あ、黄色いはねのきれいなガがいるよ!
このガは、どんな虫?
こんな疑問に答えます。
写真の虫は、ヨツボシホソバと思われるガ。(ウンナンヨツボシホソバ、マエグロホソバの可能性もあります)
ホソバの仲間はシック、端的に言えば”地味な姿”のものも多いのですが、ヨツボシホソバは比較的鮮やかで派手な姿を持つ種です。
また、オスとメスで大きく姿が異なり、それぞれユニークな姿を持つのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、ヨツボシホソバの特徴と魅力を紹介します。
ヨツボシホソバは鮮やかな姿のホソバ
ヨツボシホソバは「チョウ目ヒトリガ科」というグループに属する昆虫です。
さらにこのヒトリガ科の「コケガ亜科」に属し、その中の「ホソバ」と呼ばれる蛾たちの仲間です。
ホソバの仲間は、シンプルでシックな姿を持つものが多い。
端的に言えば「地味な姿」のものが多い仲間です。
そのホソバの仲間の中で、ヨツボシホソバは鮮やかで美しい姿を持つ種です。
鮮やかな姿を持つヨツボシホソバ?
明るい黄色のはねに名前の由来にもなっている、4つの黒い紋があります。(はねを折りたたむと1つは隠れてしまいます)
よく見ると紋の色は黒というより濃い紺色であり、黄色と補色関係になっているのもニクイです。
ちなみに、ホソバの仲間は識別の難しい蛾でもあります。
ヨツボシホソバにも、見分けるには交尾器の違いを確認する必要のある「ウンナンヨツボシホソバ」という類似種がいます。
この2種は生息域でも区別が難しいようなので、今回当記事で掲載している写真には両者が混在している可能性があります。(なので、上の写真ではヨツボシホソバ?と記載しています)
ヨツボシホソバのオスとメス
実はヨツボシホソバはオスとメスで大きく姿が異なります。
先ほど写真でお見せした姿は、メスのもの。
ヨツボシホソバ?のメス
オスの姿は以下のようになっています。
ヨツボシホソバ?のオス
ヨツボシホソバはオスの姿も特徴的で、頭部〜胸部までがオレンジ色、それ以外はシックな灰色です。
ホソバは別種でも見分けが難しいほど似ているのに、雌雄でこんなに差があるなんて面白いですよね。
ちなみにメスの姿に関しては、ウンナンヨツボシホソバとはまた別の「マエグロホソバ」という種のメスにも似ています。
はねの形や翅脈の違いで区別できるとのことで、今回掲載した写真はヨツボシホソバと思われるものを選んだつもりですが、もしかしたらマエグロホソバが混ざっている可能性もあります。
こんなふうにホソバの仲間は識別が大変ですが、一方で虫たちの多様性を実感させられる虫でもあります。
ヨツボシホソバの幼虫
ヨツボシホソバの幼虫は、黒っぽい色に赤い斑点が目立つ、毛虫の姿をしています。
その幼虫の姿が、こちら。
ヨツボシホソバ?の幼虫
公園の手すりなどでもよく見かけることができるので、見たことがある方もいるのではないでしょうか。
手すりでよく見られるのは、樹木の葉ではなく「地衣類」を食べることから。
季節的にも幅広い季節で見られ、あまり虫が見られない季節にも割と見られる嬉しい虫です。
ただ、この幼虫は実は毒針毛を持つので、触ったりはしないように注意です。
ヨツボシホソバと同じ分類に属する虫たち
ヨツボシホソバはチョウ目ヒトリガ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[チョウ目]
鱗翅目(チョウ目)の昆虫まとめ|はねに鱗粉を持つ虫たち
▼
[ヒトリガ科]
おわりに:ヨツボシホソバを観察してみよう!
ヨツボシホソバは、鮮やかで美しい姿を持つ、魅力的な蛾です。
ところがヨツボシホソバには類似種がいて種を断定しづらく、僕も紹介者としての立場上、このようないきものを紹介の対象にするのは躊躇します。
同じような理由からかと思いますが、識別の難しい生き物はあまり図鑑に載っていません。
しかし今回は「図鑑にも載っていないけど、身近に見られる魅力的な生き物がいる」ということを知ってもらいたいと思い、曖昧な部分がありつつも紹介することにしました。
ヨツボシホソバだけでなく、図鑑には載っていないけど魅力的な身近ないきものはたくさんいるので、ぜひそのようないきものも含めてじっくりと観察してみてください!
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