あ、すごい大きなガがいるよ!
このガは、どんな虫なの?
こんな疑問にお答えします。
写真の虫は、ヤママユ。
ヤママユは大人の手のひらほどの大きさを持つ、代表的なヤママユガの仲間です。
またヤママユは「天蚕(てんさん)」とも呼ばれ、その繭の糸は希少な天然繊維として利用されてきたのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な虫に出会ってきました。
そんな虫好きの僕が、ヤママユの特徴と魅力を紹介します。
ヤママユは手のひらサイズの大きな蛾
ヤママユは「チョウ目ヤママユガ科」というグループに属する昆虫で、グループの中でも代表的な1種です。
このヤママユガ科に属する蛾たちは、巨大な姿を持つものばかり。
僕の愛用する図鑑「日本の昆虫1400」によると、その大きさは115〜150mmとあるほどの大きさ。
これは、"大人の男性の手のひらサイズ"です。
大きなはねを持つヤママユ
はねには目のような模様(眼状紋)もあり、とてもインパクトのある姿ですよね。
その大きなはねを広げて壁や樹木の葉などにベタッとくっついているのですが、その存在感から、ヤママユには出会う度に高揚した気持ちにさせられます。
またヤママユのはねの色には変異が多く、個体によってさまざまなカラーバリエーションがあります。
例えば、以下のような茶色い姿のものも同種です。
茶色いはねのヤママユ
このように、個体によってさまざまな雰囲気のものが見られるのも、ヤママユの魅力なのです!
天蚕と呼ばれるヤママユ
ヤママユは「天蚕(てんさん)」とも呼ばれます。
この名前の中には、「蚕(かいこ)」の文字が入っていますね。
蚕とは、養蚕に用いられる昆虫のことを指します。
蚕というと、最も代表的なのが「カイコガ(チョウ目カイコガ科)」でしょう。
しかし、蚕には実はカイコガだけでなく、ヤママユガ科の昆虫たちも含まれます。
蚕は天然の種かどうかで呼び方に区別があり、
カイコガ = 「家蚕(かさん)」
天然の蚕 = 「野蚕(やさん)」
と呼ばれます。
カイコガの起源はクワコという野生種ですが、家畜化して品種改良を重ねた結果、人の管理下でないと生きられなくなってしまいました。
その結果、野生では見られないため「家蚕」と呼ばれます。
クワコの幼虫
一方のヤママユは野生の昆虫ですが、繭から得られる糸はカイコガと同じく天然繊維として利用されてきました。
このことからヤママユは「野蚕」の一種です。
ヤママユの繭
このヤママユの繭から得られる「天蚕糸(てんさんし、てぐす)」はしなやかで丈夫であり、優れた素材のようです。
ただ、カイコガと比べて飼育が難しいことから生産量が少なく、その糸は希少で高価な素材となっています。
ちなみに「テグス」というと、多くの人は釣り糸のことを思い浮かべるのではないでしょうか。
今普通に見られるテグスは多くがナイロンなど化学繊維でできたものですが、もともとは天蚕糸が透明である特性を利用し、釣り糸としても使われたのが始まりだったようです。
僕らが野外で見ているヤママユは、古くから人の生活に関わってきていたのですね。
このヤママユのように、身近に見られる昆虫の中には、人の生活に関連しているものも意外に多いんですよ!
ヤママユと同じ分類に属する虫たち
ヤママユはチョウ目ヤママユガ科に属する虫。同じ分類の虫たちを以下で紹介しています。
[チョウ目]
鱗翅目(チョウ目)の昆虫まとめ|はねに鱗粉を持つ虫たち
▼
[ヤママユガ科]
おわりに:ヤママユを観察してみよう!
ヤママユは晩夏に見られる昆虫で、8〜9月頃に成虫が現れます。
山で見られることが多いですが、平地でも見られるチャンスはあるので、もし出会えたらそのインパクトのある姿をゆっくりと観察して見てください!
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