ネイチャーエンジニア いきものブログ

虫・鳥などの動植物の魅力や知識など、自然観察をもっと楽しむための情報を発信します。

ゴマダラチョウ|出会えると嬉しい!在来種のゴマダラチョウ

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ゴマダラチョウ

きれいなチョウがいるよ!

この虫ってなんていう虫?

こんな疑問に答えます。


写真のチョウは、ゴマダラチョウ


白黒の大きな羽を持つ、美しいチョウです。


ゴマダラチョウは人里によくあるエノキという植物につくため、意外と身近な場所で見られるチョウです。


しかしながら、生息環境の悪化や外来種との競合などにより、以前よりも見られる機会は減少


そのため、意図せずに出会えると、とても嬉しい気持ちになるチョウなのです!


僕はネイチャーエンジニアの亀田です。


年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。


そんな虫好きの僕が、ゴマダラチョウの特徴と魅力を紹介します。




 

ゴマダラチョウの特徴と魅力

白黒のまだら模様の美しいはね

ゴマダラチョウは「チョウ目タテハチョウ科」というグループに属する昆虫です。


国蝶の「オオムラサキ」に近縁なチョウであり、白黒の大きなはねが美しいです。


白黒のはねが美しいゴマダラチョウ
ゴマダラチョウ


はねには”白黒のまだら模様”がよく目立ちますよね。


この模様を胡麻(ゴマ)に見立てられて、「胡麻斑=ゴマダラ」という名前がついています。


ゴマダラチョウに出会ったら、名前の由来となったはねに注目です!

街中でも見られるチョウ

ゴマダラチョウの幼虫は「エノキ(榎)」という植物の葉を食べます。


エノキは人里にもよくある身近な植物のため、ゴマダラチョウは街中など身近な場所で見られることもあります。


人里にもよくあるエノキ
エノキ 幹


実はオオムラサキも同様にエノキを食べます。


しかし僕の経験上はオオムラサキは街中で見られることはほぼなく、丘陵や比較的大きな森がある場所で見られることが多いです。


なのでゴマダラチョウの方が、人里のような環境により適応しているのだと思われます。


なお、成虫になると樹液に集まり、カナブンなどと一緒にいるところをよく見ます。


樹液を吸うゴマダラチョウ
ゴマダラチョウ


チョウというと花の蜜に集まるイメージですが、樹液に集まる甲虫と一緒に観察ができるというのも、面白いですよね!

ゴマダラチョウの飛翔

大型のチョウというとアゲハチョウの仲間がいますが、アゲハチョウはずっと飛んでいて止まらないので、なかなかその姿をじっくりと観察させてくれません。


それに対して、ゴマダラチョウは給水中や樹液を吸う時など静止してくれることが多く、比較的観察しやすい印象です。


また、飛び方もアゲハチョウは素早くはねを動かして飛びますが、ゴマダラチョウはアゲハチョウと比べるとゆっくりと羽ばたかせて飛ぶイメージ。


ゴマダラチョウは、その"優雅な飛翔姿"にも注目です!




ゴマダラチョウとアカボシゴマダラ

外来種アカボシゴマダラ

ゴマダラチョウによく似たチョウに「アカボシゴマダラ」という種がいます。


アカボシゴマダラ
アカボシゴマダラ 成虫


アカボシゴマダラにもゴマダラチョウのようなまだら模様がありますが、さらに斑点はさらに細かいです。


そして名前に「アカボシ」とつく通り、はねには赤い星が並んだような模様が入ります。(※赤い星が出るのは夏型(夏に発生した個体))


ところが、実はこのアカボシゴマダラは外来種


国内では奄美大島周辺に分布するチョウですが、本州で見られるものは人の手によって移入されたものなのです。


そしてこのアカボシゴマダラの幼虫の食草もエノキ。


えさが競合する在来種への影響が懸念されており、その中にはゴマダラチョウも含まれています。


ちなみにアカボシゴマダラは2018年に「特定外来生物」に指定され、飼育・保管・運搬などが禁止されました。


選定理由は、以下の通り。

・エノキを利用する在来種(ゴマダラチョウやオオムラサキなど)との競合
・奄美諸島に生息する亜種への遺伝的撹乱の懸念


※環境省の特定外来生物の選定会合の議事録などは、以下から見られます↓

www.env.go.jp


ゴマダラチョウへの影響

アカボシゴマダラによるゴマダラチョウへは、実は結構大きな影響が出ているのではないかと感じています。


というのも僕が探索する関東の低地では、ゴマダラチョウよりもアカボシゴマダラの方が多く見られる、という場所も少なくないため。


むしろ僕が自然観察を始めた頃はすでにアカボシゴマダラが多く分布しており、ゴマダラチョウに出会える機会の方がはるかに少ない状態でした。


ゴマダラチョウは宅地開発などによる生息環境悪化により個体数が減少していると言われており、その上にアカボシゴマダラという競合も増えてしまった状況なのです。


そのため、ゴマダラチョウを見かけると「ここでは無事に生き残ってくれている」とホッとするのです。

外来種を増やさないためには

なお、大前提としてアカボシゴマダラは決して悪者ではありません


その美しいはねで飛翔する姿は実に優雅で、生物としてとても魅力的なチョウです。


なのですが、人の手により外来種とされてしまったことで、見かけると複雑な気持ちになってしまいます。


このように、美しい生き物を素直に観察できなくなってしまうのは、非常に残念で悲しいこと。


今後このような悲しい状況が増えないように、対策をしなければなりません。


例えばペットなど生き物を飼育する時は、意図的に逃がさないのはもちろん、うっかり逃がしてしまわないように設備を整えるなど十分な対策をすることが大切だと思います。


外来種については以下で紹介しているので、こちらもぜひご覧ください↓


ゴマダラチョウと同じ分類に属する虫たち

クジャクチョウ

ゴマダラチョウはチョウ目タテハチョウ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。


[チョウ目]
鱗翅目(チョウ目)の昆虫まとめ|はねに鱗粉を持つ虫たち

[タテハチョウ科]
タテハチョウの種類と魅力|表ばねと裏ばねのギャップが面白い蝶たち


おわりに:ゴマダラチョウを観察してみよう!

ゴマダラチョウは白黒のはねを持つ、とても美しいチョウです。


身近な場所でも見られる可能性のあるチョウなので、出会えたら優しく観察してみてください!


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