプ」。


ハゴロモの幼虫は小さいながら、驚くほどのジャンプ力を持ちます。


この得意のジャンプを放ったときに使われるのが、毛束。


ジャンプで高い位置に飛んだあと、その毛束を"パラシュートのように広げてフワフワゆっくりと地面に着陸する"のです。


僕はそのジャンプから着陸までの流れを初めて見た時、「なんて面白い虫なんだ!」と感動したものでした。


このようにハゴロモの毛束は、彼らが生き抜くための強力な武器になっていると思われます。




ハゴロモの成虫の姿

今まで紹介したハゴロモの姿は「幼虫」でしたが、「成虫」になると以下のような姿になります。


アミガサハゴロモの成虫
アミガサハゴロモ


幼虫とは随分イメージの違う姿になりました。


まるでチョウやガのような大きなはねを持っていますが、ハゴロモは実はどちらの仲間でもありません。


ハゴロモは「カメムシ目ハゴロモ科」もしくは「アオバハゴロモ科」といったグループに属する昆虫。


ハゴロモの仲間は、はねの一部が透けていたり随分ユニークな姿を持つ種も多く、成虫も面白い虫たちです。


ちなみに「カメムシ目」という名前の通り、大きくはカメムシと同じグループに含まれるのです。


なので大きなはねを持つものの、チョウの仲間のようにひらひらと舞うようなことはなく、セミのような飛び方です。(※セミもカメムシ目の昆虫です)


また生態もカメムシと共通項があって、ハゴロモも「ストローのような口吻(こうふん)」で植物の汁を吸います。


ハゴロモが植物の上でよく見られるのは、このような習性を持つからなのです。

ハゴロモと同じ分類に属する虫たち

アミガサハゴロモ

ハゴロモはカメムシ目ハゴロモ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。


[カメムシ目]
半翅目(カメムシ目)の昆虫まとめ|ストローのような口吻を持つ虫たち

[ハゴロモ科]
蝶のように大きなはね!なのに実はカメムシ目の昆虫。ハゴロモの種類と魅力


おわりに:ハゴロモの幼虫を観察してみよう!

ハゴロモの幼虫はとても小さく、サイズは2〜3ミリ程度しかありません。


なのでそもそも、”彼らの存在にすら気付かない人”もたくさんいると思います。


だけど小さな虫にも魅力的な虫はたくさんいて、その姿や行動はとっても観察しがいがあるんですよ!


ハゴロモの幼虫もとってもユニークで魅力的な虫なので、見つけたらぜひじっくりと観察してみてください!


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