あ、赤い頭のカモがいるよ!
このカモってどんな鳥?
こんな疑問にお答えします。
写真の鳥は、ヒドリガモ。
ヒドリガモは、「赤い頭に白いライン」を持つのが特徴的なカモです。
カモというと多くが冬鳥で、ヒドリガモも同じく冬だけに見られるカモ。
しかしながら、同じ冬ガモの中でも、ヒドリガモは比較的観察しやすいという嬉しい種です。
さらにヒドリガモは、「カモの交雑」という興味深い習性の観察にピッタリのカモなのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な野鳥に出会ってきました。
そんな鳥好きの僕が、ヒドリガモの特徴と魅力を紹介します。
ヒドリガモは赤い頭を持つカモ
ヒドリガモは「カモ目カモ科」というグループに属する鳥です。
オスは赤と茶色の中間のような色の頭をしていて、頭のてっぺんからくちばしにかけて「白い色のライン」があるのが特徴的です。
赤い頭を持つヒドリガモのオス
ちなみに、メスはオスとは異なり、以下のような地味な姿をしています。
地味な姿のヒドリガモのメス
ヒドリガモに限らず、カモの仲間は”繁殖期のオスのみ”が目立つ姿をしていることが多く(繁殖羽と言います)、メスは目立たない地味な姿をしていることが多いのです。
繁殖羽というのは、オスがメスにアピールをするために「オシャレをして着飾った姿」。
この羽が美しいほど、メスへのアピールが強くできるのですね。
一方で目立つということは、天敵にも狙われやすくなってしまうことを意味します。
そのため、繁殖羽はあくまで非日常の姿であり、日常安全に暮らすには地味な姿でいる方が有利なのです。
繁殖羽について詳しくは、以下で紹介しています。
ヒドリガモは観察しやすい冬ガモ。鳴き声はピューイ
カモには多様な種がいますが、実はそのほとんどは冬だけにみられる「冬鳥」です。
冬が近付くと日本に飛来し、日本で越冬をして、春にはまた北国に戻っていくのです。
ヒドリガモも同じく、冬だけにみられるカモの一種です。
ただし、ヒドリガモは冬鳥のカモの中でも「比較的観察しやすいカモ」です。
なぜなら、湖や沼のほか公園の池、さらには海と、幅広い環境で見られるため。
身近な場所でも出会いのチャンスが多いカモなのです。
池に浮かぶヒドリガモ
また個体数も多い印象で、同じ池や川にいるカモたちの数を比べてみた時に、ヒドリガモの数が多いことがよくあります。
ただ、見晴らしの良いひらけた場所を好むようで、コガモがよくいるような幅の狭い河川やヨシ原の中ではあまり見かけない印象です。
また、ヒドリガモは「ピューイ」というかわいい鳴き声を出すのもかわいい特徴の1つ。
この声が聞こえたら、水上にヒドリガモがいないか探してみてください!
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カモの交雑
カモは「野生化で交雑することがある」という面白い特徴を持ちます。
交雑とは、別種をかけあわされて雑種ができること、を言います。
ヒドリガモは、この「交雑個体」がよく観察できるカモでもあるのです。
よく見られるのは、「ヒドリガモ x アメリカヒドリ」と思われるもので、分かりやすいのは緑色味の強い頭部を持つオス個体です。
交雑個体と思われるヒドリガモ
生き物の種の区別は、基本的には「繁殖能力がある子孫を残すことができるか」という考えでされています。
なので種が異なると、「子どもができないか、子どもができても繁殖能力はない」ということになります。
しかし、カモの仲間は異なる種でも繁殖能力を持つ子孫が生まれることがあり、交雑個体が生まれやすいようです。
ちなみに全てのカモの掛け合わせで交雑個体が生まれやすいわけではなく、ヒドリガモの場合はアメリカヒドリと交雑したと思われるパターンがよく見られます。
なぜカモが特別そういう特徴を持っているのか、非常に興味深いですね。
このように、ヒドリガモはアメリカヒドリとの交雑個体がよく見られるので、カモの不思議な交雑の世界を知るのに適任なカモなのです!
ヒドリガモと同じ分類に属する鳥たち
ヒドリガモはカモ目カモ科に属する鳥。同じ分類の鳥たちを以下で紹介しています。
[カモ目]
カモ目の野鳥まとめ|水上生活に適応した美しい水鳥たち
▼
[カモ科]
鴨(カモ)の種類と魅力|カモは地味な野鳥ではない!実は個性的で面白い姿を持つ
おわりに:ヒドリガモを観察してみよう!
ヒドリガモは、身近に観察しやすいカモであり、「カモの交雑」について観察しやすいカモです。
また、「ピューイ」の鳴き声もかわいいので必聴です。
冬の季節に水辺では、ヒドリガモに出会うチャンスは多くあるはずなので、ぜひ探してじっくりと観察してみてください!
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