ネイチャーエンジニア いきものブログ

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ヤマトタマムシの美しい虹色のはね!輝くはねの効果を考える

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ヤマトタマムシ

あ、タマムシ!

とっても綺麗だなあ。

ところで、タマムシってなんでこんなに綺麗な姿をしているの?

こんな疑問に答えます。


タマムシ(ヤマトタマムシ) の最大の特徴は、虹色の輝くはね。


その美しい姿から人気の高い虫で、知名度も非常に高い昆虫です。


ところで、この美しいはねは「どういう仕組み」になっているのでしょうか。


また、「その美しいはねが持つ効果」についても、考察したいと思います!


僕はネイチャーエンジニアの亀田です。


年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。


そんな虫好きの僕が、ヤマトタマムシのはねの仕組みと効果を紹介します。




 

ヤマトタマムシの美しい虹色のはね

ヤマトタマムシは「コウチュウ目タマムシ科」というグループに属する昆虫です。


ヤマトタマムシの最大の特徴は、なんといっても”虹色に輝くはね”!


虹色に輝くはねを持つヤマトタマムシ
ヤマトタマムシ


目を奪われるような美しさのはねですよね!


また僕の愛用する図鑑「日本の昆虫1400」によると、体長は25〜40mm


タマムシ科の虫の中では相当大きなサイズで、存在感も十分にあります。


もし「綺麗な昆虫といえば?」と聞けば、多くの人が「タマムシ」と答えると思います。


ヤマトタマムシは、その美しいはねゆえに、国民的人気を持つ昆虫なのです!

ヤマトタマムシのはねの仕組み

はねの仕組みは構造色

ヤマトタマムシの美しいはねは、色素によるものではなく「構造色」という仕組みによるものです。


ヤマトタマムシの輝くはねは構造色によるもの
ヤマトタマムシ


構造色とは、光の反射によって見える色のこと。


CDやDVDの裏面や、シャボン玉が虹色に輝いて見えるのと同じ仕組みで輝いているのです。


実はこの仕組みのおかげで、ヤマトタマムシのはねの輝きは、死んでも失われることがありません


そのため、ヤマトタマムシのはねは工芸品や装飾品として使われることもあります。

法隆寺の玉虫厨子

ヤマトタマムシのはねを使った代表的な伝統工芸品が、「玉虫厨子(たまむしのずし)」。


玉虫厨子は、今も法隆寺に貯蔵されている”国宝”であり、装飾にタマムシのはねが使用されているのです。


ただ、法隆寺が建立されてから1400年もの歳月が流れ、玉虫厨子は輝きを失ってしまいました。


しかし2004年に玉虫厨子を再現させるプロジェクトが立ち上がり、現代の技術で玉虫厨子が再現制作されました。


再現された玉虫厨子の美しい姿は、以下のサイトで見ることができます↓


自然が生み出すデザインには、ため息が出るほど美しさを持つものがあります。


それらには人が作った美しいものとはまた別の、心を響かせるものがありますよね。


1000年以上前に玉虫厨子が作られ、さらにこうして時を超えて再現されるということは、ヤマトタマムシが昔から今もたくさんの日本人を魅了している証拠なのだと思います。




ヤマトタマムシのはねにはどんな効果があるのか?

ところで、

タマムシのはねは美しくて綺麗だけど、目立って天敵に狙われやすいんじゃないの?

このように思った方もいるかもしれません。


確かにタマムシのはねはよく目立ち、飛んでいると遠くからでもタマムシだと分かります。


昆虫の最大の天敵といえば「」。


この輝くボディは、実は鳥に対する防御効果があると言われています。


鳥は「キラキラしたもの・色が変わるものが苦手」といわれるためです。


鳥に対する防御効果があると言われるタマムシのボディ
ヤマトタマムシ


しかしながら、その効果や根拠がどこまで確からしいのかは分かりません


例えば鳥除けとしてCDを吊り下げる対策などがありますが、その効果は一時的であったり、あまり有効性のないといった情報も見つかります。


また、根拠となる論文なども見つけられず、研究などで証明されたものなのかも分かりませんでした。


というわけで、ここからは僕の観察経験から想像する個人の見解です。


根拠は見つからなかったのですが、それでも僕としては、タマムシのキラキラした姿には、何かしらの防御効果のようなものはあるように思っています。


というのも、タマムシが活発に飛翔するのには”決まった条件”があるように感じるのです。


その条件とは、「天気」と「日照」。


タマムシたちが活発に飛翔するのが、決まって「良く晴れた日」であり、飛んでいる場所は「日向」なのです。


さらに活発に行動している時は、なかなか止まってくれず、ずっと高速で飛翔しています。


またタマムシだけでなく、コガネムシのような構造色を持つ他の昆虫たちにも、同様の傾向があるように思います。


このことから、彼らが”構造色の効果を最大限に発揮できる状況”を見極めて行動しているように感じられるのです。


その狙いが天敵を防御するためだけのものなのかは分かりませんが、長い年月をかけて培ってきた”生きるための知恵”がそこにもあるのだと、想像しています。


生き物観察は、このような簡単には答えがわからない、ワクワクする体験を与えてくれるのも醍醐味なのです!

ヤマトタマムシと同じ分類に属する虫たち

ヤマトタマムシ

ヤマトタマムシはコウチュウ目に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。


[コウチュウ目]
甲虫目(コウチュウ目)の昆虫まとめ|頑丈なはねを持つ昆虫最大のグループ


おわりに:ヤマトタマムシのはねを観察してみよう!

ヤマトタマムシは、多くの人が魅了される、美しい虹色のはねを持つ昆虫です。


もし出会ったら、ぜひこの美しいはねの仕組みや効果についても意識しながら、観察してみてください!


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