あ、木にカマキリがいるよ!
このカマキリは、どんな虫?
こんな疑問に答えます。
写真の虫は、ハラビロカマキリ。
ハラビロカマキリは、他のカマキリよりも少しがっしりしたシルエットを持つカマキリです。
カマキリの仲間は秋の主役の虫の1つ。
その中でもハラビロカマキリは、かなり遅い時期までその姿を見させてくれる、嬉しいカマキリです。
ただ、そんなハラビロカマキリに、最近は外来種の驚異が迫っており、ちょっと心配な面もあるのです。
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、ハラビロカマキリの特徴と魅力を紹介します。
- ハラビロの名前の由来
- ハラビロカマキリは樹上性のカマキリ
- ハラビロカマキリの見られる時期
- 外来種ムネアカハラビロカマキリの驚異
- ハラビロカマキリと同じ分類に属する虫たち
- おわりに:ハラビロカマキリを観察してみよう!
ハラビロの名前の由来
ハラビロカマキリは「カマキリ目カマキリ科」というグループに属する昆虫です。
カマキリは大きいものだと10cm近くになるものもいる虫ですが、そのシルエットは「細く・長い」というものが多いです。
例えばオオカマキリなどは典型的で、実にスマートでシュッとした体型をしています。
それに対して、今回の主役であるハラビロカマキリは「お腹が太めのカマキリ」です。
腹が広いハラビロカマキリ
写真のように、お腹のシルエットのせいか他のカマキリと比べると少しがっしりとした印象があります。
「腹広=ハラビロ」の名前は、この”お腹が太い”という特徴からきています。
ちなみに、カマキリどうしは姿がよく似ていて見分けが難しかったりします。
その際、ハラビロカマキリの識別ポイントは、先ほどの腹が広い特徴のほかに、「腕にあるイボイボの突起」があります。
ハラビロカマキリの腕の突起
この目立つ突起が3個ほど並んでいれば、それはハラビロカマキリのはずです。
ハラビロカマキリは樹上性のカマキリ
カマキリというと、「草むら」にいるイメージが強くないでしょうか?
実際、身近なカマキリの仲間には草むらにいるものが多く、草の上や花の近くで獲物を待ち伏せしている姿をよく見ます。
ところが、ハラビロカマキリは草むらではなく、「樹上を好むタイプのカマキリ」です。
なので、木の幹や葉の上で出会うことが多いのです。
木の幹にいたハラビロカマキリ
樹液の集まる虫を観察している時など、木の上の方を見るとたまにハラビロカマキリを見つけたりもします。
また時には1つの木に複数のハラビロカマキリがいることもあり、ある時、1本の木の幹をぐるっと一周見てみだけで5〜6匹のハラビロカマキリを見つけたこともありました笑
あとはある程度太い棒があると登りたくなる習性があるのか、手すりや木の柵の上などでもよく見られます。
ハラビロカマキリの見られる時期
ハラビロカマキリは、他のカマキリと比べて”遅い時期まで観察することができる”というのも嬉しい点です。
例えば先ほど少し触れたオオカマキリの成虫は、9〜10月に多く見られ、11月になるとあまり見られなくなります。
ところが、ハラビロカマキリの成虫は9月頃から見られ始め、なんと12月頃まで普通に見られたりするのです。
12月にもなると、他の虫たちも見られなくなるので、この時期になっても大型の虫が観察できるのはとってもありがたいことなのです!
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外来種ムネアカハラビロカマキリの驚異
最近は、ハラビロカマキリに関するちょっと不安な情報があります。
それは、ムネアカハラビロカマキリという種に関して。
ムネアカハラビロカマキリは、名前の通り胸部分が広く赤くなっている、外来種のカマキリです。
ムネアカハラビロカマキリ
外来種とは人の手によって移入された、もともとその場所に生息していない種のこと。
在来種を脅かしたり生態系のバランスを崩すなど、もともとある環境に悪影響を与えることがあります。
ムネアカハラビロカマキリはハラビロカマキリと同じく樹上性のカマキリで、ハラビロカマキリの生息数への影響等が懸念されています。
SNSなどを見ていると、ムネアカハラビロカマキリが個体数を増やしている場所も結構あるようで…
僕はハラビロカマキリらしきカマキリを見つけると必ず識別ポイントを確認し、在来ハラビロであることが確認できるとホッとしたりしています。
日本の豊かな自然は在来種たちによる生態系バランスがあってこそのものだと思うので、このバランスが崩されないことを願うばかりです。
ハラビロカマキリと同じ分類に属する虫たち
ハラビロカマキリはカマキリ目カマキリ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[カマキリ目]
▼
[カマキリ科]
カマキリの種類と魅力|大きくて強い昆虫界のハンターたち
おわりに:ハラビロカマキリを観察してみよう!
カマキリは、バッタ類と共に"秋の主役の昆虫たち"です。
中でもハラビロカマキリは、秋の終盤まで観察させてもらえる嬉しい昆虫。
林縁などで出会うことができると思いますので、そのような場所に行った時は、ぜひ木の幹などを探してみてください!
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