お!イモムシがいると思ったら、植物だった!
この植物って、どんな植物?
こんな疑問に答えます。
写真の植物は、シマスズメノヒエ。
一見イモムシのような姿の穂をつける、イネ科の植物です。
スズメノヒエの仲間は公園の広場などのひらけた草地でよく見かけますが、実は夜になると、"生き物たちに大人気"の植物なのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な動植物に出会ってきました。
そんな生き物好きの僕が、スズメノヒエの特徴と魅力を紹介します。
スズメノヒエの穂はイモムシのような姿
スズメノヒエは「イネ科」に属する植物です。
一見、イモムシのような姿の穂が特徴的で面白いです。
シマスズメノヒエの穂
実際、一瞬「お、イモムシだ!」と思ってよく見ると、スズメノヒエの穂だった、ということが僕はよくあります笑
ちなみにスズメノヒエの仲間はよく似た姿をしており、上の写真のシマスズメノヒエは外来種。
在来種のスズメノヒエとは、
・シマスズメノヒエの小穂には白い毛がある
などの違いがあります。
僕が観察する範囲では、在来種であるスズメノヒエよりもシマスズメノヒエの方がよく見かけます。
スズメノヒエの名前の由来
ところで、スズメノヒエは名前も面白いですよね。
イネ科の下位層には「ヒエ属」というグループがありますが、スズメノヒエはヒエ属ではなく「スズメノヒエ属」という別のグループに属します。
ではなぜヒエという名前が付いているかというと、"姿がヒエに似ているから"だそう。
また「スズメノ」というのは、「小さい」を表す言葉として植物の名前に付けられることが多いです。
例えば、スズメノヤリ、スズメノカタビラ、スズメノエンドウのように、他にもスズメの名前が含まれた植物があります。
つまりスズメノヒエとは、「小さいヒエのようなイネ科植物」といった意味になるのですね。
スズメノヒエは草地の夜の帝王
スズメノヒエは夏〜秋の穂が熟す頃になると、写真のようなネバネバした液体を出します。
シマスズメノヒエのネバネバ液
スズメノヒエは踏み付けに強く、ひらけた草地や公園の広場などによくいますが、うっかりこの液体に触れると、ベタベタしてしまうんですよね。
このスズメノヒエですが、実は”虫たちに人気の植物”でもあります。
昼の観察では、虫は寄って来ていないことがほとんどなのですが、「夜」になると状況が一変します。
夜にスズメノヒエを見てみると、草地性の様々な蛾が止まっているのです。
その様子を観察してみると、あのネバネバ液を吸っている様子。
シマスズメノヒエの液体を吸う蛾
それはもうこの液体に夢中で、ゆっくりと撮影させてくれます。
またあたりを見回すと、あちこちのスズメノヒエに蛾が吸い付いていて、まるで「草地の夜の帝王」です。
ちなみに多くのイネ科の植物の花は、風に花粉を運んでもらう「風媒花」だと言われています。
しかしもともとイネ科の植物は虫に花粉媒介を手伝ってもらう「虫媒花」だったようで、虫の少ない環境に進出する中で"「風媒花」に再進化した"とのこと。
ただ、スズメノヒエの蛾たちからの人気っぷりを見ると、虫媒花の面もあるのではないかと思わされてしまいます。
はてさてこれはかつての名残なのか、実は虫の手伝いを得ている面もあるのか、興味深いですね。
スズメノヒエを観察する際は、虫たちを魅了するネバネバ液にも注目です!
おわりに:スズメノヒエを観察してみよう!
スズメノヒエは、イモムシのような姿だけでなく、その習性・生態も面白い植物です。
公園の広場など、比較的人が通るところでよく見られる植物なので、ぜひ姿やネバネバ液を観察してみてください!
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