植物 > > ラン科 > シュンラン
あ、葉かと思ったら花が咲いてる?
この植物はどんな植物なのかな?
こんな疑問にお答えします。
写真の鳥は、シュンラン(春蘭)。
シュンランは花がうつむき気味に咲いているため、上からでは花の姿を確認しづらい植物。
しかし少し下からのぞかせてもらうと、美しくも可愛らしい可憐な花が見られます。
この一見控えめな花も相まって「知っていなければ見えない」という、自然観察あるあるな体験ができる代表的な植物でもあるのです!
僕はネイチャーエンジニアの亀田です。
年間100回以上全国各地で生き物観察をし、様々な動植物に出会ってきました。
そんな生き物好きの僕が、シュンランの特徴と魅力を紹介します。
シュンラン(春蘭)は春一番に花を咲かせるラン
シュンラン(春蘭)は「ラン科」というグループに属する植物。
名前の通り、"春"に花を咲かせるランの仲間です。
春には様々な植物が花を咲かせますが、シュンランは他の植物よりも一足先に花を咲かせ始め、春一番を感じさせてくれます。
春一番に花を咲かせるシュンラン
シュンランはがく片が緑色で花が下を向き気味であるため、上から見るとがくが葉のように見えて花が咲いていることに気付きづらいです。
そのため、シュンランのことを知らない人は初見で「え、これ花なの?」という反応をされることも。
このシュンランの花をちゃんと拝ませてもらうには、少し下からのぞかせてもらう必要があります。
そうやって見られるシュンランの花は、美しくも可愛らしい魅力的な姿をしているんですよね。
その姿を見ると、「え、これ花なの?」と言った方も「本当だ、綺麗な花ですね!」と明るい表情になります。
そのシュンランの花が、こちら。
シュンランの花
ランの唇のような姿の花は、「唇弁(しんべん)」「リップ」と呼ばれます。
シュンランのリップも、白色に紫色の斑紋があって、ランらしい艶やかな印象をしていますね。
もしシュンランを見つけたら、ぜひ少し低い位置からその可憐な花を観察してみてください!
シュンランと菌の関係
ランは地中の「菌」との関係が深い植物です。
というのも、ランの仲間は地中の菌から養分を得ており、菌の助けがなければ大きくなることはできません。
それはシュンランも同様です。
ただしシュンランの場合、菌から養分を得るほか自身で光合成もしています。
このように部分的に菌から得る養分に依存する植物は「部分的菌従属栄養植物」と呼ばれます。(養分供給を菌からのみに依存するものは「(完全)菌従属栄養植物」)
またシュンランが利用する菌類(外生菌根菌、木材腐朽菌)は樹木と共生しており、その菌類が存在するには特定の樹木がいなくてはなりません。
このように、ランは単独では生きていけず、「生息環境に関連する生物群がいる必要がある」のです。
シュンランの生息環境にも注目すると面白い
ちなみにラン以外の生き物もひいては他の動植物との関連し合って生きているのですが、ランは直接的な依存関係が強く、その関連を意識しやすい存在なのですね。
ランを観察する時は「ランを取り巻く環境」のことも意識すると、また違った見方ができたり、発見があると思います!
▼生き物の戦略から人生の学びを得る本▼
知っていなければ見えないシュンラン
シュンランはとても魅力的な植物なのですが、慣れないとなかなか見つけづらい植物でもあります。
その理由としては、大きく2つあります。
1つ目は、同じような環境でよく見られるヤブランに葉が似ていて、花がついていないと紛らわしいこと。
ヤブラン
端的に言うと「森の中でよく見る葉」なので、あまり注目して見ないのです。
2つ目は前述した通り、花が目立たないこと。
気にしていないと、花が咲いていたとしてもなかなか目に止まりづらいのです。
ところが、何度かその姿を見た後に"シュンランを意識して森を歩いてみる"ことをすると状況が変わります。
なんと、今まで見つけられなかったシュンランが見えるようになってくるのです。
「おお、あそこにもいたんだ」「あ、ここにも!」と、次々と発見できることも。
僕は植物以外のいきもの観察もしますが、昆虫などでも同じような体験をよくします。
この「知っていなければ見えない現象」は自然観察あるあるだと思っていて、シュンラン観察ではその体験がしやすいのです!
環境を育成して、野鳥を呼ぶゲームも配信中!こちらもぜひ、遊んでみてください↓
■ 鳥パラダイス
環境育成&野鳥観察シミュレーションゲーム!
他の植物の紹介、植物観察、用語解説などに関する記事はこちらから↓