あ、サソリみたいな姿の虫がいるよ!
この虫は、どんな虫?
こんな疑問に答えます。
写真の虫は、ヤマトシリアゲ。
シリアゲムシの仲間で、サソリのような反り上がった尾が特徴的な昆虫です。
ヤマトシリアゲは最も身近であろうシリアゲムシで、低地の林でもよく出会うことができます。
しかも春と秋で姿が大きく変わるという、面白い生態も持つ虫なのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、ヤマトシリアゲの特徴と魅力を紹介します。
ヤマトシリアゲはサソリのような尾を持つ
ヤマトシリアゲは「シリアゲムシ目シリアゲムシ科」というグループに属する昆虫です。
「シリアゲ(尻上げ)」の名の通り、シリアゲムシはサソリのように反り上がった尾(腹部)が特徴的な虫たちです。
サソリのような尾を持つヤマトシリアゲ
とっても特徴的な姿をしていますよね。
この姿から、シリアゲムシは英名でも「スコーピオンフライ(scorpion fly)」と言います。
ちなみに、実は反り上がった尾を持つのはオスのみ。
メスの腹部は反り上がらず、まっすぐです。
ヤマトシリアゲのメス
このように、シリアゲムシは腹部を確認することで、オスとメスを簡単に見分けることができます。
ヤマトシリアゲの春型と夏型
ヤマトシリアゲには、もう1つ面白い特徴があります。
それは、”春型と夏型で大きく姿が違う”こと。
ヤマトシリアゲは春と晩夏に出現し、春に現れるものは「春型」、夏に現れるものは「夏型」と呼ばれます。
先ほど紹介した姿は春型のものでしたが、夏型では以下の写真のように赤い姿になるのです。
ヤマトシリアゲの夏型
この夏型の姿は「ベッコウシリアゲ」と呼ばれたりします。
春型と比べると、かなり印象が違いますよね。
実際、以前はこちらはヤマトシリアゲとは別種と思われていたとのこと。
チョウの仲間にも発生時期によって姿が異なるものがいて興味深いですが、ヤマトシリアゲも季節ごとの姿の違いが面白い虫なのです!
最も身近なシリアゲムシ
シリアゲムシの仲間は多くの地域では山に生息しているものが多く、平地で出会えるものは多くはありません。
そんなシリアゲムシの中で、ヤマトシリアゲは平地の林などでもよく見られる、「最も身近であろうシリアゲムシ」です。
しかも彼らは葉の上でじっとしている場面で出会うことが多く、飛行も比較的ゆっくりかつあまり遠くには飛んでいかないので、観察のしやすい昆虫です。
ちなみに、シリアゲムシの仲間は「婚姻贈呈」という習性を持ちます。
オスがえさを見つけるとメスにえさがあることを知らせ、メスがえさを食べている間に交尾をするのです。
ヤマトシリアゲの婚姻贈呈
上の写真は、キアシドクガという蛾のさなぎを婚姻贈呈していると思われる場面。
ヤマトシリアゲが食べるものは「腐った植物や昆虫の死骸など」とのことですが、キアシドクガのさなぎは死んでいたわけではないと思われます。
なので死骸を食べるというより、「狩りをせずにあまり動かないものを食べる」という食性なのかもしれませんね。
ヤマトシリアゲは姿だけでなく、このような習性や生態にも注目です!
ヤマトシリアゲと同じ分類に属する虫たち
ヤマトシリアゲはシリアゲムシ目シリアゲムシ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[シリアゲムシ目]
▼
[シリアゲムシ科]
シリアゲムシはサソリのような尾を持つ虫!メスへの婚姻贈呈の習性も
おわりに:ヤマトシリアゲを観察してみよう!
ヤマトシリアゲは身近な場所で観察できる、貴重なシリアゲムシです。
姿だけでなく習性も面白い虫なので、ぜひ探してじっくりと観察してみてください!
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